利便性の良さから待ち合わせ場所に使っている大阪・梅田の新阪急ホテルは、インバウンド客が消え、飲食店や喫茶室も閉ざされ、まるで火が消えた状態だった。
3月31日、同ホテルを運営する阪急阪神ホールディングスが発表した6つのホテルの営業終了に新阪急ホテルが含まれていたのには驚かされた。2024年末で60年の歴史にピリオドを打つ。
ホテル業界で一人気を吐いているのがアパホテルだろう。コロナ禍でも出店攻勢は相変わらずで、5月26日付の産経新聞の全面広告を使って、この日開業した「アパホテルなんば心斎橋西」を紹介する。

この広告費はゼネコンが下請け業者から協賛金を集めていると思われる。ちなみに38社が名前を連ねているので、施主のアパホテルには負担はかからないはずだ。
アパホテルの元気ぶりは決算からも分かる。
2020年11月期連結決算では、グループ連結売上高904億3200万円(前期比34.1%減)、営業利益20億4400万円(同94.3%減)、経常利益10億900万円(同97.0%減)と対前期比で大幅な減収減益となったものの、純損益では9億4900万円の黒字を確保するという注目すべき内容であった。
インバウンド客が消え、緊急事態宣言でサラリーマンの出張も激減する台風並みの向かい風の中での黒字である。
アパホテルはそれまで10万室を目標に掲げていたが、今年4月に665ホテル、10万2708室を達成している。ホテルを新築するだけでなく、地方のホテルを買収したり、パートナーホテルも含まれた数字だが、次は15万室を目標に掲げている。
看板をアパに替えるだけで集客力がアップする実績もある。
ここで注目されるのがパートナーホテルだ。
加盟条件はwifi環境やウォシュレットが整っていること。ホテル名はそのままで、加盟金無料(期間限定)で送客手数料6%を支払えば、アパ直からアパホテル会員の第一選択が期待でき、稼働率アップが図れる。客はパートナーホテルでもアパポイントを貯めることができる。
ホテル業界ではアパホテルは「寄らば大樹の陰」的存在だ。
ダイナムのホームページには1000店舗構想が掲げられている。
以下引用
当社グループは『2023年3月期にグループパチンコホール1000店舗体制、シェア10%』を目標に、今後年間40店舗以上の高速出店が可能な体制づくりを進めております。
現在、パチンコホール業界における当社グループのマーケットシェアは2018年3月末時点で約4.7%。これは上位10社の合計シェアでもわずか16.5%に過ぎないという業界特性を反映した数字と言えますが、当社は市場シェアを10%とし、業界内での確たるポジションをめざしています。
パチンコ業界が順風とは言えない状況の中、シェア10%、1000店舗を達成するためには年間40〜50店舗の出店を続ける必要があります。グループ全体で目標達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
そのためにはグループ会社の再編成はもとより、多くの社員がチェーンストアを運営していく技術を身につける必要があり、人材育成のプログラムをさらに充実させていくつもりです。
引用終わり
この1000店舗構想を発表したのが2012年。年間40店舗を10年続け、残りはM&Aで達成する算段だ。
現在ダイナムの店舗数は440店舗。後2年余りで単独で560店舗を増やすのは物理的に考えても無理な数字。最後はグループ化するにしても、とてつもない数字だ。アパのパートナーホテル方式のようにハードルが低ければ可能かもしれない。