目に見える形の社会貢献「防災拠点ネットワーク」の取り組み（Part1）

地震や台風などの災害に見舞われた時、近隣住民の命や財産を守る避難場所として、飲料水やトイレなどのインフラと立体駐車場を備えたパチンコホールは最適解になるのかもしれない。一般社団法人ぱちんこ広告協議会の参加企業が取り組む「防災拠点ネットワーク」は文字通り、有事の際にパチンコホールを地域防災の拠点として開放することを推進する社会貢献事業である。

 

地域の防災意識向上のために

日本はその地理的特性から自然災害の影響を受けやすいと言われており、各種ニュースは定期的にその被害を伝える。東日本大震災は言うに及ばず、2020年に九州地方に被害をもたらした台風10号や2021年7月の伊豆山土砂災害などは記憶に新しい。それらへの対策は近年よく耳にするようになったSDGs（持続可能な開発目標）の中でも「災害に強い街作り」として重要項目になっており、自治体では災害発生時に避難場所として利用できる広域避難場所を記した「ハザードマップ」を発行しているが、民間の自発努力による官任せではない「防災拠点」作りの運動に、パチンコホールを利用する動きがあるのをご存知だろうか。　一般社団法人パチンコ広告協議会（PAA）が主体となって推進する「防災拠点ネットワーク」がそれだ。

PAA理事、いなばNEXUS代表取締役の平野輝寿氏は「防災拠点ネットワーク」についてこのように説明する。

「特に郊外のホールには大きな駐車場があり、緊急時にはご家族全員で車両ごと避難できます。自家発電を備えたホールも多く、トイレや飲料水もある。景品として備蓄している食糧品もあるので、緊急時に命を守ってくれる避難場所としては最適といえます。PAAが推進する『防災拠点ネットワーク』は災害時に駐車場などを避難場所として利用できるホールの情報を集め、それを近隣住民の方々に利用してもらいやすくすることを1つの大きな目的としています。また災害時に役立つ防災グッズを備蓄、さらにはそれを端玉用景品としてお客さまに持って帰っていただくことで、その地域自体の防災用品備蓄率を底上げすることも大切な役割だと考えています」

2021年10月現在、「防災拠点ネットワーク」に登録されている駐車場開放協力店舗は全国162店舗、開放駐車台数は3万4570台。そのうち立体駐車場は2万4192台。その他防災用品の備蓄や配布などで協力する店舗を含めると全国395店舗にのぼる。

---

全国に広がる「駐車場開放」の動き

災害時にパチンコホールを避難場所として活用する向きは全国へ広がりを見せており、法人の垣根を越え自治体と組合が連携する動きも見え始めている。佐賀県と佐賀県遊協は有事の際に営業に支障がない範囲で駐車場開放を行う旨の協定を締結。福島県では災害時の一時避難場所の他、自衛隊などの活動拠点として運用できる協定を締結した。また各法人が独自に市区町村と協定を結んでいる例もある。

『防災拠点ネットワーク』ではこれらの動きを結びつけ、地域ごとあるいは法人単位で進んでいる個別のノウハウや事例を共有しながらネットワーク化、全国版のハザードマップとして全体の防災意識向上に役立てていくことを今後の目標としている。そのために必要なのは発信力や情報伝達の手段であるが、ここで活きるのが伝達のプロである広告事業社が加盟するPAAだった。

PAA参加企業はSNSや動画チャンネルや雑誌等、独自の伝達手段を持つ所が少なくない。ホールや組合、あるいは行政が独自に行うより、より効率的に認知度を高めることができる。取り組みの特質上、災害が「起きる前」にその存在を周知していくことが大切になる。防災拠点ネットワークをホール団体ではなくPAAが推進する理由について、理事長を務める大島克俊氏はこう説明する。

「現在、災害時に向けた対策を行っているホールが全国で増加傾向にあります。この活動は昨今叫ばれているSDGsでは『11.住み続けられるまちづくりを』『13.気候変動に具体的な対策を』等に該当します。ぱちんこ業界の広報機関という側面も持つPAAでは、こうしたパチンコ店の活動をファンはもちろん、一般の方にも広く周知していただきたいと考え、パチンコ企業個々の活動情報を集約して多くの方に伝える目的で防災拠点ネットワークを運営しております」

 

 

Part2

地域全体の防災意識を高める社会貢献

「防災備蓄品こそ総付景品に!」へ続く