何でハンドルにコインを挟んじゃダメなの？ーいまさら聞けないパチンコの常識vol.2

 

ハンドルに何を
挟んだかアンケート
　はーい皆さん、明けましておめでとうございます。パチンコ屋さんに勤めていると「明けまして、締めました」的な、「パチ屋の正月は回収」という古い慣習に絡めて旧石器時代的なギャグを差し込んでくる上司の方とかいますが、そんな時は「何を締めたんですか……？」と笑顔で聞き返してあげてください。決して小学生男子の年賀状ギャグなんかではありませんよ。
　さてさて今月も入社1年目の皆さんに向けての月イチ研修ですが、パチンコ屋さんでは当たり前すぎて、でも実はなんでそうなのか分からないことをちゃんと解説する、名付けて「いまさら聞けないパチンコの常識」の時間です。担当は私、永遠の29歳人事総務課のチェリーこと紗倉千江里が担当させていただきます。
　今月のテーマは、俗にいう「ハンドル固定」。
　早速ですが例のごとく、まずはアンケート調査の発表です。今回はさすがに本社では聞けなかったので、年末の地元の同窓会でパチンコをやったことのある同級生に聞いてみました。質問は「あなたはパチンコ台のハンドルに何を挟んだことがありますか？」
　結果はこちら。 

 やはり「硬貨」が圧倒的です。取り忘れも想定して1円玉を挟んでいるところに社会人として成長した同級生男子たちのリスク管理能力の高さがうかがえます。次に多いのが「バッグクロージャー」。パンの袋の口を閉じる水色のアレのことですね。若干、所帯染みた感じはありますが、ハンドル固定のための機能性は高いと評判です。「プルタブ」なんかは、コーヒー飲んでプルタブ刺してみたいな効率の良さを感じさせますが、プルタブは多くのホールで資源として回収しているのでそちらに協力してほしいものです。「ギターのピック」と答えた人もいますね。彼は今でもロックミュージシャンを目指していますがまったく売れていません。まあとりあえず、ハンドルにモノを挟んでいないのは1名だけだったという悲しい結果になりました。

ハンドル固定は
「設備の変更」にあたる
　皆さんも主任や店長から、お客さまがハンドル固定をしていたら注意してくださいと言われているはずです。ではなぜハンドル固定がダメなのか。はい、ソコの君。ハンドルの中にモノが入り込んで取り出すのが面倒だから。ブブーです。確かに閉店後にハンドル内の異物を取り出すのは大変ですし、無駄な残業代も発生しますが、本当の理由はそうじゃありません。
　ズバリ、ハンドル固定は違法だからです。そしてこの違法行為は、パチンコ店側が行っていることになります。これマジです。ぶっちゃけお客さまは悪くありません。なぜそうなるのか。パチンコ店は風営法で色々規制されていることは皆さんご存じかと思いますが、これはその風営法の第九条「構造及び設備の変更等」についての条文です。
　「風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更（内閣府令で定める軽微な変更を除く。第五項において同じ。）をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない」
　ハンドル固定はこの条文がいうところの「設備の変更」にあたるんですね。ハンドル固定を許容することは「無承認変更」に該当する恐れがあるんです。

「直接操作」しなければ
「著しく射幸心をそそる」にも
　またこれ以外にも別の法文もあります。これは風営法の施行規則（法律をより細かく規定したもの）に書かれているのですが、「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」として、「客が直接操作していないにもかかわらず遊技球を発射させることができる遊技機であること」となっています。この点に関しては、近年、万が一ハンドルを固定していてもお客さまがハンドルを触らない限り玉は発射されない仕様になっているので正直判断が微妙なところでありますが（遊技機の設置確認に来た業者さんが点検時にもやっていますが、ボールペンとかでハンドルを回しても玉は発射されません）、とにかく色んな角度から、ハンドル固定は違法行為なんですね。実際にハンドル固定をしているお客さまがいたホールが摘発されたという話も聞きました。

 

 　大事なポイントは、ハンドル固定をしているお客さまが悪いのではなく、それを許容しているホール側が悪いということ。だからハンドル固定を注意した際に、お客さまが「何が悪いんじゃ！」と言ってきたら、「ワシが悪いんじゃ！」と大声で言い返してみましょう。嘘です。ダメです。剣呑なお客さまには丁寧に説明しましょう。「お客さまが悪いのではないのですが、私どもが違法行為として警察に怒られてしまいますので」ということはハッキリと言わずとも、そのスタンスを持つことはとても重要です。
　最後に「ハンドル固定がダメなのは、技術介入の余地をなくすと遊技がギャンブルになる」という方がいますが、それは昔の人の考え方なのでこれまた無視で大丈夫ですよ。