【水曜】第96回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2016.03.01 / 連載

第96回 そのサービス、余計じゃないですか?

吉野家の牛丼が好きなんですが、ちょっとした定食を食べるなら松屋ですよね。定番の牛焼肉定食を頼み、焼いてる間にフレンチドレッシ ングをたっぷりかけた生野菜をつまみながら待つというのが〝松屋の嗜み〟ではないでしょうか。ベジファーストと言って、先に野菜を食べておくのは腹持ちも良くなるみたいですし。

しかし、久しぶり(…と言っても2週間ぶりくらい)に松屋へ行ってみたら、生野菜にライスにおかずに、そして味噌汁にという感じで バラバラに出されていたのが、いつの間にか全部が揃った状態でトレイに乗せられて出るようになっていました。その方が見栄えが良いのか、それともオペレーション効率を考えてのことなのかは分かりませんが、長年親しんでいたパターンが変わってしまったのには若干の違和感を禁じ得ません。でもそれは、 いつかはきっと慣れるんでしょう。でも明らかにどうなんだろうと思ったのが、同じタイミングで味噌汁に蓋が付くようになったことです。客側としては蓋を取る手間なんか大したことないんですが、それでもきっと店員さん側の手間は少なからず増えているはず。さらに定食を頼んでいると食器が満載で、トレーに取った蓋を置くスペースもなし。衛生面どうこうをいうなら、他の牛丼チェーンだって蓋をするようになるはずですし、それならライスにだっておかずにだって蓋をしなければおかしな話。ほんと細かいところで申し訳ないんですが、なんか納得いかなんですよ。

ホールだって同じです。出玉を流した時のオシボリ(最近は紙ナプキン)です。恐らく、必ず手渡すようにというマニュアルがあるんでしょう。こちらとしてはさっさと流してレシートを渡してくれればいいのに、その作業の手を止めてまでオシボリを渡そうとしますよね。さらにわざわざ袋を破ってくれる親切なホールも多々ありますが、手が汚いと思えば自分でオシボリを使いますし、そこまでやる必要 があるのかなと思わされます。でも接客コンサルタントみたいな人は、きっとそういうオペレーションを進めるでしょうし、手厚いサービスであるのは間違いありませんから、いわば正論ということになりますか。

でも正論ばかりのマニュアルをそのまま採用するのは、ちょっと想像力に欠けるのではないでしょうか。あくまでマニュアルはオペレーションの基本ですが、そこに個々(仮にチェーンだとしても、です)のホールの工夫を加えるのが大事になるはず。松屋の味噌汁だって、繁忙時間帯には蓋をしない方がきっとスムーズな提供ができるように、計数器に行列ができているならオシボリは後回しにして流すことに専念した方が客側のストレスも軽減できるでしょう。「おもてなし」なんていう言葉が流行ってからはホールでもそれを徹底しているみたいですが、臨機応変に客側の気持ちを汲んで動くことこそ、本当の意味でのおもてなしになるのではないでしょうか。やるべきことはしっかりやる、でも省いてよいものまで無理してやる必要はないからこそ、コンサルタントにいわれたままではない臨機応変な接客を期待したいです。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)

学生時代にパチンコ・ パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

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