8月24日、遊技産業未来研究所(中野忠文社長)は、Google Meetを用いた第74回目のWEBセミナーを開催。約80名のホール関係者らが参加した。
同社の中野氏は「『稼動低下』は問題ではなく現象である!!」をテーマに講義を行った。
講義のテーマが意味することは、稼動低下に対するホールの認識の間違いのことを指している。本来であれば、稼動低下の要因に対して策を打つべきなのに、多くのホールが稼動低下したことに対して策を打っている。そのため、問題の本質に目が向けられておらず、同じことを繰り返す状況に陥っているという。中野氏は「稼動は利益増加と利益安定のために高めるものと認識すべきだ」と強調した。
稼動低下にはいくつか要因が考えられる。その中で同氏は、パチンコスタートの高低を要因の例とった場合を説明した。
2019年から2022年の8月1週目のパチンコ分間スタートと250玉スタートを比較すると、分間スタートでは0.04回、250玉スタートでは1.86回の差が開いている。やはりファンにとって、回らないストレスはやれる感がなくなり、投資意欲を下げてしまうことにつながる。回らないセブン機はメーカー想定のゲーム設計を下回ってしまうのだ。
年 | 分間S | 250玉S |
2019 | 5.33 | 18.53 |
2020 | 5.36 | 18.16 |
2021 | 5.38 | 17.46 |
2022 | 5.29 | 16.67 |
では、赤字営業を行って集客するしかないのか、そうではない。高スタートを維持できる機種選定によって、ファンの離脱動機を解消することができるのだと同氏はいう。仕様上回せる機種を活用し、設置することで、ファンにとって「回る店」との印象を高め、店舗価値を向上できるのだ。思った通りの新台を導入しにくい今だからこそ、この戦略は中小ホールに推奨できる。あくまでこれは強豪店と同じ土俵で戦うことを避け、情報感度の高いファンをターゲットから除外することを前提としている。
もちろん稼動低下の要因は、パチンコスタート回数の高低だけではない。機種のレイアウトや景品の品ぞろえ、宣伝手法、さらにはエアコンの位置なども要因に考えられる。中野氏は「稼動低下したことではなく要因に目を向けてください。原因と機種を正しく理解することで応用も可能です」とセミナーを締め括った。
第2部/未来を予測する力の重要さ
第2講座では、ユニークワークス株式会社の上田健介取締役本部長が「未来予測する力の重要さ」についてセミナーを行った。好調な6.5号機の中でも、機種によって差が開き始めている。そのことから、事前に知り得る情報で購入機種を見定めるポイントについて解説した。
機種選定で重要なポイントは以下の2点である。
①現在の機種トレンドの把握
②設定1のMY・C単価・純増・ベースの確認
現在の新台トレンドに浮上している台は、過去に大きく稼動貢献した台と基本スペックが類似している傾向にある。傾向は下図の通りだ。
基本性能 | 犬夜叉 | カバネリ | レールガン | 鉄拳4アルティメットデビル |
MY | 3200 | 2464 | 2700 | 2737 |
C単価 | 4.0円 | 3.0円 | 3.2円 | 3.5円 |
純増 | 1.8枚and5.0枚 | 2.8枚and6.0枚 | 2.7枚 | 7枚 |
ベース | 33.6G | 33.0G | 35.0G | 31.0G |
スペックが近い 過去稼動貢献した機種 |
北斗転生、モンハン月下 | バジ絆(5号機)、化物語 | (例示機種なし) |
同氏は、11月にホール導入を予定している「Sパチスロ鉄拳デビル4 アルティメットデビルver」と「Sとある科学の超電磁砲」を購入する場合、どちらを選定すべきか解説を行った。
一撃性や出玉性能だけをみれば、S鉄拳4アルティメットデビルが機種として優秀と思い込みがちだがそうではない。むしろ各項目が突出したスペックを持つ機種は購入を見送るべきだという。
その理由は過去にリリースされた「メガミリオネア」という機種の前例に基づく。設定1の機械割りは発表値で95.5%、C単価5.7円で、MY5,097というかなり尖ったスペックだったものの、導入したホールは総じて失敗したというワケだ。性能で判断する機種選定は失敗する可能性があるため一部スペックが突出した機種は避けるべきだと述べた。
Sレールガンはバランスの取れたスペックで、過去に稼動貢献した5号機のバジリスク絆や化物語とのスペック類似性もあり、鉄拳デビルよりも買い、ということだ。
パチスロがやっと好調になり始めたため、9月から11月は年末に向けてパチスロの体制を整えていくことを要求される。特に、6.5号機を6.5号機で入れ替えるような無駄な出費は絶対に避けていくべきだと強調した。
年末にはスマスロ、年が明ければスマパチと設備投資や機種購入に大きく費用がかかる局面だ。今はどのホールでも機種選定は特に注力を注ぎ、失敗を許されない状況だろう。無駄な出費を避けるためにも選定方法の1つとして活用するべきだ。