加熱式タバコ 店長が知っておくべき7つのポイント【第2回】

2020.07.21 / ホール

パチンコホールにおける加熱式タバコ喫煙可能エリア(以下「加熱式エリア」)の設置に際する「7つのポイント」について。前回の「加熱式タバコ 店長が知っておくべき7つのポイント【第1回】」では①マーケティング、②法律の内容について言及したが、今回は加熱式エリアの設置にあたって議論の的になっている個所について切り込みたい。

 


ポイント③
仕切りの壁問題

禁煙エリアと加熱式エリアを併設する場合、その境目には壁などの仕切りが必要になる。ただし完全に仕切る必要があるのかと言えばそうではなく、人が行き来する部分に扉大のスペースがあれば完全に仕切られていなくても問題はないというのが、現実的な解釈になる。
ただし法律が定めている「禁煙エリアから喫煙可能エリアに向けて、秒速0.2m以上の風が吹いていなくてはならない。この風速の計測に関しては地域の保健所などで、無料で貸出をしている。

この点において注意すべきポイントは、風営法の構造変更にあたるのかどうか。細かい話をすれば、設置した壁の厚み分の営業面積の変更が生じる事案でもあり、所轄警察署への事前の確認が必須となる。

とあるパチンコ店では、ビニール素材で簡易な遮へい物を設置し、禁煙エリアと加熱式エリアを仕切っているが、改正健康増進法の観点からは問題がないものと思われる。

 

ポイント④
「一部」の問題について

加熱式エリアの広さを、ホール全体の広さに対してどれくらい確保しても良いのか。
法文には「一部」という表記しかなく、その解釈についても明記されていない。この点に関して明確に示されているのは、2019年2月の厚生労働省課長通達において、「客席以外の場所を禁煙スペースとし、客席すべてを加熱式エリアとする」ことを禁じることのみ。
この通達内容を照らし合わせれば、カウンタースペースやバックヤードだけを禁煙化し、遊技台設置スペースを加熱式エリアとすることは明確にアウトである。

では「客席の一部」とはどれくらいまで許容されるのだろうか。
社会通念上「一部」とは、「過半数に満たないもの」と多く認識され、前稿でも紹介した日遊協のマニュアルにも「50%未満が望ましい」とされている。

この点については社会通念的な概念である「50%未満」であるべきなのか、「90%も『一部』である」と解釈するのかは、当該ホールの自己責任の範疇で決めるべきであると考える。現時点で明確に言えることは、客席の「一部」が禁煙化されていれば、法改正の主旨がどうであれ、違法ではないということである。

 

ポイント⑤
多層階ホールの問題

多層階で構成されるホールの場合、例えば1階を禁煙エリア、2階を加熱式エリアにすることは、いくつかの問題(階段やエスカレーターなど、吹き抜け)をクリアすれば可能である。

この点における問題は、一部の地域において、外目には同一ホールのように見えていても、営業許可は別店舗として取得している場合である。法律の観点から言えば、1階と2階は別の店舗であり、2階部分を加熱式エリアにするということは、店全体を加熱式エリアにすることと同義になってしまう。

この問題についての本稿の見解はこうだ。
風営法上の許可は別であっても、同一建物内の同一業態であり施設の管理者が同一人物であれば、改正健康増進法の観点からは「一つのお店」として認められる可能性が高く、現実的には1階禁煙エリア、2階加熱式エリアでの営業は可能であると考えている。実際にこのような解釈を示した地域の保健所があることも確認している。
ただしこの点に関しては統一解釈が示されておらず、地域によって解釈の差異がある可能性があるので十分に理解してほしい。


本稿はかなり踏み込んだ法律の解釈となっているため、その是非について責任を負うものではありません。
それを踏まえ次回は、加熱式エリア設置のために一番重要である2つの問題について説明します。

 

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