SNK買収の舞台裏/中国企業の狙いは……
2015.10.308月6日、中国のオンラインゲーム会社「37Games」はSNKプレイモアを買収したと発表。小誌でも既報のとおり、37GamesはSNKプレイモアの株式81.25%を約80億円で取得。買収劇の舞台裏で中国企業の思惑が働いていた。小誌は複数の関係筋から証言を得ることができた。
もともとSNKプレイモアは1980年代後半から「ザ・キング・オブ・ファイターズ」「サムライスピリッツ」「餓狼伝説」などの格闘ゲームがヒットして成長を続けてきて、4号機時代にパチスロへ参入。中堅メーカーとしてコンスタントに新機種を発表してきた。
関係筋の話によると「37Gamesは会社自体やパチスロ事業よりもゲームコンテンツに魅力を感じているようです。具体的には『ザ・キング・オブ・ファイターズ』です。この権利関係を掌握しておきたかったようです」
なぜか。「パズドラ」「黒猫のウィズ」などソーシャルゲーム隆盛日本ではゲームセンター用のアーケードゲームや家庭用ゲームが下火傾向にあるものの、SNKが生み出してきた「ザ・キング・オブ・ファイターズ」など格闘ゲームは海外ではいまだ人気を誇っているという。
「インターネット検閲が行われている中国では、ソーシャルゲームよりもアーケードや家庭用ゲーム機などの成長ののびしろが大きいと判断して買収したのではないでしょうか。37Gamesはコンテンツを活用することで買収金額を回収していくと明言しています」と前述の関係筋は語る。
また、別の関係者は「この買収により、37Gamesはパチスロ事業撤退の方向で動いています。その背景には、派手好きな中国人にパチスロのゲーム性がなかなか伝わりにくいというのもあるかもしれません。中国人はとにかくド派手な演出を好みますので、ノーマルタイプに一定の人気があるのがなかなか分かりにくいのでしょう」
さらにこんな話もある。「実は、この買収について社員の大半は寝耳に水の状態でした。トップ同士の電撃的な決定で、株主向けリリースで詳細を知った社員もいたほどです。しかも、社員にのこされた道は2つ。割り増し退職金で会社を去るか、残務処理を行うかだけ。大株主の37Gamesが『ザ・キング・オブ・ファイターズ』などゲーム版権だけを求めているので、残ったとしても社員は確実にリストラ対象になる。ほとんどの社員が退職の方向で動いています」
元社員は言う。「ぼくらが生み出したコンテンツが中国人の手に渡り、どう使われるか分からない状態というのは、すこし不安です。会社員が会社の命令に従うのは当然ですが、この買収劇には違和感がぬぐいきれません」
今後、他のメーカーでも同様の買収が起こりうる可能性がある。SNKの買収に対する評価はこれからの動向による。今後も注目だ。