【特別インタビュー】元マルハン人事本部長が描く転職支援の理想像

2023.11.14 / その他

業界トップ「マルハン」元人事本部長の肩書きを持つ男が新しくエンタメ業界特化型の転職支援サービス「エン・ジョイ」をスタートさせた。

「時代がどれだけ進歩しても結局重要なのは人」と言い切る男が語る新しい支援サービスの中身とは!?


「共感採用」を貫き続けた マルハン元人事本部長の足跡

 「パチンコ」とはほぼ無縁の人生を歩んできた松田昌益氏が「マルハン」に入社することになったのは1991年のこと。大学時代の先輩である現株式会社マルハン代表取締役韓裕社長(以下韓社長)に誘われて静岡県の業界改革モデル店舗の立ち上げに参加することになったのが業界に入るきっかけだったという。

 「どちらかというと自分自身パチンコは苦手でお店で遊ぶこともほとんどなかったのですが、部活の後輩だった私のことを気に入っていただけていたのか、まったく違う業種で働いていた時に『パチンコ業界を変えたいから一緒に働かないか』と声をかけてもらいマルハンに入社することになりました」と語る。

   韓社長は、既存店舗を変えようとしたものの、なかなか当時の現場店長たちの理解が得られずにいた。そのため、自らモデル店となるべき店舗を一から作ろうと既存店の「草薙アピア店」をモデル店として、新たに作り替えていくことになった。

 「当時、パチンコ店は接客、サービス業というにはほど遠く、お客さまが不正をしていないかどうかを監視・管理することに重きを置くような仕事であり、世の中的にはクレジットカードはおろか、レンタルビデオ店の会員カードすら作れないような業種でした。従業員たちも自分たちの仕事を誇れないような状況で、裕社長はそういう業界を改革したいと考えておられました」

  パチンコ店の人材登用といえば、アルバイト採用もほとんどなく、すでに別店舗に勤務していて、パチンコ店での仕事のノウハウを持つ人材をメーカー担当者から紹介してもらったり、引き抜いたりするのが当たり前だったという。

 「店長を引き抜くと4〜5人の人材が一緒に付いて来るような時代だった」と松田氏は当時を振り返る。

 そんな中で「草薙アピア店」は、サービス業として、アルバイトも積極的に登用し、他のパチンコ店とは異なる「仕事を誇れるような」店舗にしていくことを目指していった。

 「業界改革に取り組むと同時に、2年9カ月にわたり新規出店を止めました。そして、当時でいうとスポーツ新聞の一行広告みたいなのがパチンコ店の採用情報として使われていましたが、新たに『デューダ』のような求人誌に掲載して、中途採用や新卒採用も積極的に行っていこうと改革を進めていきました。当時はバブル崩壊のタイミングで、他業種の採用が渋かったこともあり、今まで見向きもされなかったパチンコ店でしたが、給料の高さも追い風になって徐々に注目を集めるようになっていきました」

 また、今でこそアルバイト採用は当たり前であるが、当時のパチンコ店でのアルバイトはメジャーではなかったため時給の高さを売りにして学生やフリーターを集めていったという。

 こうして、新たな人材を積極採用していくことで監視や管理することがメインのパチンコ店の仕事を「接客・サービス業」に変えていくことに成功した松田氏たちは日本一のパチンコチェーン店となる「マルハン」の礎を作っていった。


「業界を変える」熱き想いから生まれた 「共感採用」の思想を受け継ぐ

 「草薙アピア店」でパチンコ業界のキャリアをスタートさせた松田氏は、さまざまな店舗で現場仕事に従事。主任、店長、エリア長、営業部長として約17年間にわたって現場に携わった。その後、人事の責任者になってほしいという社内辞令を受けることになる。それまで人事関係の役員は韓社長が兼務していたが、社長業に専念するということで、松田氏が人事担当役員として、人事本部長となった。松田氏は韓社長が推進してきた自社に「共感」してくれる人材を登用する「共感採用」の思想を受け継ぐことになったのである。

 「私が責任者になった頃は、新卒の内定が早期化する時代となり、新たな採用戦略が求められました。そこで部下からの提案で取り入れたのが『インターンシップ制度』です」

 松田氏たちが取り入れたインターンシップで実施されたのが、40名くらいの学生たちを無人島に招待して、グループごとに協力し合ってミッションをこなしていくというもの。マルハンとしての理念やビジョンを伝えるだけでなく、学生たちがミッションをこなすことで、人材の適正や能力を図ることもできたという。

 「入社前に人材の適正や素養を見ることができるのは採用担当者として安心できますし、マルハンの思いを伝えることもできる。理念や目標に共感してくれる人材を登用できるので、インターンシップは実施して良かったなと感じています」

 無人島のインターンシップはその後なくなってしまったが、施策の根底にあった「共感採用」は、その後の人事採用に大きな影響を与えていると松田氏はいう。


 キャリアを生かして会社設立 新たな事業として転職支援を開始  

 マルハンで業界変革のモデル店舗を立ち上げ、人事本部長として「共感採用」を推進した松田氏が、独立して立ち上げた会社が「株式会社TM2(ティーエムツー)である。同社はこれまでの松田氏のキャリアを生かして業界内、そして業界外の建物の修繕や設備のメンテナンスなどを行うことを生業としてきたが、コロナ禍もあって「新しい事業を模索していた」と松田氏は語る。

 そこで新たにはじめることになったのがエンターテインメント特化型転職支援サービス「エン・ジョイ」である。詳しい特徴は下記のカコミに記載するが、松田氏がこれまでに携わってきた人事に関するノウハウを生かすべく、有料職業紹介の免許を取得して本格的に始動する。

 「業界はコロナや広告宣伝ルールの規制、遊技機のスペック問題など、さまざまな苦難に直面して厳しい状況が続いています。新卒採用も人が集まりにくいと聞きますし、40代、50代で転職を考えている人も多いと思います。しかし、パチンコ業界に限らず高齢になるほど、転職は難しく二の足を踏む人もいるでしょう。ただ、自分から見れば、40代も50代もまだ現役で輝ける場所があると考えています。今回始める『エン・ジョイ』は、ただ新しい転職先を紹介するだけでなく、登録された方と自分がじっくりと話し合って、最善の道を一緒に探していくことを目標にしています」

 こうした支援サービスはどれだけ多くの人と企業をマッチングできるかが重要なはずだが、松田氏は話し合いによっては「今の会社に留まった方が良いとアドバイスすることもあり得る」という。

 「転職支援ですから新たなステージをご紹介するのが当たり前だと思います。しかし、登録された方のスキルやポジションなどを考慮して『転職は得策ではない』と考えれば在籍されている会社に留まるアドバイスもします。マニュアル化された杓子定規な対応は本当の支援とは言い難いと思っています。転職希望の方に親身に寄り添うことがもっとも重要ではないでしょうか」

 代表である自身が面談を行っていくことは非効率かもしれないが「手間暇かけても登録された方が第二、第三のステージで輝いていけばみんなが〝楽しく〟そして幸せになれると思うのです。それを信じてやっていくだけです」とサービス名称に込められた熱い思いを胸に松田氏は意気込んでいる。


代表:松田昌益(まつだまさよし)プロフィール

1965年生まれ58歳。マルハンの韓裕社長に請われて1991年に当時のマルハンモデル店舗である「草薙アピア店」の立ち上げメンバーに加わる。以降17年にわたって店舗で現場業務に従事した後に営業部長、人事本部長を歴任。2019年にマルハンを退社し、株式会社TM2を立ち上げる。業界内外の建築物の修繕や内装工事、設備メンテナンスを手がけ、近年は飲食業にも参画。今年11月より転職支援サービス「エン・ジョイ」を開始する。


エン・ジョイ公式サイト(お問い合わせ)

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