【水曜】最終回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点
2016.08.31 / 連載最終回 長らくの御愛読に感謝
今回で、筆者のコラムは最終回。約2年半、120回以上に渡っての御愛読に感謝いたします。多々脱線したこともあり、また言葉足らずな面もあったかと思いますが、「ファンありきの業界になって欲しい」というのが筆者の考えであり、本コラムでもそれを一貫して述べさせてもらっていたつもりです。
パチンコではセブン機やCR機、パチスロでは4号機時代のAT機やST機から、一気に射幸性が引き上げられました。その結果ファン人口も増加、当然ながら市場規模も拡大と、この頃の業界関係者はきっと明るい未来しか見えていなかったでしょう。そしてメーカーは相次いで上場し、またホールもどんどんと大規模化していきました。でも業界規模の拡大と同様にファンの懐も豊かになったわけではありません。また大衆娯楽とは言えないほど射幸性が高まれば、当然社会的批判も集まります。結果、ファン人口は減少するようになり、それでもなお業界は肥大化を模索し続けた結果が、現在のような状況になったのではないかと考えます。
もともと筆者がライターを始めた頃から知る業界関係者は、皆ファン上がりでした。でも業界が肥大化した結果、そこにたかろうとするそろばん勘定だけしか考えない人が集まります。また市場規模が減っているのに、それでも自分だけは儲けようと考えるのも当たり前でしょう。それが不要な設備投資、過度な新機種供給、そして脱法してまでの広告宣伝と、すべての原資となるファンの存在を無視した動きが、ファン離れを加速させていると筆者は考えます。本来はファンに還元するものまで使い込んでの歪んだ営業には呆れることも多々ありますし、少なくともここ数年の施策で、ファンが本当に喜んだものはほとんどないのではないでしょうか。
ファン上がりの業界関係者のなかには、今でも筆者以上に打ち続けている人が少なくありません。そういう人は口を揃えて、「今のパチンコ・パチスロはやってられないよ」と言います。また今ではやめてしまった人もいますが、そんな人も今のパチンコ・パチスロはやってられないからねと、同じようなことを口にします。ファンも実はそんな考えだったりしますが、それでも好きだから、また少しでも希望があるならと、パチンコ・パチスロを打ち続けています。ホールもメーカーも、そんな最後まで残ったファンの存在に頼りきっているのが現状だとしたら、それは甘え過ぎということにほかなりません。
そもそも娯楽とは、ファンに楽しい時間を与えてくれるもの。この本質をすべての業界関係者が改めて考えてくれれば、これから何をすべきか、どのように進むべきかが分かるはずです。繰り返しますが、この業界で動くお金はすべてファンが支えています。それを忘れないことが「ファンありき」の業界になるきっかけでありますし、筆者が伝えたいことであります。
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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)
学生時代にパチンコ・パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp