【水曜】第78回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2015.10.28 / 連載

第78回 紙袋にお菓子をたくさん入れて

かつてのテレビ番組では、パチンコが生活の一部として描かれていることが多かったように思います。刑事ドラマで聞き込みの場面、ホームドラマでは仕事をサボっている商店街のおっちゃんを探しにパチンコ屋へ、また超国民的アニメでも婿養子の方がひんぱんに駅前ホールへ通っていたような記憶がありますね。そして今でも思い出すのは、どのような番組であってもパチンコで勝ったことを表現するのに、クッキーやチョコレートといったお菓子を (今ではめったに見ない茶色の)紙袋に一杯詰め込んでいる姿を使っていたこと。換金するのが当たり前だと思っていた筆者には違和感ばかりの演出ですが、色々と大人の事情でそうするしかないんだと納得。換金はあくまでグレーゾーンであり、おおっぴらにできるのはいわゆる一般景品だけですから。

でも大衆娯楽という業界本来の立ち位置を考えた時、「紙袋いっぱいのお菓子」というのは改めて見直されるべきことなんじゃないかなとも思います。 さすがに毎回お菓子を貰っても困るとはいえ、かつての交換率2.5円時代には一般景品に交換することが今以上に多かったんですよね。筆者もまず景品コーナーをチェックして、欲しいCDやゲームソフト(ファミコン時代ですが、おもちゃ屋で品切れのソフトがホールにはあったりしたんです)があったら、それを目標に頑張ったこともあります。また金欠時に運よく出た時なんかは、非常食として缶詰やカップラーメンといった食料品に交換したりなんてことも多々あって、今みたいに景品は端玉以外一瞥もせずということはありませんでした。

行政側も一般景品比率を高めろと常々指導しておりますが、等価交換が廃止されれば自然とファン側の意識も変わるはず。またギャンブルではなく大衆娯楽という原点に立ち返るのなら、一般景品の重要性がさらに増すのは間違いありません。行政側の意向が全て正しいとは思いませんが、筆者が子ども時代に確かに喜んでいた「紙袋いっぱいのお菓子」は大衆娯楽のアイコンであり、それがまた当たり前になった時こそ、パチンコが再び市民権を得られるのかなと考えます。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵

学生時代にパチンコ・パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

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