最新版パチンコホールのパート・アルバイト採用事情

2023.01.27 / ホール

ユニクロを運営するファーストリテイリングが、日本国内の従業員の給与を最大40%引き上げると発表し話題になっている。

これにより、大卒新入社員の月給は25万5000円から30万円にアップ。入社1~2年目で就任する店長の給与も約35%増える。8400人の国内社員が対象となり、国内の人件費総額は前年比15%ほど増える見込みだ。この他、サントリー、ロート製薬はそれぞれ6%~7%の賃上げを表明するなど、大手企業が賃上げを実現しつつある。

エネルギーや生活必需品、それに伴う各種品目の大幅値上げが相次ぎ、景気が低迷する中での物価上昇「スタグフレーション」が発生している。そうした中での賃上げである。社員の暮らしを守ることや、そもそも優秀な人材を流出させないためなど、理由は企業によってさまざまあるだろう。

こうした動きはもうすでにパチンコ業界にも起こり始めている。

昨年11月末には、「123」を66店舗展開する延田グループが12月1日から、グループの全従業員(2847名)の給与引き上げを発表した(正社員は月1万円、パート・アルバイトは時給50円)。すべての従業員が対象となっていることから、従業員の暮らしを守ろうとする姿勢がうかがえる。

一方、年明け1月には、「ガーデン」などを展開するガーデングループ(株式会社遊楽)は、2023年4月より、新卒総合職社員の給与を一律4万円引き上げると発表した。

これにより、大学院卒なら月給29万円、4大卒なら月給28万円、短大・専門卒なら26万円がスタートラインとなる。同社HPでは、「中長期的に成長していくために必要不可欠である『人財』の投資に重きを置いています。今回、新卒の待遇においても、業界最高水準を目指したいと考え、新卒初任給を引き上げることにしました」とその背景が説明されている。

こちらは対象が新卒社員であるため、人財の確保で競合他社をリードしようとする姿勢がうかがえる。


実はパチンコバイトの採用は1月から3月が正念場だった

人財といえば、ホールを回しているアルバイト採用も徐々に難しくなりつつある。

2020年から21年はコロナの影響で採用市場は冷え込んでいた。緊急事態宣言により、(パチンコホール企業のアルバイト採用において)特に競合している飲食や販売のサービス業の求人が減ることとなった。パチンコホールとしては、多くの人が職にあぶれる中で求人を出せば応募はそれなりに来るという状況であり、採用に困ることも少なかったはずだ。

そして2022年。コロナに対する認識も変化し、行動自粛要請など行政指示は基本的に実施されなくなった。活発的に営業を行う企業や店舗が増え始めたために人手が必要とされ、採用市場感的にはコロナ以前に戻ってきたと言える。ますます売り手市場に移行して行っている。

こうなると他業種との引き合いになってくる。この難しさについて、パック・エックスアルバイト事業部の長山瑞季さんはこう話す。

株式会社パック・エックス、営業本部アルバイト事業部の長山瑞季さん

「コロナ禍で先行きは分からない時期でも、しっかり採用を続けてきた企業さんはかなりいい採用ができていました。例えば、接客のプロである元CAの方や体力に自信がある元アスリートの方など、普段パチンコホールの面接を受けないような方も採用することができました。それが、2022年になってコロナに対する行動制限などの自粛的な動きがなくなると、世の中の動きが活発になっていくのと並行して求人も急増していきます。当然、求職者からすると選択肢が増えることになり、業種間での競争は激しくなっていくのです」

そうなのだ。コロナ禍で飲食店などが活動を停止していた頃は、多くの人が一時的に職を失ったりしたことでパチンコホールでもアルバイト採用は比較的しやすかったのではないだろうか。しかしコロナの影響が少しずつ減り始めた今、アルバイト採用はコロナ前に戻りつつある。こうなるとパチンコホールで働こうとする人は少なくなるというわけだ。

これまでパチンコホールでの、パート・アルバイトの優位性といえば、他業種に比べて高時給などがあった。しかし、最低賃金が上がってきている中で、パチンコホールの時給は相対的にポジションを下げることとなった。

2022年12月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査データ【三大都市圏(首都圏・東海・関西)】

分類 平均時給 前年平均時給
販売・サービス系 1110円 1097円
フード系 1093円 1046円
製造・物流・清掃系 1176円 1137円
事務系 1240円 1235円
営業系 1196円 1214円
専門職系 1370円 1292円
その他 1171円 1084円
ホールスタッフ(パチンコ) 1276円 1275円

出典:(株)リクルートホームページ (https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20230118_2539.html)より一部抜粋

パチンコホールのアルバイト平均時給額は1276円となっており、依然として高い状況ではあるが、かつてほどの圧倒的な地位にはもういない。時給格差がなくなっている中でパチンコバイトを選んでもらえる確率は低いということだ。

長山さんは「だからこそ応募が増える4月よりも前に手を打っておくべき」という。さらに採用担当者にとって耳寄りの情報も教えてくれた。

「4月はやはりアルバイトを探している人も増えますし、同様に企業の数も非常に増えます。求人サイトにはよく『上位表示プラン』というものがありまして、たくさんある求人情報の中からオプション料金を支払った企業の情報を上位に表示します。しっかり人員を確保していくためには、そういうオプションなど普段よりも採用費が嵩む可能性があるのです。だからそうなる前に1月から3月にかけての前倒し採用をお勧めします」

通常時では必要のないオプション料金はサイトにもよるが、月間でおよそ4万円ほどかかってしまう。

ではパチンコホールは4月を諦め3月までに全力投球をすべきなのだろうか。

「そういうわけではありません。ただ前倒ししないと取れる確率が低いという話で、4月も掲載するべきです。仮に4月から募集をかけて1人も採れなかったら大ピンチになりますよね。不利なフィールドではなく、なるべくフラットな場で戦う方が得が多いんですよ」

表 4月の求人数を100%とした場合の求人数の変動率(パート・アルバイトのみ)

  12月 1月 2月 3月 4月
全国の求人数(全業種) 69% 74% 82% 93% 100%
パチンコバイト 81% 93% 93% 90% 100%

資料作成:パック・エックス

そもそもの話ではあるが、人がいない・オペレーションが回らないから基本的には人を採用する。「コロナ禍でギリギリまで人数を減らしてきて、いよいよ適正を割り始めてきたから募集をかけよう」というホールがほとんどだろう。4月だけ募集をかけるのは、いわば博打のようなもので、採用できなかった時のリスクを無視していると言わざるを得ない。

また、採用側としては1日8時間勤務のフルオペで入ってくれる人を探すものだが、コロナで人の価値観も大きく変化した。大学生はリモート授業が当たり前になり、社会人も最近は減ってきたが週の半分をリモートワークにする企業などもある。自分の時間を中心にスキマ時間で働くことがトレンドになり、1日ガッツリ働きたいという人はどんどん数を減らしているのではないだろうか。現代人のマインドは、働きたい時間に働きたいのだ。

採用にとって重要なポイントをまとめていく。

①4月ほどの競合性がない1~3月に前倒し採用をすることで、他職種とのバッティングを避ける
→1~3月は選択肢が少ないためパチンコホールでも選ばれる見込みが増える

②賃金以外にパチンコホールで働くことの魅力をつける
→あらゆることに多様性が求められる時代。働き方や髪色などいかに魅力付けをするかは課題になるが、業界全体というより、個社単位で工夫できる。

今は売り手市場なので、求職者も勤務条件を妥協しない。より都合の良い職場を探せることになる。人手不足を実感してから増員を図るのでは遅く、求職者動向やトレンドを踏まえて、先手で動いていくことが大切だ。

問い合わせ:株式会社パック・エックス アルバイト事業部
https://www.pac-ex.com/service/pachinkobaito/

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