岡野陽一の今月の汁台-No.04

2023.12.17 / 連載

「その行為は最低だからやめた方がいい」

汁台の話をする前にこれだけ言わせて欲しいのですが、勝った時にSNSに書き込んでいる人はちょっと気をつけた方がいいかもしれないですね。なぜなら基本誰も他人の勝ち報告を望んでいないからです。

喫煙所にいると後輩の芸人がしゃべりかけてくれることがあるのですが、その第一声が大体パチンコで勝った報告なんですよ。私はお笑いのアドバイスとかそういうことはもうやめましたが、その時だけは、「その行為は最低だからやめた方がいい」とお伝えします。別にその後輩からしたら「せっかく岡野に話を振ってやったのにやっかまれて草」とか思うのかもしれませんが、まぁどう思ってもらってもいいです。

たしかに私も1年か2年くらいだけ、プロとしてマシーンになっていた時期があるので、サラリーマンの稼ぎを馬鹿にしていたこともありました。でも、あの時のまま芸人になっていたら、何にもなれていなかっただろうなと思ってゾッとします。

芸人に関しては、相性が悪いんじゃないですかね。「俺勝っている報告」をする人は、先輩も後輩も今まで何人もいました。でも、その人たちが売れているかというと、やっぱり誰も売れてないんですよ。今はクズ芸人という不名誉な称号をいただいておりますが、時間とお金を費やしてきた分、負けている側の人の気持ちが分かったことがでかいのだと思いますね。これ、一般の方もそうだと思いますよ。同僚に「昨日勝ってさ〜」なんて言われても、「そうなんだ」としか思わなくないですかね。奢ってくれるとかなら話は別ですが、褒めてほしいのか意図が分からない。そんな話でございました。


はい。それでは汁台の方にまいりましょう。「eRe:ゼロ2」です。人気もすごいみたいで僕も何回か打ちにいきました。えぇ。1回しか当たらなかったですけども、それが3万発くらい出て、ちゃんと単発も1回引いて「これは汁だな」と思いました。 

偏見も入っていますが、大ヒットした機械の後継機って、2世タレントみたいな感じで大概失敗するというイメージだったんですけど、変な改造もしてない感じで好印象。「SAO」がありましたけどスマパチでのヒットが、なかなか難しいという中でのあれはお見事。

「eRe:ゼロ2」の何が〝汁い〟かというと、前の「Re:ゼロ鬼がかり」ってヘソでの抽選だったんですけども、今回からシステムを変更して右打ちした時の一発目でラッシュ突入をかけて55%の抽選するわけです。そうです。これはもう私が大好きな「マクロス式」(※編注「Pフィーバーマクロスフロンティア4」のこと)になったわけです。最初は知らずに打っていたのですが、実はRUSHをかけた抽選をそこでしていると聞いて、「まさにマクロスじゃないか」と。

4号機の頃から、若者ってパチスロの方が好きというイメージがあるけど、それって技術介入やレバーオンでの抽選など、自分のヒキで決まっていくのがでかいと思うわけです。パチンコって自分で引いてはいるんだけど、いつヘソに入った玉で抽選したのか、その瞬間までは分かりません。いわば、無数にヘソに入った中の1玉が当たりだったという後告知なわけです。

私が「Pマクロス」を好きだった理由は、一球入魂という部分。「レールガン」もそうでした。今回の「eRe:ゼロ2」がそうなったことが非常に嬉しく、これは逆に言うと、単発だったとしても自分がダメだったということで納得がいく良いシステムだと思います。

ちなみに、349がキツイかどうかについては、私はまったくなんとも思っておりません。ライトミドルと319の違いすら何とも思っておりませんからね。むしろ「今日は金ないからライトミドルいこう」で全財産失ったような、逃げた挙句に大負けするという一番ダメな負け方をしたことが何回もありますので、プライベートで打つ時は必ず現行機種のマックス確率のものを打ちます。

私の持ちネタに、袋の中に319枚の紙を入れて、その中から1枚引いては戻してを繰り返してパチンコの抽選を説明するというものがありますが、319から349になって30枚増えたところで、試行回数を重ねて収束するまでに死にますからね。それに分母30くらいだったら気合いでなんとかなります。

パチンコでメンタルなんてことを言うと、期待値論者には鼻で笑われるかもしれないけど、時間がない時ほど当たるという現象もまだ科学で解明されていないじゃないですか。「設定1だ1だ」と思って諦めながら打つのと、「大丈夫1でも当たる時があるんだから。ここ引けばいい」と思って打つのでは、時に結果は好転することもありますし、うまくいかなくても理不尽に落ち込んだりせず、「こんなもんか」で済ませればいいのです。

話が戻りますが、芸人の世界では負けたことを他人に言える方がプラスになることがあります。プラスをプラスにしようとしているのがわがままというか、負けて唐揚げ弁当を泣きながら食ってる人の方が面白いと思いませんか。それでも「どうしても俺は勝ち報告をしたいんだ」という人は、1万円をわたしてからだったら相手も不快にならないと思いますので、ぜひやってみてくださいね。 

 

岡野陽一の今月の汁台, eRe:ゼロ2