「Pモンキー超抜」が新トレンドになれば最高! でもアレで出せばもっといいんじゃない?〜鬼がかったパチンコ市場への咆哮〜
2022.10.11 / 連載【月曜】大手法人機械対策課SH@CKの新台講座#268
今週の紹介機種は「PモンキーターンⅥ超抜」
2022年11月6日週導入開始予定
メーカー:エース電研
全国8,000台予定
パチンコ市場に「エヴァ15」「Re:ゼロ鬼」がリリースされてから、新機種が導入されてもことごとく消えていく。6.5号機のリリースによりパチンコ市場にはさらに拍車が掛かり、新台で得られる効果は昨年と比較して半減してしまった。これはパチンコ新台がハイスペック合戦となってしまったことが原因だ。甘過ぎるスペックが多くリリースされ、遊技環境を整えることが困難となり、短命に終わってしまう機種が続いている。
さらに、前述した2機種には勝てないと考えてなのか、スタンダードスペックを避け、奇をてらったスペックのリリースが続きさらに寿命を短くしているのだ。「エヴァ15」「Re:ゼロ鬼」が法外な価格で取引されている以上は、市場に求められているスペックが不足しているのだから、コンテンツが変わってでも近しいスペックで供給すれば良いのと思うのだが、各メーカーはそれを良しとしないようだ……
「PモンキーターンⅥ超抜」も王道スペックではないが、前々回の講座でお届けした「ワンパンマン」と同時期の導入で、非常に似たようなスペックでリリースされる。本スペックが市場を盛り上げることができれば、新たなスペックトレンドにつながる可能性はあるのかもしれない。エヴァ・リゼロ一辺倒な市場に一石を投じることに期待したい。
そんな本機は2種LOOPのハイミドル機スペックとなっている。詳細は類型スペックとなる「ワンパンマン」と比較して基本情報を確認してみよう。
スペック
<基本スペック>
機種名 | Pモンキーターン | Pワンパンマン |
通常確率 | 約1/319.7 | |
RUSH仕様 | 2種LOOP+残保留引き戻し | 2種LOOP |
RUSH突入率 | 約50% | 約52% |
RUSH中当選確率 | 約1/2.6 | 約1/1 |
LOOP継続率 | 約70% | 約81% |
引き戻し率 | 約38.5% | 非搭載 |
RUSH継続率 | 約81.5% | 約81% |
RUSH突入時期待値 | 約8,640個 | 約8,792個 |
初当り時出玉 | ALL1,500個 | RUSH1,500個・通常300個 |
遊タイム | 非搭載 | |
時速獲得出玉 | 約64,000個 | 約50,000個 |
《大当り振分 特図1》
ラウンド数 | 出玉(払出) | 移行状態 | 振分 |
10R | 約1,500個 | RUSH(2種時短255回) | 52% |
10R | 約1,500個 | 通常へ | 48% |
《大当り振分 特図2》
ラウンド数 | 出玉(払出) | 移行状態 | 振分 |
10R | 約1,500個 | RUSH(2種時短255回) | 70% |
10R | 約1,500個 | 通常(残保留1回)へ | 30% |
「ワンパンマン」に近い点は2種LOOPと表面上のRUSH継続率の2点となっている。
本機の継続率はLOOP70%に加え、残保留引き戻し込みの合算値となっており、ワンパンマンとフローは若干異なっている。初当りに関しては、突入率が若干下がっているが、通常当選時にも1,500個を獲得できる仕様だ。
RUSH突入時はLOOPとなるので、2回の当選は確定しており、3,000個が確約されていることは共通している。本機は引戻し込の継続率81%となっており、引き戻しが残保留での抽選仕様となっているので、仮に引き戻しに当選したとしてもLOOP70%に漏れた当選であった場合は時短が付与されずRUSH終了となるので、状態により継続率が変動するタイプともなっているのだ。
演出
原作が完結していることもあり、シリーズを踏襲した演出がとなっており、エフェクトなどの変化がメイン演出である。本機のセールスとなる演出はスペックによるものがほとんどで、RUSHはLOOPタイプなので、レースによるラウンドジャッジ仕様で継続可否を演出する。
RUSH中は当選確率が高確率なので、LOOPに加えて、保留連による次回当選の状態を利用した3,000個表示が頻繁に発生する仕様なのだ。レース中の演出ではチャンスキャラ「青島」やボスキャラ「榎木」に勝利で3,000個といった専用演出も多く搭載されている。
本機は基本的にレースで勝利した場合はLOOPに当選している状態だ。LOOP漏れ後の残保留での引き戻し時、仮に当選かつ再度LOOP漏れだった場合は2戦連続敗北演出となるのを避けるためにLOOP漏れ時の当選は勝利演出へと書き換え、残保留引き戻し演出は敗北演出となる仕様となっている。そして、何より出玉速度は現市場最高峰となっており、規模・速度と出玉演出に特化している。
本機の訴求ポイントは「スペック」だ。
コンテンツとしてはシリーズを多く重ねているものの、「モンキーターンと言えば」といった定番的な実績もスペックも築き上げてきたワケではないので、本機1番のセールスポイントであるスペックに注力するべきだろう。
そのスペック訴求は「通常・RUSH中ALL1,500個!RUSH継続率81%!」などシンプルに高いスペックを訴求することが効果的だ。その他には「時速60,000OVER!RUSH突入時3,000OVER!」なども数値の大きさはアイキャッチ効果が高いだろう。
冒頭でも触れた様に、なぜ「エヴァ15」「Reゼロ鬼」に近い仕様で開発しないのか不思議で仕方ない。
「Reゼロ鬼」は特殊仕様なだけにオンリーワンスペックなので仕方ないのは理解できる。しかし「エヴァ15」は再現可能なはずだ。
現在リリースされている新台の多くが「エヴァ15」よりも甘い設計なのだが、どうせ甘くするのならば通常出玉を増やすようなスペックにするだけで十分にニーズを発揮できるはずだ。「エヴァ15」はスマートハンドルのため捻り打ちがしやすいので、オーバーフローする割合を割かれている面が少なからずあるが、スライドアタッカーにすることで実出率を下げることも可能で、奇をてらったスペック開発をするよりも現実的なように感じてしまう。
いまだに時速を上げたり、アウト効率を上げる開発が進んでいる傾向にあり、市場トレンドを考えれば全く求められていないのは少し分析すれば分かることのはずだ。パチスロでいうRUSHスペックのトレンドが10年以上「ゲーム数上乗せ」であるかの様に、パチンコは「V確ST&出玉振分ナシ」なのだからそろそろ原点に返った開発をするべきだ。ホールは管理遊技機による設備投資も強いられており、少しでも長い貢献が期待できる新機種開発を切に願う状況なのだから。