警視庁OBが設立した団体「さくらコンプライアンス委員会」代表、上村正明氏に聞く

2023.03.20 / その他情報

今年1月、突如として設立された団体「さくらコンプライアンス委員会」。その運営母体は警視庁OBメンバーからなる株式会社システム・セキュリティー・サービス(以下略シセック)である。誌面に続き今回のインタビューでは、シセックとはどのような企業なのかを明らかにした上でさくらコンプライアンス委員会の実態に迫っていく。


PiDEA編集部(以下略編) まずさくらコンプライアンス委員会のことをお聞きする前に、さくらコンプライアンス委員会を運営しているシセックについてお聞きします。シセックではこれまでパチンコ業界とどのように関わってきましたか。

上村正明代表(以下略上) シセックのメンバーは、警察庁を経由した者も含めて警視庁の組織犯罪対策部、生活安全部、刑事部を経験した警視庁OBで組織した会社です。

主な業種は警備業、調査業、探偵業なども警察庁から認可を得て行っています。メンバーの中には元警察官ではなく、ITコンサルティングなどを務めている者もいますし、シセックの会長は大手企業の監査役を務めてきた経理業の専門家です。一般企業とパチンコ業界の会員比率としては半々くらいで、電力会社や大手出版社なども中にはあります。

そんな我々とパチンコ業界との関連性についてですが、これまで調査業で数十件に及ぶ相談事案を担当してきました。例えば、警察の立ち入りにおいて指摘を受けた際に、その時最適な改善方法を教えてほしいと。あるいは、土地取引などの際に、「相手方が反社的なにおいがするので調べてほしい」といった調査依頼などもあり、実際に調査したところ実は反社だったというようなこともありました。

編 取引している企業はどういった部分を魅力に感じてシセックに依頼をするのでしょうか。

 取引先からは、「警察的な観点で相談に乗ってくれるので安心して相談ができる。非常に助かっている」と聞いています。実際に契約関係には至りませんでしたが、案件ごとに個別の相談などはパチンコホール大手企業からも数多く寄せられています。

編 上村さんの現職時代のキャリアについてもお聞きできますか。

 私は警視庁警察学校に入校した後、1年の研修を経て、まず最初に築地警察署に配属になりました。その後、第6機動隊で4年半くらいで巡査部長になり、牛込警察署へ。そのあと、第5機動隊に配置換えとなり、成田闘争、ひめゆりの塔事件、あさま山荘事件、新宿騒擾事件、東大安田講堂事件など、多くの事件に駆り出されていました。

その後は警察学校の拳銃の指導教官として6年間務めました。教え子は3500名くらいいて、今まさに警察幹部として活躍している人たちが多数います。

そして次は官房長官からの辞令をもらい迎賓館の警備係長(事務官)としてゴルバチョフやジョージ・H・W・ブッシュなど18カ国の国賓の身辺警護を担当しました。

すべてをお話しすると非常に長くなるのですが、小金井警察署や町田警察署の生活安全課長などパチンコ業界と関連のある部署も担当しています。警視庁生活安全部管理官として薬物対策課の管理官や千住警察署の副署長。組織犯罪対策部理事官などを歴任してきました。

60歳で満期退職となってからは一般企業の調査役として再就職。5年勤めたのち次は博報堂の顧問を務めるなど一般企業も経て、シセックを立ち上げました。自分の信頼のおける友人を集めて一緒にやろうよとなったので苦労はありませんでしたね。

編 パチンコ業界全体のコンプライアンス意識についてどう思いますか。

 以前と違って、今コンプライアンスに対する感覚は業界全体が非常に高いものがあると思っています。ただ、一部にはまだこれから改善が必要なところも感じます。反対にパチンコ店側が事件の被害者になったり、犯罪の舞台になったりする場合もありますので、警察との協力体制が取りやすくなるよう、我々がお手伝いをできればと。

編 パチンコホール企業にとってコンプライアンスがなぜ重要なのでしょうか。

 2013年に発生した「餃子の王将社長射殺事件」などが非常に印象に残っていますが、暴力団と何十年と付き合ってしまっていたわけです。また、ここ最近警察庁が晒し屋を使った違法な広告宣伝の手法を指摘するなどのニュースもありました。大前提として経済は自由であるべきですが、取引する相手が健全かどうかはしっかりと見定めなければ後々大きな事件に発展してしまう場合もありますし、それが世に広まればいちじるしくイメージをダウンさせてしまいます。ビジネス上では安全な取引ができない場合もあります。さくらコンプライアンス委員会は安全な企業だけを集めた集団にすることで、パチンコ業界の健全化に寄与できるようにしていきたいのです。

編 発足からしばらく経過しましたが、どういった企業からの反応がありますか。

 やはり一番はホールです。それから業界でも大手広告代理店や遊技機販売企業などから申込がきています。一般企業だと大手出版社。私が聞いているところでは、いわゆる脱法的な話ではなく、警察の指導を受けないためにどう企業として律していけばいいか、そういうのを知りたいという話もありますので、今後はセミナーやダウンロードコンテンツなどを通じてお伝えしていきたいと思っています。

さくらコンプライアンス委員会に入会することの最大なメリットは、健全な企業であるという社会的な認知度が高まることです。コンプライアンス委員会で発行するステッカーや認定書があることによって、信頼のおける企業とイメージがアップしていきます。また、昨今のビジネスでは日々新興企業がスタートアップしていきます。そういった企業でも当委員会に入会することで、安全な企業であることが証明できるのです。

編 今後の展望などを教えてください。

 パチンコ業界というと、グレーなイメージを持っている人も少なくありません。企業としてしっかり運営されていますが、どうしてもイメージが悪い。というのも、アンダーな人たちと付き合いがあった時代があったからであり、それがいまだに尾を引いているんじゃないかと思っています。

まずは当会のような団体で安全であることを社会に知ってもらい、さらに業界の中にいる人たちがコンプライアンス的に何を基準にビジネスを展開していくかを測る基準となっていきたいです。


さくらコンプライアンス委員会HP:https://scc.sysec.jp/

 

 

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