Xデーまであと1年半 重要度が増す『2019年の入替』を考える

2019.05.27 / その他情報

刻一刻と迫るXデー。市場にはいまだ多くの旧規則機が存在し、その台数は250万台を超えるとも言われている。この業界に携わる方々には説明不要だろうが、それらをあと約1年半の中で「P機」「6号機」に入れ替えなければいけない。

話は変わるが先日PiDEA LINE@で「GW前の新台入替」についてアンケートを行った。その中で今後の入替予定についても聞いたのだが、その結果が以下だ。

 

 

 

すでにLINE@でも一部結果を公開したが、歴史的長期休暇を前に入替を行ったホールは多く、スペックではハイミドル帯機種が最も導入されていた。
新規則に移行して早1年半ほど。6号機はヒット機種が徐々に登場してきたものの、パチンコでは〝大ヒット〟といった機種はまだいない。そんな中でも残された期間の中で新規則への移行を完了させなければいけない。のだが、Q7にあるように意外にも約4分の1がスケジュール・戦略を定められていない現状が見えてきた。
おせっかいかもしれないがたかが4分の1、されど4分の1。十分なほど「意外と多い」と言える数だ。
もう今は戦略を定めなければいけない時期、どんな戦略がベストなのだろうか?
一方、戦略を持っているホールはどんな戦略を計画しているのか?。
気になる点が一つ、Q8にある。GW前の入替(Q2)と比較してほしい。Q2ではハイミドル>甘デジ>ライトミドルの順であったが、Q8の今年1年の積極入替ジャンルではライトミドルと甘デジが逆転しているのだ。

この逆転をどう捉えるべきか。ライトミドルこそが今年の機械戦略の核を担うのか?。
その答えを導き出すため、また大手はどのように動くのか、を探るために当サイトで新台講座を連載していただいているSH@CK氏(東海圏大手法人/機械対策課)に「今年からやるべき機械戦略」を語ってもらった。

2021年までの機械戦略の考え方

 

2018年2月に改正規則が施行され、時代が大きく動こうとしている。業界的にも過去に無い行政との関係性が風営法議連の働きにより生まれようかとしている。規則改正前後に“異例の緩和劇”が繰り広げられ、新規則機リリース前から始まりいまだなお継続的に緩和の波が続いている状況にある。
業界は今、新規則機と旧規則機が混在した過渡期に立たされており、来る新時代に向けてのカウントダウンが刻一刻と迫っている。
【緩和による後発機種の性能の優位性】【旧規則機の現存による現行機の劣勢】により新時代への対応に頭を悩ましている企業が多い事だろう。

今回はそんな状況において、機械戦略の方向性と市場予測を含めた考えて頂きたい事をお伝えする。

新規則機が昨年2018年8月からリリース開始され、「P革命機ヴァルヴレイヴ」が高実績を残したのはまだ記憶に新しいかと思う。その2カ月後には「S HEY!鏡」もリリースされ、記録的な初動にて新規則機への期待が膨らんだ業界人は多かった事だろう!だが、そのあとは「P」も「S」も厳しい業績が続いた事も学びの一つとなったのではないかと思う。

初出しライトミドルの影響力

 

まずは現市場のスペック別『台数比率』と『アウト比率』を表にて確認して頂きたい。

 

 

表から様々なものが見て取れると思うが、まず昨年がメーカーの「在庫処分」(いまだ続いているメーカーもあるが…)と「開発ノウハウ蓄積」の時間を稼ぐ為にライトスペック中心の供給が行われた事によりライトの台数比率がアウト比率を上回る結果となっている事が分かる。
そして、注目すべきは表の右記2項の今年3月の数値で、同月には「Pエヴァ13」の市場影響により、パチンコの花形でもあるハイミドルの台数比率が下がった事に加え、台数比率以上にアウト比率が大きく下がっている事が分かる。当然ながらライトミドルの数値は飛躍的に伸びており、ライトミドルスペックのメイン機リリースによる市場影響は大きいものであった。

そもそも、ライトミドルがセカンド機種のポジションとなる一番の原因は「スペック違いリリース」によるものだと予想される。つまり、多くのライトミドルがハイミドル機の登場後に一段落してからリリースされるような、新規参入の機械が非常に少ないことだ。
その一方、ハイミドル・ライトミドルが同時リリースされた場合の過去実績を見ると「CR偽物語」「CR海桜」などの様にライトミドル帯の貢献度が高くなる傾向がある。さらに今回の「Pエヴァ13」や「CR戦記絶唱シンフォギア」などの【初出ライトミドル機種】の場合、ニーズが決して低い訳では無く〝条件さえ揃えば〟大きな効果が期待出来るスペック帯と言える。<br
さらにライトミドルはスロットユーザーの回遊性の高いスペック帯でもあるので、現在スロット市場を牽引しているメイン機種の撤去期日が刻一刻と迫っている点でもライトミドルへの取り組みは重要度が高いだろう。

 

 

「CR」ハイミドル残存市場における『P』ミドルの限界点

 

では何故メーカーはライトミドルではなくハイミドルにこだわるのか……。
これはホール側の数値構造上によるニーズはあるものの、メーカー側の事情が多分に含まれており、スペックによって販売台数が大きく変化する事にある。ハイミドルの機種は売り場面積=「設置比率」が大きい為に販売台数が1万台を優に超えるケースが多く、ライトミドル・ライトのスペックは1万台を越える事は多くないのが現状だ。これはスペック別の役割に大きく関わっているのは分かる。だが、本質としてメーカー側からすると『長寿命機種のブランディング』の観点では良いかもしれないが販売台数の観点では差し替えの必要が無くなれば台が売れなくなってしまう点にある。

ただし、新規則機ハイミドルの現状を考慮すると今まで通りにハイミドルばかりに固執する事がホールにとって、ひいては業界にとって良いとは言い難い状況にあるとも言える。
初の「P」ハイミドルは昨年11月登場の「P新鬼武者」で、それから5月現在までの半年間で8機種ほどしかリリースされておらず、設定付に至っては半数以下となっている。現市場において設定搭載機の需要そのものが決して高い訳ではなく、規則改正の目的を果たせずにいるのが現実である。とはいえ、これは試験通過が困難であった結果であり、7月からの試験見直しによる影響動向は注意が必要だろう。
業界にとってゲージ問題が解消されない限りは設定付パチンコを主流にする事がコンプライアス的に必要不可欠となり、現状での旧規則ハイミドルに頼りきった市場構造は将来的には健全ではないと言える。

だが、それをわかっていても受け入れがたい現状がある。現時点での新規則機のハイミドルの実績を鑑みるに旧規則機との差が大きく存在している状況が原因だ。旧規則において確変継続率が65%上限となった以降は「2000個以上の当り」を搭載している事が他スペックに対しても優位点となっていたが、新規則ハイミドルにその優位性は発揮出来ていない。ハイミドルスペックでもTY4,000越えの機種は現時点のP機では市場には無く、確率に対しての対価が見合っていないと感じるユーザーが多いのが現在の実績となっているのだと予想される。
試験見直しと継続率上限緩和の影響には期待したい所ではあるが、CRが市場に残っている以上はPハイミドル機の魅力はなかなか伝わらない状況と言えるだろう。それに比べライトミドル以上のスペック帯への新規則による影響は少ない状況となる。


今後の機械戦略について

 

今年取り組むべきものとしてライトミドルの優先度が高いのは意識すべきだが、勘違いして欲しくないのは『ハイミドルの新台購入は必要ない』という事ではない。これだけは明言しておく。ハイミドル機の初期集客力の効果は他スペックの比ではないことは言うまでもなく、新台集客として適正台数を入れ替えていくべきだ。

今年取るべき戦略の本質は、あくまでライトミドルへのアプローチとなる『売り場面積の見直し』と『前倒し認定機と旧規則ハイミドルの活用』だ。

2021年への対応として一番必要となるのが【新規則機への差し替え資金】であり、X-dayの2021年2月までにまだ“80週以上”もある点に注意が必要だ。現在購入した機械が2021年時にメイン機になる事は多少難しいと思う部分もあるので、購入機の役割を誤らない事と資産価値の残りやすい機種購入などが準備に役立つだろう。

前線で営業されているホールは新台購入を控えるなどという事は絶対するべきではない。それは市場ニーズへの対応はもちろん、中古市場縮小が業界全体の縮小に拍車を掛ける恐れがあるからだ。

6月には『管理遊技機』の申請も始まり、オリンピックを経るとはいえ2021年が目前まで迫っている。情勢に注意しながら時流適応する事が必要だろう。

(文章・データ提供 SH@CK)

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4年以上

保通協の適合率が上がらない状況もあり。。
2021年まで会社が生きてるかも不安。。

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