新・広告宣伝おさえておくべき4つのポイント

2023.02.10 / 組合・行政

2023年1月25日、警察庁HPに「ぱちんこ営業における広告及び宣伝の取扱いについて」という通達が公開された。これは警察庁が昨年末、警視庁および道府県警察に向けて発出したもので、パチンコ店の広告宣伝についての取締りのルールを記したものである。A4用紙6ページにわたって言及された内容を見れば、過去の通達と比べて穏やかな印象を受けるものの、行政文書である以上やはり難解である。そこで本誌では、どこよりも分かりやすく、その要点を解説する。

激アツポイント①

告宣伝ルールの地域格差の是正

今回の広告宣伝ルールの変更は「緩和」ではない、と警察庁担当官も業界団体関係者も口をそろえて言う。風営法が定める「良好な青少年育成環境の保持」と「客の射幸心を著しくあおらない」という大原則はかたくなに堅持しつつ、全国的にバラつきがあった法や条令の解釈と運用について統一を図ったというのが今回のルール変更の主旨だ。  ポイントは差異があった運用の基準を、岐阜県や広島県に代表される厳しい地域に合わせるのか、大阪府や富山県などの比較的緩い地域に合わせるのかという点で、おおむね後者の基準に合わせた結果、多くの業界関係者に「緩和」という印象を与えたことは間違いない。

この点で特筆すべきことは、激アツポイント3でも解説する業界団体が質疑書で例示した内容について、警察庁は、風営法に違反しないと明言すると同時に、関連する都道府県条例にも抵触しないと言及したことである。

行政指導の地域格差の一因にも成りうる都道府県条例にも踏み込んだ警察庁の姿勢は、本気で広告宣伝ルールの地域格差を是正しようとする意思の強さをうかがわせる。

2021年8月に行われたMIRAIの勉強会。この時から「パチンコの広告宣伝を見直す可能性」が検討されてきた。そしてこの先も〝時代に適したあり方〟の検討は続く

激アツポイント②

業界団体の自主的な規制を優先させる

10年前の通達と明らかに変わった点がこれだ。

10年前の通達では、パチンコ営業は「清浄な風俗環境を害するのみならず、ぱちんこ遊技に対するのめり込みを促進しかねない」としながら、「厳正な指導及び取締りを徹底されたい」と下知した。  それに比べ、今回の通達では、「一定程度業界における自主的な取組を促しつつ」、警察の指導と取締りは「規制の趣旨も踏まえて特に対応する部分に重点を置いて行う」とした。

具体的には、当面の間、都道府県警察が広告宣伝に関する行政処分を行う場合は、あらかじめ警察庁と事前に調整することを義務付けており、まずは業界団体が作成するガイドラインと、その運用の状況を見ながら今後のことについて判断するという姿勢を示している。

今回の警察庁の寛容な姿勢の裏には、コロナ初期の協力休業や、高射幸性遊技機・旧規則機の計画撤去など、業界団体が取り組んできた自主的な活動が積み上げた信頼と評価がある。

激アツポイント③

警察庁と業界団体の綿密な下打ち合わせ

今回の広告宣伝ルールの変更において画期的だったことは、通達文に対して業界団体が警察庁に質疑書を提出し、その質疑に対して明確な回答を寄越したことである。  

それも1月25日に公開された通達に対する質疑書と回答が翌26日に公開されている。これだけを見ても、今回の広告宣伝ルールの変更に際しては、警察庁と業界団体の綿密な打ち合わせがあったことがうかがえる。質疑書の内容もあいまいなものではなく、具体的なデザインや文言を含む51枚の画像を用いての質問であり、警察庁はそのすべてを明快に「問題なし」とした。

またここには1月20日の全日遊連の理事会における警察庁保安課長講話で話された「他業種では行われているような一般的な広告・宣伝ができなくなることのないようにしたい」という考えが大きく反映されている。

激アツポイント④

これは新たな広告宣伝のスタートに過ぎない

今回の広告宣伝のルール変更は、業界団体と警察庁の1年以上に及ぶ折衝の結果によってもたらされたものである。その始まりは2021年8月のMIRAIぱちんこ産業連盟とPAAの共催で開かれた勉強会での提案である。

その後、日遊協や全日遊連による広告宣伝に関するワーキンググループが立ち上がり、各団体から関係者らが集結する形でホール4団体のワーキングチームが結成され警察庁との交渉にあたった。

業界関係者は言う。  

「これはまだスタートに過ぎない。これから業界内における自主規制の方向性をより具体的に定めていかなくてはならないし、その中で、警察庁に認めていただける広告宣伝の幅も広げていかなくてはならない。そのためにも、全国のパチンコ店では、今回明示されたことからはみ出ることなく、まずは法令順守を徹底してほしい」と。

 

警察庁は保安課長名でホール業界4団体からの質疑書に対し、「法16条の規制に違反することはない。また、質疑書別紙の具体例についても規制に違反するものではない」と回答した。

PART2「警察庁回答書の先にある広告宣伝の未来」はPiDEA198号で!

広告宣伝, ぱちんこ営業における広告及び宣伝の取扱いについて