オリエンタルパサージュが上野から完全消滅。沈みゆく上野エリアに楽園は勝機を見出しているのか?

2022.05.12 / ホール

パチンコ大国【上野】崩壊と復活。最盛期で30店舗あった市場も今では5店舗にシュリンクしている。下げ止まることを知らない上野パチンコ市場に、なぜ楽園は進出することを決めたのか? 


5月8日、上野を代表する店舗の1つであった「オリエンタルパサージュ インペリアル上野本館(B館)」が閉店となった。

かつて上野・御徒町界隈には、大小合わせおよそ25店舗から30店舗のパチンコホールが存在していた。最盛期はおそらく4号機末期の2006年頃で、6店舗を経営していたオリパサグループを筆頭に、PIA上野店、サイバースパーク上野店、ガイア上野店、アムディ上野店、グリーンピースアクア上野店、ワンダーガールズ上野店、コーシン上野店、オーパスワン上野店(旧東京会館)、トレジャーハンティング、みとや上野店、アドベンチャー上野店、ハイパーVステーション上野店など、多数のホールが群雄割拠のテイをなしていた。

それが今となってはエスパス日拓上野本館(P406台/S496台)、エスパス日拓上野新館(P515台/S410台)、PIA上野(P335/S335)、サイバースパーク上野店(P356台/S286台)、上野ダイヤモンド(P239台/S138台)の5店舗のみである。時代の流れを感じざるを得ない。


上野の市場を激変させた3つの出来事

何が上野のパチンコ市場をここまで激変させたのか。上野の某ホールで店長を務めていたS氏は匿名であることを条件にPiDEAの取材を受けてくれた。S氏は2006年頃まで店長として活躍した後に業界を離れている。

すでにパチンコホールから離れて久しいS氏は、懐かしそうに当時を振り返って話してくれた

「上野界隈のパチンコ市場といえば、オリパサの一強といっても過言ではなく、その下にPIAがあって、あとはどんぐりの背比べという印象でした。私が在籍していた店舗はなんというかもうステージが違っていたので、オリパサから(客を)取ろうとはまったく考えていませんでしたね」

当時のオリパサといえば、毎月1のつく日に「一撃」というイベントで数百人の行列をつくる店として名を馳せていた。今では考えられないが、海物語の図柄キャラである「サメ」「エビ」「アンコウ」の札が台に刺さっていくという仕掛けで人気を獲得していた。ちなみに強いのはパチスロだけではなく、特にオリパサの海物語は「絶対太刀打ちできないほど」だったとS氏はいう。

「上野という市場が強かったのもあると思いますが、パチスロで土日は1万4000枚入る時代でした。それでもうちがトップではなく、オリパサとかは多分アベレージで1万5000枚くらいいってたんじゃないかと思います」(S氏)

イベントを中心に一大勢力を誇っていたオリパサが、他エリアからも集客をし、抽選にあぶれた人たちを近隣のホールに流れるという構図によって上野界隈ホールの〝生態系〟はバランスを保っていた。

しかし、S氏によると潮目が変わった出来事が3つあったという。

1つ目は、エスパス日拓上野本館が2006年8月にグランドオープンしたこと。上野駅前でありつつビル街から少し離れた中央通り沿いということで視認性は抜群。市場内随一の設置台数を誇っていたことで強烈に集客をしていく。

そこに4号機の撤去が重なった。これが2つ目だ。4号機から5号機への移行で多くのホールが疲弊し、淘汰の流れがすでに出来上がっていた。このタイミングでいくつかの店舗は撤退を決断したことだろう。それでも数年は持ち堪えた店舗も多かった。

3つ目は、2011年からのいわゆるイベント規制だ。イベントによる集客戦略が規制されるとさらにホールの地力が求められるようになる。イベントを強力な武器として持っていたオリパサがあったおかげで、新宿や池袋といった強い地域のように、上野もまた選択肢に含まれるエリアの1つだったが市場はシュリンク、客は強い店に集約していったのだ。


楽園上野店(仮)に勝機はあるか?

楽園は東京都内に、7店舗を経営している。

店名 台数 グランドオープン
楽園蒲田店 S757 2017年12月7日
楽園大山店 P532、S265 2012年6月22日
楽園渋谷駅前店 P495、S391 2020年7月1日
楽園渋谷道玄坂店 P557、S317 2011年5月11日
楽園池袋店 P922、S607 2011年11月3日
楽園立川店 P767、S785 2021年8月7日
楽園町田店 P426、S339 2022年1月26日

最寄駅の乗降者数的には楽園蒲田店や楽園立川店、楽園町田店の動向は参考になるかもしれない。また別の見方をすると、渋谷ではエスパスと近隣で競合、池袋ではPIAと競合していることから〝仮想上野〟として行く末を占うにはうってつけだ。

楽園池袋店は圧倒的な設置台数とP店らしからぬ巧みな空間プロモーションで市場を席巻しているが、楽園蒲田店は超大型スロ専という戦略の難しさに加えて、マルハン、キコーナ、金時、ヒロキ、メガガイア、ベガスグループなどライバル店が多く揉まれている印象だ。

楽園がいつ店を開けるのか、何台の店舗になるのかなど詳細は現時点では明らかになっていない。上野はアメ横もあり人流は申し分ないが、数多くのパチンコ店が存在し飽和していた状態からある意味で引き締まった状態となった市場に割って入るのは、決して楽な勝負ではないことが予想される。

ただ、ありし日のオリパサのように、強烈に他エリアからも集客するような営業を楽園が行ってくれれば、上野復活はありえない話ではない。

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