大阪府のホールに見る「出禁」の正当性、お客さまは誰もが神様ではない?

2023.05.05 / ホール

大阪市城東区のホールがSNS上にアップした宣言が物議を醸している。

内容自体は「軍団に対し厳しい店舗の姿勢」を打ち出すもので過去にも同様の書き込みをおこなったホールが度々話題になっており、今回もご多分に漏れず賛否両論を併せ多くの声が集まっている。


話題となったのはホールの公式とみられるTwitterアカウントによる4月27日付のツイート。

内容は「5月からの施行ルールとはなりますが、当店が明らかなリセ狩り&エナプ目的の期待値稼働とみなした場合、プロ認定します。プロ認定=出入り禁止処分&会員権停止の対象となります。会員権停止となれば、残念ながら貯玉も全て無効となります(※元ツイートでは最後に笑顔の絵文字が表示される)」というもの。

ホール側が公式見解として「貯玉無効(没収)」にまで言及する例はゼロではないがやや珍しく、当該ツイートは大手まとめサイトに取り上げられ瞬く間に拡散。ツイートから3日が経過した現在までに約86万のインプレッションと500弱のリツイートが成されている。

批判の声として目立つのが「エナプ(ハイエナプレイ)」「期待値稼働」などの定義があいまいである点と、それで貯玉無効(没収)はやりすぎであるというもの。これが許されるのであれば「単に店が気に食わないというだけで出玉を没収することができるのではないか」というロジックによる批判である。

それに関して当該アカウントは「(※前略)1発で会員権停止するわけではありません。お話のうえ、どうしてもご納得いただけない方がいらっしゃる場合、私的自治として、こういった対応もできますよと明文化したしだいです」と説明を重ねている。

宣言への反論のなかにはもはや罵詈雑言に近いものまであるが、実際の所、多くのホールにとって店舗のルールに違反した客の出入り禁止、出玉没収、会員権停止などの処理は日常業務のなかで当たり前に発生するオペレーションのひとつに過ぎず、主に没収された側の告白で公になる例は多い。

去年はパチンコ専門誌で活躍するライターがルール違反により系列店全店の出入り禁止と貯玉没収がなされた事実を公表した例もあり、これは本人の知名度もあって大きな話題になった。つまり貯玉無効(没収)自体はすでにある程度は認知されており、これ自体が炎上しているわけではない。

今回の炎上は「貯玉無効(没収)」の存在そのものではなく、その単語を用い、その周知を店舗が自らおこなったことが火種になっており、これを「脅し」と捉えたプロ的な立ち位置の人物たちが率先して批判のリプライを送信しているとみられる。

一方でまた、当該店を擁護するツイートも多くみられる。意見として目立つのは「明らかなリセ狩りやハイエナ行為を行うのはただの迷惑客である」「ルールを守るのは当たり前である」というもの。「一般客と迷惑客の線引の難しさ」について言及しつつ店を応援する声もあり、炎上とはいえ決して批判一色というわけではない。

賛否両論が割れているのは、いわゆる「ハイエナ軍団」の存在がホールだけではなく、パチンコ・パチスロを遊技として愛し、それを楽しむために来店している一般的なユーザーからも迷惑な存在であると認知されているのも一因であると考えられる。

運営法人は道楽でホールを営業しているわけではなく、そこで社員やアルバイトを養いつつ可能な範囲で放出の予算を組んでいる。お金を使うユーザーがいないとそもそもの仕組みが成り立たないのは運営に携わったことがない人間にとっても明らかであり、店舗が推奨しない遊び方で出玉だけを取っていき利益に貢献しない彼らを、一般的なユーザーは本能的に敵であると理解しているのだろう。

本来は一般的なユーザー同士で公平に競うべき牌を、ただ不正に掠め取っていくだけの存在である「ハイエナ軍団」あるいは「ハイエナプロ」は、なぜかホール法人が無限の体力を持っており、自分たちを養って然るべきであると勘違いしている節がある。

当然、ホールには彼らを養う義務などなく、ルールに従わないのであれば遊技を断る自由もある。出玉・貯玉無効(没収)についても、遊技ルールをしっかりと告知し、相手がそれを守っていない・注意しても従わないのであれば断行已むなしである。実際に同様のトラブルで訴訟まで発展した例では店側に有利な判決が下っている。お客様がホールを選べるように、ホールもまた、彼らを選んでもいいのである。

事実、ただ「お客様である」という理由だけでルールを無視する悪質なユーザーに対し、厳しい姿勢を打ち出すホールはここ数年で目に見えて増えている。この流れは業界全体がシュリンクしていき収益構造が変化していくなかで、より明確に進んでいくだろう。もちろん「勝ちにこだわる」ことは遊技の本質に関わることであり、決して悪ではない。が、それもルールの範囲内での話である。

誰もが公平に楽しく遊べるホール環境づくりのためにも、不正遊技に対する対応をもう一度考えていきたい。

 

 

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