ホールファン獲得! キッチンカー大作戦

2026.02.26 / その他

パチンコホールの店長は、日夜あらゆる策を講じてホール営業で利益を産むことと、自店のファンを創出することを両立できるように頭を悩ませていることだろう。本稿ではファン創出のための一手として、キッチンカーの可能性を提唱したい。

【ホールの営業ではない要素でファンの心を掴む】

パチンコホールの運営方針は法人ごとに異なり、同一法人内であっても商圏や立地条件によって、そのやり方は大きく変わってくる。話題性を重視し、地域のランドマーク的存在を目指すホールがある一方で、収益性を最優先に堅実な営業を行うホールも存在するだろう。しかし、どのような方針を掲げるにせよ、ファンからの支持を得られないホールが安定した集客を実現することは難しい。

一方で、理想的なホール環境を整えたくとも、予算の制約や本部方針によって現場で調整できる裁量には限りがあるのが実情だ。営業面での工夫にも限界があり、看板となるメイン機種を十分にそろえられないケースも少なくない。その結果、配分や機種構成だけで他店との差別化を図ることは、年々難易度を増している。

こうした状況の中で注目したいのが、遊技以外の付加価値によってホールの魅力を高める取り組みだ。そのひとつとして近年存在感を増しているのが「キッチンカー」である。遊技の結果に左右されない体験価値を提供することで、ホールに足を運ぶ理由を増やし、ファンとの接点を広げる。

本稿では、ファン創出施策の一例としてキッチンカー企画の可能性について、キッチンカーの代理店や実際の出店者からの生の声を交えつつ考察をしていく。後半では実際にキッチンカーで販売されているメニューの一例も紹介しているので、自店の招致の参考としていただけるとありがたい。

 

【パチンコホールとキッチンカーの親和性】

実際にホールのキッチンカー施策の成功例として、毎週同じキッチンカーを出店することで、ホールユーザーの認知度を高めていったり、ホールの敷地内に複数のキッチンカーを出店させて「マルシェ」を開催したりとあらゆる事例があるため、これからキッチンカー施策を始めようとしても、ホールにマッチする成功例を探し出すのは難しい。

そこで、キッチンカーを派遣する代理店の担当者に、招致にあたってどのような点を考慮すべきか話を伺った。あわせて過去にパチンコホールに出店した経験のあるキッチンカーの出店者にも話を伺ったところ、招致の準備段階において販売するメニューを考えるよりも先にパチンコホール側が考えるべき要素が明確に存在した。

 

キッチンカー業界に聞く、パチンコホールとの親和性

キッチンカーとパチンコホールの親和性について、キッチンカーをイベントなどに派遣したり、実際にキッチンカーを運用したりしている代理店の方にお話を伺った。合わせてキッチンカーの出店者にも話を伺ったので紹介する。

 

「パチンコホールと、キッチンカーについては、親和性が非常に高くなりうると考えます。しかしそれは、すべてのパチンコホールに対して言えることではありません。高い効果を引き出すにあたり重要なのは、キッチンカーを招致する目的と、実現可能性を明確に捉えることです」とA氏は言う。

「招致する一番の目的が昼食の提供なのであれば、やはり招致すべきはそれ単体で主食となりうるメニューを提供するようなキッチンカーです。しかし食事休憩ではなく、10分程度の離席にあたる小休憩を充実させようという目的であれば、手軽に飲食ができるようなメニューが充実しているキッチンカーを選択すべきです」とのこと。

飲み物の提供、たとえばコーヒーを販売するキッチンカーであれば、タバコ休憩との親和性も考えられる。目的がブレると、キッチンカーそのものに注目が集まらなくなり、思うような集客につながらず、ホールのファンを創出するという結果にはつながりにくい。

また、「実現可能性については、各ホールが活用できる空きスペースを把握することが重要です。出店者がキッチンカーを営業できる空間はもちろんのこと、販売したものを飲食できるスペースもないと効果を最大化できません」とA氏は言う。飲食可能な場所を確保できないと、買った物をどこで食べるかという点を考えなければならず、買い控えが生じてしまうとのことだ。

それらをクリアした上で、ホールのユーザー層にマッチするメニューは何かを考えるべきだとA氏は言う。

キッチンカーへの注目を集めるならば、当然ながらホールで遊技するユーザー属性にマッチするメニューを提供すべき。若年層が多く来店するホールであれば、量の多いメニューが機能する可能性が高い。しかしメニューに関しては出店者側が調整することも可能なので、まずはホールの目的・空きスペースについて考えを巡らせることが優先となる。

 

キッチンカー出店者の声

 

パチンコホールへの出店は、親和性が高いと感じます。私は普段はオフィス街で、週に1回曜日固定で出店をしているのですが、定期的に出店することでメニューを覚えてもらえて、リピーターさんを増やすことに成功しています。以前は週末のたびにパチンコホールさまに出店をしておりまして、リピーターさんが多くいらっしゃいました。

パチンコホールにいらっしゃるユーザー層にもあまりブレがないので、30代〜50代の男性を中心に想定したメニューを提供するのが効率的だと想定しやすいのもありがたいですね。その場で飲食できるメニューだけでなく、持ち帰り可能なメニューも比較的人気がありました。 

 

パチンコホールは建物そのものが大きいですが、建物に入っていく動線がかなり限定的なので、多くの方の目に止まる感じました。

しかし飲食可能な場所がないと、買った後にどこで食べるかという懸念点がひとつお客さまの中に生まれてしまうので、飲食可能な場所の確保は重要に感じます。フェスやマルシェのように、仮設のもので構いませんのでベンチを設置するだけでも変わるかなと考えます。車でお越しの方が多いホールであれば、車に戻って食事を摂ることができますが、公共の交通機関や自転車でお越しの方が多いホールは特に飲食場所を確保した方がいいでしょう。

 

【キッチンカーメニューのご紹介「ちょっと見てみようかな」と足を止めてもらうことが重要】

目的を定め、実現可能性をパスできれば、いよいよ招致するキッチンカーの候補探し。提供されるメニューは多岐にわたり、主食から軽食、変わり種の品まで多様化している。2026年現在、実際にキッチンカーで提供されているメニューを、ジャンルごとに紹介していく。

 

バーガー系

パンを使用したメニューは主食となるため、成人男性のユーザーが大半を占めるパチンコホールとの相性が比較的良い。フライドポテトや飲み物も同じ店舗で購入することができるため、近隣のコンビニや自販機などに寄らずとも1店舗で食事関連の購入を済ませられるのもメリット。

左から順に

①ハンバーガー・ポテトセット:ポテトやチキンなど、サイドメニューを扱う店舗も多いため、複数人でシェアも可能。

②割包(グーパオ):ふかふかの生地に、ホロホロのチャーシューを挟んでオリジナルソールで仕上げた台湾の伝統的な蒸しパン料理。ボリューム感も申し分なし。

③サバサンド:手のひらほどもある大きさのサバの切り身を、丁寧に焼き上げてパンに挟んだもの。骨の処理も丁寧にされており、豪快にかぶりつける。

 

麺類

食べ歩きの難しい麺類は、腰を据えてじっくり食べる場所の確保と、器や箸などのゴミの回収を徹底するなど適切な運用が課題となるが、軽食の域を超えた本格的なメニューを提供することが可能となる。

左から順に

①背脂マシマシ油そば:コッテリの象徴である背脂をどさっと乗せた油そば。提供時間の短縮のため麺は比較的細いものを使用している。

②台湾まぜそば:ニラの食感は素晴らしく、半熟卵の完成度も申し分なし。店舗で食べる一品と遜色ない。

③創作そうめん:ほのかな麺つゆの風味と、オリーブオイル香る一品。しっかりと味がついているため別皿での麺つゆの提供の必要もなく、食べやすさも工夫されている。温・冷のどちらかを選べる点もgood(画像は冷)。

 

スナック系

飲食スペースが限られている場合は、食べ歩きができるようなメニューと相性がいい。特に揚げ物は調理後の状態でストックできるため、提供までのスピードが早いというメリットもある。

 

左から順に

①焼き小籠包:やや変わり種メニュー。皮の中にギュッと肉が詰まった一品は、見た目以上に満腹感が得られる。

②ハムカツ:揚げ物の中でも定番級のメニューのひとつ。基本的には1個あたりの価格が低いことも魅力。

③唐揚げ:定番メニューなだけに、衣の味付けや、付け合わせのソースの味で差別化を図る例が多い。キッチンカーによっては唐揚げ単品でもライスをつけて弁当の形でも販売する店舗がある。

 

変わり種メニューもご紹介

海沿いのエリアで出店されていたキッチンカーでは、地の海鮮を活用して料理を提供する店も複数見られた。食事というよりも晩酌の肴という雰囲気が色濃く出ているが、遊技の帰りに土産として持ち帰り、自宅で一杯という選択肢が増える。

左から順に、小アジの唐揚げ、焼きはまぐり、アジフライ。

 

【まとめ】

キッチンカーの招致にあたって考慮すべきは、目的・実現可能性・ユーザー層の分析だ。早い話、ホールのユーザー層にハマるかどうかを真っ先に考える必要がある。実際の招致までに考えるべきポイントは少し多いが、キッチンカーの招致は派手な演出や大きな投資を必要としない(相場感としては数万円程度)一方で、ホールに新たな〝来店理由〟を生み出せる現実的な施策だ。営業調整や機種構成に制約がある中でも、遊技以外の体験価値を加えることで、ホールの印象は大きく変わる。重要なのは、キッチンカーを単なる企画として終わらせず、ホールの個性や目的、客層に合わせて活用することだ。

招致までの具体的なフローについては省略したが、出店ができそうな予算と、ホール敷地内の空間があるようであれば、ファン創出の一手として考えてみてもいいかもしれない。

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