ホテル売却を決めたホール経営者

2020.07.30 / コラム

ホールの客は頭取りデータでも平均で5~6割は戻っている。圧倒的な地域一番店ともなるとコロナ前の2月の水準にはほぼ戻っているところもある。

大手クレジット会社が提携先の顧客データから客の戻りを調べたところ、コロナ前の5~6割の売り上げだということだから、パチンコも一般業種と歩調を合わせていることが伺える。

さらに共通しているのはホールの夜の客の戻りが悪いように、飲食店も昼間のランチ客より、夜の酒を伴う業態の戻りが悪い。これは、在宅勤務が増えた他、サラリーマンが会社から感染を恐れてまっすぐ帰宅するように指示が出ていることも影響しているものと思われる。

5~6割の戻りでも良しとしなければならない。国民の生活様式の変化で元に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだ。

一番戻りが悪いのは、言わずと知れたインバウンド客をメインにしていた観光産業や宿泊業だ。

ホール経営の傍ら、ホテル業界に進出したホール企業がいくつかある。そのうちの1社からこんな声が漏れてくる。

「ウチはまだホールがあるが、専業でやっているところは経営危機が続いている。今年のオリンピック需要もなくなり、民泊は全滅。オリンピックの後で関西方面にオリンピック客が流れてくることも期待外れに終わった」

ホテルの直近の平均稼働率は18~19%。つまり未だに8割減の状態が続いている。

夏休みはホテルにとってもトップシーズンの稼ぎ時だ。ところが、青森のねぶた祭、仙台の七夕祭り、秋田の竿灯まつり、京都の祇園祭、徳島の阿波踊り、と全国各地の夏祭りも相次いで中止しになった。おまけに今年は各地の海開きが行われないこともあり、シーサイドホテルにはこれも手痛い。

「8月には宿泊費の補助金が最大で2万円出るGo To キャンペーンに期待しているけど、なんか国のやることはモタモタしている。大手ファミレスもどんどん撤退しているけど、ホテルは撤退しにくい」

インバウンドで潤い、インバウンド客目当てでホテルが乱立した宿泊業界は、初めて体験する危機的な状況だ。

このホテルも経営するホール関係者はホテルの立て直しのためにコンサルのアドバイスを求めた。

「インバウンド客の入国ができないので、今はどこも成す術がありません、という回答だった。乗り切る方法はなかった。インバウンド客が戻るのは1年では無理。最低でも2年はかかる。コロナ前に戻るにはさらに5~6年はかかると言われ、それでホテルを売る相談をしました」

こんな時期にホテルを買収するところもあるようで、不動産価値のある場所であれば、不動産業界が狙っている。しかも、底値で買い叩くことができるからだ。いずれ回復するであろうインバウンドに先行投資する狙いもある。





オリジナルサイトで読む