岡野陽一のパチンコ人生訓 Vol.1「自分の台を回し続ける」

2021.05.31 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。


今月の金言

「自分の台を回し続ける」

 

:岡野陽一

18歳から、今はもう39歳ですから、20年近くパチンコをやっております。それでつくづく思うのは、「当たらない台はない」ということでございます。

もちろん、めちゃめちゃハマる日もあるんですよ。これはもう絶対にあります。ギャンブルって多分全部そうなんですよね。でも、その「ハマった」日をどう過ごすか、どう付き合っていくか、負けの時のメンタルをどう保つかというのが、パチンコから学べる人生訓だと思っております。

日の単位で、「点」で人生を見ていくとそういう「ハマった」日はすごく辛いじゃないですか。でもそうじゃなくて、「線」で見るんですよ。そうしたら当りは絶対にやってくるんです。

僕らも、お笑いをやっている身で実感するんですが、やっぱり、ウケるときはウケるし、スベるときはスベっちゃうんです。でも、めちゃめちゃウケた日があると、そのあと1カ月スベってもその時のウケた記憶で「あ、全然大丈夫だな……」と思える。それで、やっていけるんです。

……少し話が逸れましたが、だからこそハンドルから手を離さないということが大事だと思っております。ハンドルを回し続ければ何かが起こるんです。

 

「回し」続ける難しさと楽しさ

とは言いますが、私は借金もありますし、なんなら今も全然ハマっている最中かもしれないですが……(苦笑)。ただ、その立場で僭越ながら申し上げるとしたら、私の場合は、なんでやめなかったというのは、先ほども申し上げました通り、引いた「当り」を忘れられなかったというのがございます。

昔私はコンビを組んでおりまして、6年目に「キングオブコント」の決勝に出場できたんですよ。お笑いをやっていたら、目標となるような大会で、……もう「大当り」ですよね。頭から汁が出たんですよ。

僕は大当りよりも激アツリーチを見ているときが一番好きなんですが、それでいうと、決勝進出が決まってから、決勝があるまでの1カ月くらいの期間、それが最高に楽しかったですね。

もちろん緊張もあるんですが、だって、シンプルに考えて1/10の確率を突破して優勝してしまえば、1000万円もらえますよね。しかも憧れのダウンタウンさんに会えるんですよ。そんなの最高の演出じゃないですか。「なんだこれ、こんな台打ったことねぇ」と思いまして。

ただ、その年は1回戦で負けちゃったんですよ。でも、1回この汁が出ちゃうと、しばらくいけるんですよ。この感覚が忘れられなくなるんですね。だから、もう1回、今回は単発で終わっちゃったんで、何とかして確変に入れたいと思って、ネタもたくさん作りました(笑)。

そしたら、その次の年も決勝に行けたんですが、行ったのはいいんですけど、全然ウケなくて、最悪でしたね(笑)。

 

 

「回し」方は人によって違う

私は、「回す」っていうことも人によって違うと思うんですよね。例えば家でずっとゲームをしている、というのも、人によっては「回している」に入りますよね。だって、今はゲームをやり続けてゲームでプロになったりとか、ざらにある時代じゃないですか。

私も「クズ」ということで、それに甘えてテレビなどに出させていただいたりもしていますが、だからこそ「何にもしない」ことでさえも、私にとっては私の台を回していることになる、と思っているんですよね。なんにもしない、クズで居続けるだけでも、それが積み重なって「クズ」という強みが形成されて、クズ芸人としての立ち位置がもらえているというか……。

だから、台は人それぞれで、ついているハンドルも人それぞれなんです。寝ながら回せるハンドルもあるんですよ。たまにいるじゃないですか、「寝てる時間とかあったら、勉強して資格でもとったら?」ってアドバイスしてくる人。私はそういうのは「人の台に口出してくるクソ」だと思っております。

「仕事辛い、満員電車嫌だな」と思いながらも毎日頑張っている人、これもその人にとっての台を回していて、抽選を受けているわけでございます。私はそういう台は合わなかったので、台移動をします。考え方次第だと思います。「俺回してないから、ダメだな」と落ち込まないでほしいですよね。自分が「回してる」と思えば回しているんですから。

まぁ、とはいえ、基本は何かやった方が、堅実に回していることになるとは思いますが……。

岡野陽一, 岡野陽一のパチンコ人生訓