【水曜】第99回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2016.03.22 / 連載

第99回 公営ギャンブルの閉鎖は他人事でなし

3月21日をもって、千葉県にある船橋オートが廃止されました。オートレースといえば、公営ギャンブルのなかでも最も規模が小さく、筆者も何度か 足を運びましたが、とても盛況とはいえない状況が続いているように見えました。そのために世間的にも知名度が高い元SMAPの森且行選手を筆頭に各種 PRに励んでいたんですが、それでもファン拡大は難しかったんでしょう。2010年には横浜の花月園競輪も廃止され、それなりに競輪を嗜む筆者としては寂しい思いをしたもの(最終日の的中車券は、今でも換金せずに記念に持っています)。

オートや競輪、またボートといった高度経済成長時代に続々と誕生した娯楽は、その時のファンがそのまま年齢を重ねているのが現状で、実際にレース場に行くとびっくりするくらいに高齢者しかいませんし、若い人を探すのが難しいほど。言葉は悪いですが、棺おけに片足を突っ込んだような客しかいないのだから、両足を突っ込んだ人の分だけファン人口が減っていくという構造になっています。JRAがギャンブルという側面を打ち出さないイメージ戦略で若い人を取り込んだことを見て、各公営ギャンブルも遅ればせながら人気タレントを使ったPRを行っていますが、時すでに遅しといったところでしょうか。ボートレースはレース場も積極的に改装して綺麗なイメージができつつありますが、オートレースや競輪は廃止が相次いでいるように、予算もないんでしょう。昔ながらのイメージそのままで(個人的にはそんな雰囲気が大好きで、場末感をネタにしつつ、モツ煮といったギャンブル場ならではの食べ物をG級グルメとした記事をサブカル関係の雑誌に書いたりしましたけど)、なかなか抜本的な改善ができないでいたように見えます。

この構造的なファン減少は、この業界も同じですよね。以前も同様のコラムを書きましたが、若いファンをどんどん取り込んでいかないと、ただでさえ人口が減っているのにファン人口が増えるはずもなく。特にパチスロはまだ若いファンがいますけどパチンコは中高年齢層ばかりで、ここ数年のパチスロ台数の増加とパチンコ台数の減少という流れも必然といえるでしょう。ただ現状の規制の流れを考えれば、特に射幸性の面ではパチンコの方がまだ可能性があると思いますし、パチスロメインの若年層をパチンコへとシフトさせるチャンスになりそう。今後の市場を支えるファンを育成するためメーカー側では若い人向けのコンテンツを積極的に使ったりしていますが、ホール側でももっとパチンコを若い人にアピールしていくような施策を行っていくべきですし、それが生き残りの一助になるのかなと考えます。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)

学生時代にパチンコ・ パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

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