団塊の世代がリタイアする現実を10年早く経験か

2020.07.09 / コラム

サラリーマン時代、取材で全国に行ったが、唯一行っていな地域が青森、秋田、山形の東北3県だ。それぐらい東北とは縁がない。東北は過疎化が加速し、最低賃金も790円で下位グループに入っているぐらいのイメージしかない。

もう少し具体的に参考になるのが、6月11日付の日経新聞だ。

それによると、
東北経済産業局は11日、4月の東北6県の経済動向の基調判断を前月に続き2カ月連続で下方修正した。新型コロナウイルスの影響で3月の経済動向を「弱含んでいる」と5月に下方修正したが、今回はさらに「後退している」とした。全体の経済動向を「後退している」としたのはリーマン・ショック後の2009年4月以来11年ぶり。

4月の個人消費は、百貨店の売上高が前年同月比53%減の70億円と東日本大震災のときを上回るマイナス幅となった。コンビニや家電大型専門店でも売上高が減少する一方、ドラッグストアは15%増の431億円と4年1カ月連続の増加となった。

以上引用終わり

ま、コロナで経済が落ち込んでいるのは全国的なものだが、個人消費が東日本大震災を上回るマイナス幅になっていること。

秋田で単店を経営するオーナーは、コロナの影響で客足が戻らず、すっかりやる気を失っている。

総台数は400台。10年前にホールを建て替えた。

このタイミングで1パチ、5スロを導入した。

「コロナの影響で経済が回らないことには、地方は特に厳しい。新基準機の入れ替えもやっていかなければ、ならなかったが、その前にコロナが来た。コロナ前の日売りは300万円だったが、コロナ後は115万円まで落ち込んでどうしようもない」(オーナー)と店舗を売却するつもりだが、郊外店では買い手も付かないようだ。

ちなみに粗利はコロナ前もコロナ後も同じ感覚で取っている。それはランニングコストのため。それは店側の事情であって客には関係のないこと。客が少ないところに向けて同じような粗利を取れば、ますます客は来なくなる。

「東北はレジャー関連の業種は、何年間かはしんどい、と思う。もう、乗り切る気力もなくなった。低貸しを始めたことは今にして思えば、ミスだった。私の周りにもコロナでやる気をなくしたオーナーがわんさかいる。もう一儲けする自信もない。今は従業員の雇用もあるので惰性でやっているだけ。ホールとしては売れないので、中身を空っぽにしないと買い手もつかない。それにもおカネがかかる。それが嫌でズルズル営業しているが、辞めるのは今のタイミングしかない」(同)

秋田は米どころでもあり、農家のお客さんの収入が下がることはないが、コロナが完全に終息していない時期にパチンコへ行くと、陰口を叩かれる。

地域は違うが北海道・小樽の昼カラで高齢者の間でクラスターが発生している。批判を恐れてパチンコへ行くことを控えているお客さんも少なくないようだ。

「今、来ていただいているお年寄りは後、10年もすればいなくなる。その現実を今見てしまった」(同)

このことも廃業を覚悟した一因のようだ。

団塊の世代がパチンコからリタイアする現実をパチンコ業界は、10年早く経験しようとしている。





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