清原賢二技術委員長と渡辺圭市技術担当理事が語る「通常時フラグ」と「4カテゴリ」【後半:4カテゴリ編】

2026.10.17 / メーカー

大当り確率だけでは、その台の遊びやすさや必要な予算が分かりにくくなった現代のパチンコ。日工組が打ち出した「4カテゴリ」は、複雑化した遊技機を新たな基準で整理する試みだ。何を基準に分類し、ホールのシマづくりや低・中射幸性機の活性化にどうつなげるのか。渡辺圭市技術担当理事に狙いと今後の展望を聞いた。

4カテゴリが目指すのは「予算感」の見えるパチンコ

日工組が打ち出したもう一つの改革が「4カテゴリ」だ。

なぜ今、あえてパチンコ機を4つに分類し、ユーザーにも見える形で示す必要があったのか。渡辺技術担当理事に狙いを聞いた。

「根っこにあるのは、従来のように大当り確率だけを見ても、その台の波の荒さや必要な予算が分かりにくくなるほど、現代のパチンコが複雑化したことです。例えば99分の1という甘デジの確率帯でも、まとまった出玉を得て『今日はここで納得して帰ろう』と思えるところまでに、いくら使うことになるのか見当がつかない機種もあります。財布の中の1万円で何とか遊びたいと思っている人からすれば、楽しむ以前に怖さを感じる対象になってしまいますよね」

そこで必要になるのが、プレイヤーが自分の予算や好みに合わせて遊技機を選べる環境づくりだ。

「これを変えるには、機械だけでなくホールのシマ構成も含めて分かりやすくしていく必要があります。そのために、台の遊びやすさを大きく4つのカテゴリに分けました。ホールとプレイヤーの双方に向けて提示していますが、まずはホール側にカテゴリを意識したシマを整理し、構築していただければと考えています」

つまり、単に各台へカテゴリ表示を付ければ終わり、という構想ではない。

例えば店舗の入口付近に遊びやすいカテゴリ1を配置し、奥に進むにつれてカテゴリ2、3……と変化させるなど、店内導線そのものに「予算感」を持たせる使い方も考えられるという。

もちろん強制力はなく、一つのシマに複数カテゴリが混在する店もあるだろう。

それでもプレイヤーがカテゴリを目安に台を選べるようになれば、「甘デジだから軽く遊べると思ったのに、想像以上に荒かった」といったミスマッチを減らすことにつながる。4カテゴリの狙いは、単なるスペックの整理ではなく、遊技前にリスク感をつかみやすくすることにある。

大当り確率だけでは測れない4カテゴリの評価基準

もっとも、日工組のホームページで公表された「新しい4つのカテゴリ」一覧を眺めると、「なぜこの機種がこのカテゴリーなのか」と首をかしげるケースもある。

大当り確率だけでは説明できない区分だからこそ、その線引きがどのように行われているのかを聞いた。

渡辺技術担当理事は、身近な飲食店を例に挙げて説明する。

「仕事終わりにお酒を飲む場面を考えてみてください。千円で酔える〝千ベロ〟の居酒屋でさっと済ませたい人もいれば、お酒だけでなく料理もしっかり楽しみたい人もいる。綺麗なお姉さんがいるキャバクラで楽しみたい人だっている。本当にさまざまです。ただ、高いお金を払ったのにサービスが悪ければ、誰だってガッカリしますよね」

確かに、同じ「お酒を飲む」という目的でも、客が求めるサービスや予算はまったく異なる。それはパチンコでも同じだという。

「パチンコも同じで、遊ぶ以上は予算と相談しながら楽しもうという人がほとんどだと思います。1パチ、4パチといった貸玉レートの違いはひとまず別として、カテゴリ分けでは大当り確率だけでなく、玉単価をはじめ複数の評価項目を見ています。それらを総合的に判断して、各機種がどのカテゴリに当たるかを評価しています」

つまり、4カテゴリの判定には、単純な大当り確率とは異なる複数の物差しが使われている。

「絶対的な一本の物差しで決めているわけではないので、人によっては『これはカテゴリ3ではなく4では』と感じる機種もあるでしょう。ただ、実態として明らかにカテゴリ4なのにカテゴリ1へ入っている、というような大きなズレはないはずです」

具体例として分かりやすいのが、すでに発表されている1000機種超の一覧に含まれる『P新日本プロレスリング』だ。大当り確率だけを見れば約170分の1で、一般的にはライトミドル帯に入る。それでも評価はカテゴリ1。

理由の一つが、「グルグルクギナイン」と名付けられた高スタート型のゲージ構成にある。現在でいう回転サポート機能に近いほどスタートが取りやすく、ボーダーラインも高い。そのため、確率分母だけを見れば甘デジより重くても、実際の遊技に必要な金額や波の荒さは甘デジクラスに近づく。

こうした事例を見れば、4カテゴリが単なる大当り確率の分類ではなく、「その台を遊ぶときにどの程度の予算感を想定するか」まで含めて評価していることが分かる。

ただし、カテゴリは個々の遊技で必要になる金額を保証するものではない。あくまで異なる機種を比較し、自分に合った遊び方を選ぶための目安と捉えるべきだろう。

日工組が広げたいのはカテゴリ1・2の遊び方

では、4つに分けたカテゴリのうち、日工組として今後とりわけ充実させたい領域はどこなのか。

渡辺技術担当理事は次のように話す。

「日工組としては、毎日でもホールに足を運んでもらえるパチンコを実現したいと考えています。その意味で、特に広げていきたいのはカテゴリ1と2ですね。一方、メーカー側からすれば主戦場はカテゴリ3になっていくのではないかと思います。いずれにしても、全体としては射幸性だけに頼るのではなく、多彩なゲーム性そのものを前面に出してプレイヤーを魅了していく方向を目指しています。今後の機械に期待していただきたいですね」

ここには、現在の高射幸性機を中心とする市場構造とは異なる方向性が見える。

まとまった出玉への期待感を重視するプレイヤーがいる一方で、限られた予算で長く遊びたいという層も存在する。そうした多様なニーズを受け止められる機種構成こそ、日工組が目指す姿なのだろう。

今回の取材で印象的だったのは、日工組が「パチンコを盛り返す」という言葉を、単なる掛け声で終わらせようとしていないことだ。過去にさかのぼって1125機種ものカテゴリを整理し、公表する作業は、相応の手間をかけなければできない。

一方で、4カテゴリは、ホールの設置やユーザーの選択を縛る仕組みではない。むしろ、より分かりやすく遊ぶための「共通言語」として提示されている。遊技者がこの区分を足掛かりに、自分なりの分類をつくり、SNSで意見を交わすことさえ歓迎するという柔軟さも印象的だった。

もちろん、カテゴリが定着したからといって、すぐに低・中射幸性機の稼働が回復するわけではない。ホールのシマづくりやメーカーの商品開発、そしてプレイヤーが実際にその違いを認識できるかどうかが重要になる。

通常時フラグが「ゲーム性の自由度」を広げる改革ならば、4カテゴリは「遊び方の選択肢」を分かりやすくする改革といえる。両者の方向性は異なるようでいて、中心に置かれているのは「ファンがどう遊ぶか」という視点だ。

パチンコを再び面白く、そして選びやすい遊技へ変えていく。その取り組みの成果が問われるのは、これからである。

日工組が打ち出した「4カテゴリ」。プレイヤーの予算や好みに応じて遊べる環境づくりを目指す

 

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