【連載】日本進出を狙う海外カジノ〜その7〜
2014.08.23 / カジノ【最終回】ゲンティングループ
ゲンティンは、華僑系マレーシア人の林国泰(リム・コックタイ)が会長を務めるマレーシアの複合企業ゲンティン・バハッドを頂点とするグローバル企業。同社は、グループを通じてマレーシア、シンガポール、フィリピン、オーストラリア、アメリカ、イギリスなど、世界中でカジノやその他のレジャー事業を展開している。同社が2010年にシンガポールで開業した「リゾーツワールド・セントーサ」は、ユニバーサルスタジオや世界最大級の水族館「マリンライフパーク」などを備えたファミリー層を意識した統合型リゾートである。ビジネスにフォーカスしたもう一方のリゾート「マリーナベイ・サンズ」とは対極の施設づくりで、同国の観光産業に大きなインパクトを与えている。同社のお膝元マレーシアで、現在改修工事が行われている「リゾーツワールド・ゲンティン」においては、米20世紀FOXと提携したテーマパークを建設予定で、カジノだけではなく「地域で唯一のレジャー施設」を提供するという姿勢を貫いている。
以前から日本市場に対する関心は非常に高く、日本進出に意欲を示す発言などがたびたびメディアで取り上げられる。8月に発表した声明では「我々は日本の法整備の進捗を常に見守っており、また、IR推進法案の成立に向け積極的に準備を進めている。当社グループは充分な資金を有しており、日本でのIR開発に関して優位な立場にある」と進出への自信を示している。今年4月には、同社が日本に設立した現地法人の存在も明らかになっている。
同社は日本以外でも、グループ全体を通じて海外での開発案件を複数進行中だ。韓国では中国のデベロッパーと組み、済州島に大規模なカジノリゾートを建設予定で、2014年内の着工を予定する。また、フィリピンのマニラでは同国初のIR「リゾーツワールド・マニラ」に続く、2つめのリゾートを建設中。アジア以外でも、米ラスベガスやマイアミ、英国バーミンガムなどでカジノリゾートの開発計画を進めている。
■主な運営施設
[シンガポール]リゾーツワールド・セントーサ
[マレーシア]リゾーツワールド・ゲンティン
[フィリピン]リゾーツワールド・マニラ
[アメリカ]リゾーツワールドカジノ・ニューヨーク など
■売上規模(2013年)/28億4700万シンガポールドル(約2370億円)
■営業利益(2013年)/8億6290万シンガポールドル(約718億円)
※上記はゲンティン・シンガポールの業績
■従業員数/約58,000人
※ゲンティングループ全体
※写真はシンガポールの「リゾーツワールド・セントーサ」と「ユニバーサルスタジオ」