「P麻雀物語4」仕様の複雑さは現市場でも稀なレベル、運用ポイントは「分かってもらうこと」

2022.05.23 / 連載

【月曜】大手法人機械対策課SH@CKの新台講座#246


今週の紹介機種は「P麻雀物語4」
2022年6月5日週導入開始予定
メーカー:平和
全国6,000台予定


解釈基準・内規の緩和により、CR時代にはなかった仕様のパチンコがリリースされている。設定機能や遊タイム(abc時短)はもちろんのこと、当選確率を特図以外で変化させる仕様や、当選時に内部で移行状態を変化させるものもある。

端的にいえばパチスロに匹敵するほど、抽選方法は複雑化しており、今までのような“中身は一緒で側だけ違うパチンコ”とはまったく異なる時代になってきた。

本機に限った話ではないが、パチンコ・パチスロどちらも、中身を知り、“アツさ”を知ることで楽しさは倍増していく。ところが、このところゲーム性が広がったことでスペックが複雑化している。多様なニーズに応えられるようになった反面、この劇的な変化にパチンコユーザーが置いてけぼりになっている感も否めない。こうした機械を運用していく上では、複雑化した仕様を地道に周知させていくことが重要となるだろう。

仕様を知らなければ損が発生する可能性がある以上はユーザーからは敬遠対象のままだ。本機も複雑であるため、育成を目指すには注意が費用な機種である。


そんな本機の基本情報は表にて確認してみよう。

 

スペック


《基本スペック》

通常確率 約1/219.9
RUSH仕様 普通図柄突破型1G連2種LOOP
初当り後普通図柄確率 約1/99.9
RUSH突入率 約51%
RUSH時確率 約1/1
RUSH継続率 約88.5%
引き戻し時普通図柄確率 約1/219.9
引き戻し確率 約20.4%
TOTAL継続率 約91%
RUSH突入時期待値 約5,130個
遊タイム 低確率659回転後2種時短(当確)
時速獲得出玉 約24,000個

 

《大当り振分 特図1》

ラウンド数 出玉(払出) 移行状態 振分
3R 約300個 RUSHへ 0.5%
3R 約300個 普通図柄1/99.9高確率70回 99.5%

 

《大当り振分 特図2》

ラウンド数 出玉(払出) 移行状態 振分
10R 約1,000個 RUSH継続 20%
7R 約700個 RUSH継続 8%
5R 約500個 RUSH継続 12%
3R 約300個 RUSH継続 48.5%
3R 約300個 普通図柄1/219.9高確率50回 11.5%

 


本機は普通図柄を利用したミドル機となっている。

初当り後の右打ちは「アリア覚醒」同様に普通図柄抽選を活用しながら、RUSH突入と引き戻し抽選を行う。特図2は「ミリマス」同様に1/1当選し、振分により時短付与によるLOOPさせる仕様だ。

右打ちは必ず普通図柄抽選をスルーすることで終了するので、遊タイムの発動回転数は状況により異なる。普通図柄は初当り後ならば70回、RUSH後ならば50回となるので、単発ならば表示回転数+70回、RUSH後ならば+50回が正確な回転数となる。

そして、本機は普通図柄で1/1の特図2入賞を目指す仕様となっているが、RUSHがLOOPになっているので、普通図柄突破型にはなっているものの突破時に時短付与されない11.5%を引いてしまうとRUSHへは移行せずに引き戻し状態へ移行してしまう。この普通図柄抽選も初当りとRUSH後では回転数だけではなく、確率も大きく変化するので仕様の複雑さは現市場でも稀なレベルの機種といえるだろう。

 

演出


演出面では、6号機でも高い貢献を残した「S麻雀物語4」をベースとした演出となっている。普通図柄抽選中はコンテンツに因んだ麻雀バトルとなっており、RUSH中は高継続率のLOOPタイプを3カウントダウン演出で見せている。プロレスの様にカウントダウン内に当選できれば継続確定となり、カウントダウンが終了するとラウンドジャッジにて継続か引き戻しへの移行を告知する。

 

ポイント


本機「P麻雀物語4」の訴求ポイントは『スペック』となるだろう。コンテンツは演出のベース機となるパチスロがいまだ稼働中なので、パチンコ麻雀物語シリーズの最新作であることが分かる程度で十分だ。

一方、スペック訴求はシンプルに『RUSH TOTAL継続率91%』という点を推したい。ただし、どのタイミングでなんの抽選をどれくらいの確率でしているかが分からなければ本機を楽しむのは難しい。遊技中のユーザーが不可解な状況に陥らない様にPOPなどでフォローが必要だ。そしてもう一点重要なのは、遊タイムの回転数がデータランプの仕様により異なること。ユーザーが損をしない環境をつくることは必要不可欠だ。


現市場は遊タイム搭載とハイミドルの性能が跳ね上がったことによりライトミドル市場が低迷し始めている。これは遊タイムを搭載することによりRUSH性能が劣っていることが原因にもなっているからと推察している。「009」「ジャギ」のように遊タイムを搭載していないライトミドルの方が貢献が高い状況にある。

しかし、遊タイムを搭載した分を通常確率に乗せた本機のような1/220程度のミドル機は業績上昇の兆しを見せ始めている。カテゴリーの1つとして育てられれば、売上や粗利など直接的な業績貢献だけではなく、新台回転を抑えることなどにもつながるだろう。

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