岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.13「世界のギャンブルをやってから死にたい」

2022.08.16 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。


今月の金言

世界のギャンブルを
やってから死にたい

 

:岡野陽一 ※PiDEA Vol.189掲載分

パチンコ・パチスロでも昔は旅打ちという文化がありましたね。車で旅をしながら全国各地のホールで勝って借金を返済していく、名波誠さんの「パチスロひとり旅」(パチスロパニック7)に憧れて私もやってみたんですが、2日で金がなくなって家に帰るハメになった記憶があります。

パチンコホールの皆さんは長期休暇をどうお過ごしですか。私は26歳くらいまで何にもせずパチンコ屋にばかり通っていたので、毎日が休暇という感覚です。だから長期休暇という概念がそもそもなく、なんなら「もう一生分の休暇を使い切ってしまったかも!?」とすら思っています。

それでも最近はそれなりに忙しくさせてもらっていて、2日続けて休みというのはあんまりないかもしれません。もし仮に長期休暇をいただけるとなったら、今はコロナ禍で行けませんけども、やっぱり海外のギャンブルをやりたいなとは思います。世界にはまだ見ぬご当地ギャンブルがたくさんあると思うんですよね。メジャーな闘鶏なんかも、もしアマゾンだったら「一番長いアナコンダを連れてきたら勝ち」みたいなことになると思うんですよ! いつかそういうことをやりながら世界を巡りたいなと思っています。


性的にではなく「人生のM」
なかなか共感する人はいない

なんでそこまでして岡野はギャンブルをしたいのかと聞かれると、これはもう、そういう性癖としか言いようがありません。大金が欲しいわけではなく、ヒリヒリ旅をしたいだけなんです。「これは帰れないぞ」とか「下手したら死ぬぞ」みたいな刺激を味わいたいんです。

もしかしたら漫画の読みすぎかもしれません。漫画の主人公ってずっと苦境に立たされているじゃないですか。そういうのになんとなく憧れがあって、常に苦しんでいたいという謎の欲求があるのかもしれません。余裕であることにあんまり楽しみを感じられない性質で、性的にではなく、人生のMかもしれないと思っています。

この感覚、なかなか共感するのは難しいと思います。あくまで他人事としての「いいね」を言ってくれる人はいますが、心底「分かるわー」みたいな人にはまだ会ったことがありません。

ただ、以前アベマのドキュメンタリーの仕事をした時に、囲碁の依田紀基さんという方に密着することがありました。依田さんはもう囲碁の名人で、何度もタイトルを獲得して今まで8億円くらい稼いだけど、酒・ギャンブル・女遊びで一銭もなくなってしまったすごエピソードがある人です。15歳で酒を覚えて、ギャンブルは一通りやってきた。なんで言っていいのか分からないけど、賭け麻雀とか、チンチロリンとか。うなるほどあったお金をすべて溶かしたっていうんです。

私なんか全然恐れ多いというか、師匠として感じているほどなんですけども、その依田さん、「返せる借金は借金じゃないもんね」ってちょっと変わったことを言うんです。論理破綻していて意味が分からないですよね。でも、私もその通りだなと思ったんです。

 

依田さんの借金理論が
すっと胸に入ってきた

借りる側からすると、絶対に返すと思っているからその行為に悪気がないんです。お金を貸した人が僕が借りることによっておかずが1品なくなったりする、これはダメです。まずそういう方に借りていないという前提で話しています。地下金庫の中から少しお借りして、なんなら多めに返すという前提です。

(手を顔の前に出して)例えば、お金を借りてから返すまでの期間が嫌なわけですよね。でも、それ以前と以後はなんのストレスもないわけです。ちゃんと期日も守るし、返す意思があるならその嫌な空間がプシュンとゼロになるわけですよ。そう考えると、依田さんのおっしゃっていた「返せる借金は借金じゃない」っていう言葉も分かるような気がしませんか。

以前から「借金って、返したらそれははたして借金だったんですかね?」と力説してもポカンとされるだけで誰も納得してくれないというのを繰り返してきた私にとって、依田さんの借金の理論はすっと胸に入ってきました。

そもそも借金って返さないのがセットになっちゃっているからイメージが悪いだけで、絶対に返すのであれば悪いことではないですよね。ちゃんと返す人が多いから金貸という仕事が成り立っているわけで。「借金」という文字面もカクカクしているので、まず漢字から変えた方がいいですよね。「借」という文字がもう良くない。人の名前に「汚」という文字を使う人はいませんよね。「汚か野」さんなんて人はいないですよね。そういうことなんだと思います。

パチンコ・パチスロの
最大負けは4号機「北斗」

話が二転三転しましたが、今回はギャンブルの話です。私的には人生で一番負けているのはやっぱりパチンコ・パチスロかな。ただこれは額的にではなく時間的にという意味です。4号機の北斗で高設定札が刺さったのに出なくて22万円くらい負けたのが最大です。競馬は青天井なので100万勝った次の週に110万負けるとかはありますから、額的には今のところ競馬ですね。ちなみに師匠である依田さんは「バカラだけはやっちゃダメ。他のギャンブルにしとけ」と言っていました。 

 闘鶏をもしアマゾンでやるとしたら 「一番長いアナコンダを連れてきたヤツが勝ち」 みたいになると思う

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