ピデアな男 杉野高志(マルハン外旭川店 店長)
2021.01.18 / 連載秋田市内には4つのマルハン店舗がある。その中でも、4円・20円の高レートを中心に集客に成功し、地域一番店として君臨しているのが、2008年12月にグランドオープンしたマルハン外旭川店だ。
設置台数はパチンコ400台、パチスロ200台。同店で店長を務める杉野高志店長は、マルハン歴17年の生え抜き社員だ。
人口約30万人の秋田市には29店舗のパチンコ店が存在する。激しい競争の中で、明暗を分けたものとは一体何だったのか。杉野店長流の店舗づくりについて聞いた。

「ココロ弾けるワクワクを。」非日常の刺激を楽しんでいただけるよう、
店内演出などをしていくのが、私がこのお店で表現したいこと
PiDEA編集部(以下略編)杉野店長はずっとマルハン一本で勤め上げられてきたんですか。
杉野高志店長(以下略杉) そうですね。
編 では業界歴イコール社歴みたいな感じでしょうか。
杉 マルハンに入社する前に別の法人でアルバイトしていたのも含めると業界歴20年です。私の場合、学生時代がほぼなくて若いうちから仕事をするようになりました。その仕事をしていた会社が潰れてしまったため、パチンコ店でアルバイトをやるようになり、この仕事・業界にすごくやりがいと興味を感じたんです。
編 学歴社会ではなく実力社会って感じがしますね。
杉 20歳を過ぎてから大検を取ったのですが、結局大学には行きませんでした。同期入社メンバーは大卒者がほとんどです。
編 300店舗以上あるとはいえ、その競争に勝ち抜き、店長になるのは狭き門ですよね。
杉 そうですね。年々狭くなっていると感じています。私の場合は本当に巡り合わせや運がよく、お世話になった諸先輩方や仲間がスゴイ人ばかりでした。そんな方々と話しているとみんな本当に頭がいいなと思っていました。私が無知すぎた一方で、周りが賢いから逆にたくさん学ぶことができたんだと思います。今思えば、入社してから今まで目から鱗の学びだらけでした。恥ずかしながら入社するまでPCを触ったこともなければ、漫画以外の本を読んだことすらなかったのです。
編 店長になるまではどんなステップを歩んでこられたんですか。
杉 最初は神奈川や静岡の店舗で一般スタッフをやりました。2年半くらいでマネージャーになることができました。
編 結構早くないですか?
杉 当時はちょっと早いぐらいだったかもしれません。もっと早い人もいたと思います。当時は気合と根性で乗り切れた時代だった気がします(笑)。マネージャーとして神奈川エリアで3年程度やってからは、本社人事部付けのカイゼンプロジェクトに2年参加しました。
編 一度現場から離れたんですね。でも戻ってきた。
杉 本社に残る選択肢もあったのですが、やっぱり私は店長になりたかったので現場に戻らせてもらいました。そこから半年後に昇進して店長に。2013年、福島の伊達店でした。
編 今こちらの外旭川店はどれくらいになるんですか。
杉 3年半です。

編 秋田市内の競合店状況はどのようになっておりますか。
杉 秋田県内で101店舗のパチンコ店があり、そのうち29店舗が秋田市内にあります。
編 正直、供給過多だなって感じませんか。
杉 たしかに多いかもしれませんが、店舗数は年々減少傾向にあります。全盛期では40店舗くらいあったらしいです。ただ、秋田市内には基本的に大型店がないんです。人口も約30万人に対して29店舗なので、そこまで多すぎるという感覚はありません。
編 台数規制みたいなものがあったんですかね。
杉 昔はあったみたいですが、今はもうないと聞いています。当店が600台で、エリア内のマルハン茨島店が780台で最も多い方です。1000台を超える店がないんですよ。私の願望ですが、市場を席巻できるチャンスがある地域だと思っているので、いつかそういうチャレンジができたらと思っています。
編 市場のポテンシャルはどういうところに感じていますか。
杉 人口自体は縮小傾向ですが、県民性なのか、何か地域のお祭りとかイベントごとにはすごく反応する傾向があるように感じます。コロナ情勢にももちろん非常に敏感な地域です。湧くところはワァーっと集まって、引くところは一斉にサーッと引くイメージです。パチンコ店も集客する努力を怠らずに、うまく来店動機をつくれればもっと集客していけるポテンシャルを感じています。他業種ですが「いきなりステーキ」が流行った時期があったじゃないですか。秋田は出店が遅いので全国的なブームからは遅れがちなのですが、出店すると最初は毎日並びができるんです。話題のものに飛びつき、トレンド・ブームに引っ張られやすい。それを既存のパチンコ店としてどう表現するかが腕の見せ所だと思っています。
編 市場の地域ナンバーワンってこちらの店舗ですか。
杉 通常貸しに限れば当店ですが、低貸ですと僅差だと思います。
編 たしかに見た感じ、4円・20円の方が稼働が高いですね。多くの店ではそれができなくて、レートを下げてしまうと思うのですが、どうして高いレートに集客できているんですか。
杉 秋田市内のマルハンはドミナント展開していまして、当店から北へ約8kmのところに低貸しメインの追分店があり、南へ約4km離れたところに低貸し専門の臨海店があります。ドミナントとしてのすみ分け戦略や立ち位置もあるので、当店は4円・20円に特化した営業をしています。
編 その特化というのは何をやっていますか。
杉 いろいろです(笑)。お店のリソースは限られているので、4円と1円で同じレベルのサービスをしてしまっていないかということをずっと考えています。私も低貸しメインで戦わざるを得ないお店も経験してきているので分かりますが、目先の集客を意識してしまって、なかなか貫けないんですよね。
編 外旭川店はずっとそのスタイルを続けてきたんですか。
杉 2年前に1円を40台増やしたりしましたよ。でも当時の狙いは4円の圧縮効果だったので、主目的はブレていません。結果的にはうまくいきました。

編 では、杉野店長が業務の中で得意なことって何でしょうか。
杉 コツコツ続けられるのが自分の強みだと思っています。基本的には開店前に出勤して、朝イチのお客さまの並び状況や内装などを確認して改善した上で開店を迎えるようにしています。毎日の開店準備作業には妥協がないようにこだわっているんです。
編 例えば、開店前の改善ってどんなことをするんですか。
杉 細かいですがPOPが曲がっていたり、設備の不備があったりしないか、お手洗いが汚れていないかなどですね。営業中はどうしても行き届かないことも多いですし、こういう細かいところは、短期的には効果が見えづらいところですが、そもそも開店時から乱れていたら大きな課題だと思っています。小さな提供価値の向上はみんなで取り組んでいます。
編 杉野店長がこのお店を通じて提供するものを一言で表すとどういうことでしょうか。
杉 ワクワクです。「ココロ弾けるワクワクを。」というのが当店のキャッチコピーになっています。通常貸しを中心に非日常を楽しんでいただけるよう、店内演出などをしていくというのが、私がこのお店で表現したいことです。これにはスタッフみんなの共感や行動がないと実行できないことだらけですが、今はみんなが自立して取り組んでくれています。
編 その目標に対しての課題はありますか。
杉 まだまだ課題だらけです。イコール伸びしろもまだまだあると思っています。だいたい通常貸しの高稼働店舗って海シリーズが強いのですが、当店の場合はそうではありません。そこをもっと強化していきたいと考えています。
続きは1/15発行のPiDEA Vol.173で
