【水曜】第93回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2016.02.09 / 連載

第93回 そういう「手」もあるんですね

前回に引き続き沖縄旅行編です。沖縄のホールといえば、やっぱり沖スロ。当たり前過ぎますけど、パチスロの8割が沖スロで、なおかつパチンコより パチスロの方が圧倒的に台数が多いという風景は、沖縄でしか見られません。客層も若い人は主にチビコインと呼ばれる本土で主力の機種やパチンコ、高齢層は沖スロメインで、沖スロがメインターゲットにアピールする主力機種ということになっています。

沖スロといえばやっぱり完全告知で、レバーを叩いた瞬間に、トリプルクラウンなら右上のバットがピカピカと光ります(写真2)。これを見るたび、「沖縄にいるんだなぁ」と実感させられますが、そこからがこれまた沖縄らしいところ。基本、オジイやオバアといった年配層はほとんどの人が目押しをしません。そして光った瞬間、呼び出しランプを点けます。しかし、沖縄のホールでも、コンプライアンスの観点から、今では店員による目押しは禁止になっています。結果、どうなっているかといえば呼ばれた店員がオジイ&オバアの前で手を振って目押しのタイミングを教えるという形になっていますが、それでもなかなかできないのがオジイ&オバア。初めて筆者が沖縄体験をした20年以上前から告知ランプ点灯、即呼び出しボタンという光景はまったく変わっていませんし、目押しの出来なさ加減もまったく変わっていないようで。それで楽しいのかとさえ思ったりもしますが、オジイ&オバアにとっては告知ランプを点灯させることが目的なんでしょうね、きっと。

で、店員とオジイ&オバアの苦労を見ていたら、ひとりだけ切れ者の店員を発見。手を振ってタイミングを教えるのでは埒が明かないと考えたのでしょう、オジイ&オバアの指をボタンに触れさせ、その上から店員が押すという素晴らしく効率的なやりかたでボーナスを揃えていました。これってコンプライアンス的にはギリギリかもしれませんけど、確実かつスピーディという点ではナイスアイデアだなと。オジイ&オバアも、呼び出しランプを点けてこの店員がくるとなんだか嬉しそうで(そりゃそうですよね、目の前で手を振られたって確実に揃えられないんですから)、現場の創意工夫っていうのはこういうものなんだなと感服。つい筆者も呼びたくなってしまいましたが、まだそこまで年寄りではないなとグッと我慢しておきました。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)

学生時代にパチンコ・ パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

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