ミレニアル世代が考えZ世代に訴求するパチンコとは

2020.06.17 / コラム

5月31日、無観客開催で開催された日本ダービー。本来なら10万人以上の観客で溢れる東京競馬場で、静寂に包まれた中で国家独唱したのが歌手の平原綾香だった。

大役を終えて自身のフェイスブックでは次のように綴っている。
「騎手の皆様やお馬さんたち、おうちで応援されている大勢の方々や、外出の自粛に努めている方々へ祈りを込めて歌わせていただきました。サラブレットにとって一生に一度のレースということでとても感動しました。コントレイル、福永祐一騎手、関係者の皆さま、ディープインパクト以来の快挙おめでとうございます。早く普段の開催に戻れることを切に願っております」

で、気になるのが日本ダービーの売り上げ。現在は電話とインターネットのみだが、売り上げは前年比92.3%235億5390万2100円だった。前年の売り上げの7割を占めた電話、インターネット投票の登録者がさらに増加して、売り上げ減を最小限に止めた。

コロナで外出自粛が求められるようになって登録者が急増したことが背景にあるが、公営競技の強みは現地に足を運ばなくとも楽しめるというところが、パチンコとの大きな違いである。

パチンコの場合、営業を再開してお客さんの戻りが相対的に悪い。コロナ感染を恐れるお年寄りや、パチンコバッシングで依存症問題がクローズアップされ、自分も依存症とは思われたくない、という心理が働き、暫く控えようとする人もいるだろう。

ところが、電話、ネット投票ができる競馬は、コロナの影響を最小限に抑えられたともいえる。

同じカテゴリー属するパチンコが蚊帳の外に置かれてしまった。

では、パチンコはアフターコロナ、ウイズコロナ時代にどう変革していくべきなのか? そのヒントをビジネスブレークスルー大学の先生で「業界破壊企業」の著者である斎藤徹氏から学ぶことができる。

業界破壊企業とは驚異的なスピードで躍進している企業を指すのだが、トップ50にはカリフォルニアに本社を構えている会社が多い。成功した強みを分析すると、新しい価値観の提供と価格破壊の2つに大別される。

アメリカの物流業界を破壊したコンボイは、Amazon倉庫を管理していた人が創業した会社で、トラック版のウーバーイーツとも言われている。トラックは荷物を運ぶと帰りは空で帰る率が40%で、非常に効率が悪かった。そこで、ドライバーと荷主をマッチングさせ無駄をなくすことに成功した。

フィットネス業界を破壊したペロトンは、自宅をフィットネスジムにするビジネスモデル構築して、創業8年で時価総額1兆円の会社にした。専用のバイクを20数万円で購入する必要があるが、バイクに付いているモニターと連動させ、インストラクターがパーソナル感覚で指導してくれる。

証券業界を破壊したロビンフッドは、スマホで手数料なしの株式売買のモデルを構築した。手数料なしでどうやって会社が成り立つのか、と疑問に思うが、この取引データを企業に販売している。株取引もAIがやる時代だが、AIを進化させるには膨大なビッグデータが必要になる。

セキュリティー業界を破壊したSynackは、世界60カ国1500人のホワイトハッカーと契約して企業のセキュリティーの脆弱性を診断している。

これらの企業に共通しているのは1981年から1995年のミレニアル世代が創業していること。幼いころからネット、デジタルに触れ、若い人の気持ちを感性で取り入れていること。

社会的価値を共に追求し、ビジネスそのものがサスティナブルなことに強味がある。ちなみにサスティナブルとはその会社の企業活動が地球環境を破壊することなく、持続可能なことを意味する。

コロナショックは世界的に大変革を求められようとしている。利益追求のおカネ視点の従来型の会社から、幸せを広める会社が今後伸びていく会社である、ということのようだ。

パチンコをやることで人々が幸せになれるビジネスモデルが必要になるが、ミレニアル世代がその後に続くZ世代に訴求するまったく新しい発想が必要とも言える。

パチンコ業界を破壊する企業の登場が待ち望まれる。







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