【水曜】第100回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2016.03.29 / 連載

第100回 自信を持って勧められますか?

個人的な出来事ですが、身内が今年4月から社会人になります。昨年は色々と就職活動をしていたみたいですが、こんな浮き草稼業をしている筆者にはアドバイスを求められることなく。それでも「一言いわせてくれ」と半ば無理矢理、人に恨まれる仕事だけはするなと伝えておきました。

とはいえ好きなことをすれば良く、最後に決めるのは自分次第。だからといって筆者が末席を汚しているような出版業界はお先真っ暗ですし、とても勧められたものじゃありません。昨年も長らく仕事をしていたサブカルビジネス誌は休刊しちゃうし、知り合いの編プロは会社がなくなっちゃうし、原稿料だって……。それでも紙媒体が好きならまだやりがいはあると思いますし、本を作ることにあるんだかわからないロマンを求めて飛び込むのも悪くない のかもしれません。

同じようにお先真っ暗なパチンコ業界。ここにもロマンはあるのか分かりませんが、それでも好きで飛び込んでくる人もいるでしょう。でもですよ、子どもがいる人の場合、自信を持って勧められるのかどうか。筆者が知る限り、中小のオーナーさんは子どもに後を継がせたくないという人の方が多いようです。バブル時代にそれなりに稼いだであろう人は、子どもの教育に金をかけて医者にしたりなんていう話も聞きました。また雇われの店長さんも「違う仕事に就いて欲しいね」なんていう人が圧倒的に多いですし、そもそも子どもにはパチンコを勧めないなんていう声も。

今現在、業界内にいる人がそう考えているのようでは、やはり先がないとしかいえません。身内に、そして子どもに、「パチンコって面白いからどんどん行けよ」なんて言えないのに、それでもなお新しいファンを増やさないとだなんて、そもそも矛盾しているんじゃないかと。他人なら良いってことなのかもしれませんが、他人だって誰かの身内だし子どもです。まず自身が、それぞれの立場で自信を持って勧められること。例えばメーカーなら誰が打っても面白い機械を、ホールなら負けてもなお満足させられるような営業をすべきでしょう。それをおざなりにして、ただファンを増やさなければだなんていうのは空しいばかり。まだまだ業界構造的にグレーな部分はあるにしても、それでもなお世間的に誇れる業界にしなければならないと思いますし、ファンの立場からもそうなることを切に願います。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)

学生時代にパチンコ・ パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

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