【連載】藤崎敏郎の人材育成セミナー第2回

2014.06.28 / 連載

第2回どうしたら人が育つか

今回は私の幼い時の思い出を話すよ。

人を教えるには熱い気持ちが大切だと思っているけど、その原点が分かるから。

―僕がパチンコの仕事をしているワケ―(藤崎敏郎)

家庭の事情で小学校しか出ていなかった父は、口数も少なく、気持ちを言葉にすることが不得意な人でした。それが原因だったのか、家業の自転車屋も繁盛しているとは言えない状況でした。だから、僕は、欲しいものをねだることはいけないことだと思っていました。僕の友達が、ディズニーのパチンコのおもちゃを持っていました。高価なおもちゃで、うちでは買ってもらうことは無理だと分かっていました。あこがれながらそれをながめていました。その友達はさわらせてもくれませんでした、、、、

 ところが、ある日、、、

 家に本物のパチンコの機械がやってきたのです。それも、当時、大人気のチューリップがたくさんあって、バネではじく手打ちのタイプです。銀色の玉が千個以上と、玉を入れる箱もありました。パチンコ店で取り外した本物のパチンコ台を父が買ってきてくれたのです。小学校一年生にとっては、大興奮する本物のパチンコ台です。チューリップを狙って打って、セーフ穴に入るとたくさんの玉が出てくるチャリーンという音に感激しました。毎日、夢中になって1時間以上、遊んでいました。チューリップが開いたときに、二個の玉を入れるワザも会得しました。手に小さなパチンコだこもできてしまいました。小学校一年生でした、、、、。

僕は今、パチンコ企業を対象とした社員研修と人事コンサルティングの仕事をしています。父親が最初に僕に買ってくれたパチンコ台が、そのきっかけとなっているのは間違いありません。父親がくれた最初の素晴らしい贈り物を忘れることはできません。そこには愛情がたくさん詰まっていました。

パチンコ企業の社員の方々は、話すのが苦手な人がたくさんいます。本を読むことや文字を書くことも苦痛な人がたくさんいます。そんな人たちを見ると、いつも、言葉が下手で、子どもを褒めることさえも苦手だった父親のことを思い出します。父の悲しみや悔しさ、悩みや怒りさえも今なら分かります。だから、私は、研修で出会う受講者の一人ひとりを、まるで家族のように成長を願いながら励ましています。

たくさんの愛情を持ってパチンコ企業の受講者の皆さんに接しているのです。今回の格言、「自分の原点を思い出してみよう、きっと今につながっている」

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株式会社パートナーズリンク 代表取締役 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとして独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1人事コンサルタントと言われている。

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