徹底分析・グランドオープン店舗の成功要因と今後の展望[CASE4/デルパラ9東浅川店]
2025.01.21 / ホール
シンプルな外観とゴージャスな店内
都内とは思えないゆったり空間
全国各地で大型店舗の出店が目立った2024年の年末。
その中で東京都内で営業を開始した「デルパラ9東浅川店」のオープン当日の様子をレポートしつつ、都内の大型出店とパチンコ業界の「今」を探った。
12月26日、東京都八王子市で新たな大型店がグランドオープン日を迎えた。東京都内で5店舗目となる「デルパラ」グループの新店「デルパラ9東浅川店」がそれだ。
パチンコ440台、パチスロ603台の計1043台の設置(その内低貸が250台)を誇る大型店舗であり、web上で公開されたポスターには「地域最大級」という自負の言葉も確認できた。
また今回の出店に際しては公式アンバサダーにキックボクサーの武尊氏を起用するなどPRにも余念がなく、その効果もあってか20日から行われた先行会員登録・入場抽選券の配布では、無事に規定数の1000名に達し打ち切りが発生していた。
そして迎えたグランドオープン日、店舗前には優先入場券を持つファンに加え、当日の一般入場客約100名が集まった。11時30分過ぎに始まった入場では大きな混乱もなくまずは20スロがほぼ満席に。ついで4パチのラッキートリガー搭載機が順当に埋まった。4パチの甘、および低貸の席には空きがある状態でのスタートとなっていたが、これは現在のユーザーのトレンドが反映された結果であり仕方のないことなので問題というほどではない。なんにせよ、事前PRからオープン当日の集客、そして稼働に関しては「デルパラ9東浅川店」のローンチはひとまず成功だったといえるだろう。

当日は20スロはスマスロを中心にほぼ満席でのスタートとなった。4パチもLT・海などを中心に高稼働。
設備などはどうだったか。多くの関係者が稼働を見守る中で店舗内を細かく見て回ったところ、まず目についたのは内装を含めた店舗の作りのゴージャスさ。やや郊外に位置する立地ということもあり存分にスペースを使った喫煙所や休憩室などがよい意味で都内っぽくない作りになっている。さらには委託運営食堂「情熱食堂」の併設も、普段関東で打つことが多い近隣のファンにとっては珍しく好奇心をそそるものに感じるだろう。
ちなみに休憩スペースにはなんと1台のみではあるが「立ちスロ」が設置されていた。しかもスマスロである。立ちスロといえば5号機の段階的撤去時に自主規制として設定された高射幸機の設置比率を達成するために、言葉は悪いが悪用していた店舗が見られたこともあり、あまり良いイメージがない関係者も多いだろう。が、今回の設置はそういった意図を一切感じない単純なお遊び要素のように見えた。実際に目の前でそこに設置された「バイオハザードヴェンデッタ」を立ったまま打つユーザーもいるなど、これは5スロにおいてすら稼働するか怪しい台の「有効活用」としては面白い例ではないだろうか。

都内の店舗とは思えないほどスペースを贅沢に使った休憩室。その他、喫煙所やトイレなどもラグジュアリーな作りだった。

なんと休憩室横で「立ちスロ」を発見。しかもスマスロだった。物珍しさからか早速プレイするユーザーの姿が。
「トワーズ西八店」の目と鼻の先
シナジー効果を生み出すか
さらに、デルパラ系列の特徴だが、内装のゴージャスさに対して外装は極めてシンプルなものだったのも面白いポイントだ。カラーリングを含め一見するとパチンコ店に見えないようなデザインとなっており、それを勘案してかオープン前は店舗周辺に複数の誘導員が立ち、並び場所などを案内していた。
また、今回の新店舗の立地は「トワーズ西八店」の目と鼻の先、建物を一つ挟んだだけのほぼ隣接した場所だ。商店街ならいざ知らず、郊外のほぼ住宅街のような場所にパチンコホールが密接しているのはあまり見られない光景であり、意外な面白みが感じられた。今後はこの近接した店舗同士の営業がどんなシナジーを生み出してゆくのかにも注目したい。なんにせよ、年末商戦期に誕生した都内大型店に胸を踊らせたファンも多かったであろうし、また、店側からもその期待に応えようとする意気込みは充分に感じられた。

当日は誘導員に目の前の店の場所を聞くユーザーも。
5号機及びCR機の完全撤去やコロナ禍、分煙化などの影響により長らく減少が続くパチンコ・パチスロファン数に対し、2024年の市場規模は約1.1兆円のプラスになったという調査結果(レジャー白書2024)がある。実際、2024年は東京都内だけでも1000台規模のグランドオープンが相次いだ。4月の「コンサートホールエフ成増」(904台)と「アミューズ浅草」(955台)、そして8月の「プレゴ立川店」(1354台)、そして今回の「デルパラ9東浅川店」(1043台)。これでなんと4店もの大型店が誕生したことになる。2023年の同規模の新規出店が、都内ではかろうじて1月の「楽園アメ横店」(887台)のみだったことを考えると感慨深いものがある。これは当然ラッキートリガーの登場やスマパチ・スマスロ機の好調な稼働も影響してのことだと思われるが、全体の流れとして落ちるところまで落ちてついに底を打ったようにも思える。
2025年はそれに加えボーナストリガー機の登場も控えており、さらにはラッキートリガーの利用方法のさらなる進化にも期待ができる。いまだシュリンクが続くパチンコ業界ではあるが、2024年に都内で相次いだ大型新規店舗の出店は、もしかしたら長らく続くパチンコ業界の夜の終わりを告げる、福音なのかもしれない。