年収850万以上は今年から手取りが減る⁉︎②【FP王子の知っトクお金の秘密】

2020.02.26 / 連載

年金問題に消費増税。膨らみ続ける金融不安や悩みなど〝お金のアレコレ〟に人気ファイナンシャルプランナー高橋成壽が斬りこむ!

税制改正2020
年収850万以上は増税で手取りが減る⁉︎その対策は?

【後編】

令和2年に変更になった所得税の増税で、高所得者の税金が増えることになりました。具体的には、年収850万円以上の世帯を狙い撃ちしているのですが、対策するとしたら何をすればいいのでしょうか。
今回は増税に備えて、少しでも節税できる対策をご紹介します。

 

所得税増税の対策はあるの?


所得税増税は法律で決まったことですので、従うほかありません。しかし対策はいくつか考えられます。
すでにやっている仕組みもあるでしょうし、やっていなければ要検討です。

対策① ふるさと納税

ふるさと納税をしたことがなくても、ニュースで見かけた人もいるかもしれません。
地域に寄付をすると、寄付した金額から一定額が差し引かれた金額の所得が減るという仕組みです。寄付の代わりに所得が控除される、とこれだけ聞くとやってもやらなくても変わりないと思うかもしれません。しかし返礼品といってお礼の品が付いてくるのです。

食べ物、飲み物、調味料、工芸品、特産品、体験、製品など、いろんな種類の返礼品いわば「特典」があります。生活するうえで確実に必要なものが返礼品の中にあるようなら、ふるさと納税を活用して取得すると生活費を減らすことにつながります。つまり増税分を緩和するように生活費を下げるという考え方です。

ご自身が「いくらの寄付までであれば効果的か」はふるさと納税のポータルサイトで計算ができます。例えば、いくつかあるふるさと納税ポータルサイトの1つ「ふるさとチョイス」では、控除上限額シミュレーションというページがあります。こちらで、年収、家族構成、社会保険料などの情報を入力すると、無料であなただけのふるさと納税をお得に利用する金額が計算できます。

参照:https://www.furusato-tax.jp/about/simulation

対策② 生命保険料控除

会社に勤めている人なら毎年年末に年末調整が行われているかと思います。年明けの給与振込で払いすぎた所得税が戻ってきていますよね?

年末調整の効果を増やすことができるのが、生命保険料控除です。具体的には、積立タイプの生命保険、個人年金保険に加入すると年間の支払保険料に応じて所得控除が活用できます。控除の枠は大きくありませんが、積立に対する利息と思えばいいでしょう。

正直、普通預金よりはるかに多くの所得税が戻ってきますので、万が一への備えも含めおトクといえるでしょう。ただし対象となる保険種類や契約の方式、保険料上限が決まっているので、しっかりと見極めて加入しましょう。

対策③ iDeCo

iDeCoと書いて、イデコと読みます。
個人型の「確定拠出年金」という制度で、年金の上乗せ額を自分で準備するために制定されました。投資信託などの金融商品を活用して、毎月コツコツと老後資金を積み立てていけます。こちらも上限はありますが、積み立てた金額が所得控除の対象となりますので、貯めた分に対する所得税を減らす効果があります。

この制度は仕組みが難しく、加えて手続きが煩雑なこと、会社にも毎年手続きが発生するなど加入を立ち止まってしまう人も多いのが現状。特に長く働きたい人にとっては会社への手続き負担が発生してしまうため、会社の事務方と関係構築ができている人はいいですが、そうでない場合は手続きを進めづらいかもしれません。
なお、iDeCoを契約する金融機関と積み立てる銘柄は自分で決める必要があります。

対策④ 子育て

今回の所得税増税が何のためにあるのかといえば、高所得者から税金を集めるということです。ただし、高所得者であっても、家族に障がい者がいる場合と子育てをしている場合は増税をなくすシステムがあります。

それが2020年からスタートした所得金額調整控除という仕組みです。今年の年末調整の時期にならないと情報は出てこないと思いますが、簡単に説明すると子育て世代には増税しませんという内容です。

つまり現在子育て中の人、これから子供を産む予定のある人たちにとっては朗報です。
年収850万円を超えても生活は豊かになりません。むしろ年収が高いからこそ、税負担も重く生活が苦しくなる側面もあるのです。子供が欲しくなる理由にもなるかもしれません。

 

いかがでしたでしょうか。上記4つがすべて当てはまる人は少ないでしょうから、他にも自分にあった取り組みを探してみるといいでしょう。
ご自分で探す時間がない、自分には何が適しているかわからない、などの悩みは多くの方が持っています。そんな時はファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。

ライフプランの窓口でも、随時無料相談を受け付けています。


著者プロフィール

高橋成壽

慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経て2007年にFP事務所を設立。2020年より東海大学湘南キャンパスで非常勤講師としてお金の授業を担当。
超富裕層向けの資産保全サービスを提供する寿FPコンサルティング、富裕層向けの資産運用サービスを提供する寿アセットマネジメント、現役世代を応援するライフデザインセンターを経営。無料のライフプラン相談サイト「ライフプランの窓口」、無料のマイホーム相談サービス「住もうよ!マイホーム」、保険見直しサービスの「保険チョイス」を運営している。

ライフプランの窓口https://www.lifeplannomadoguchi.com/

寿FPコンサルティングhttps://kotobukifp.co.jp/

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