除菌用電解水の自家生成設備を設置、パチンコホール「アスカ」がビジョンを語る

2020.06.09 / ホール

コロナウイルスへの恐怖が一段落し、すこしずつ日本は元の姿を取り戻しつつある。パチンコ業界もその例外ではない。営業再開後のホールにも、最初の頃は控えめだったものの、時を追うにつれ少しずつお客さんが姿を現し、本来の活気が戻りつつあるようだ。

しかし、「これから」はもはや「これまで」ではない。ニュースなどで取り上げられるように、これからの日本はコロナと共生していかなければならない。パチンコ業界においても、感染を防ぐために守るべき「ガイドライン」が周知され、ほとんどのホールがそれに沿った対策を取っている。 

(アスカ熊谷店 手前の木製の小屋の中に電解水生成設備がある)

しかしその中でも、「ガイドライン」にとどまらないプラスアルファの対策を取っているホール企業がある。それが、埼玉県北部を中心にホール7店舗を展開する「株式会社 アスカ」だ。今回はその、アスカ熊谷店の支配人を務めている斧晋也氏に話を伺った。

「まずは、自粛に協力している期間を利用して、店内清掃。それからスモーク除菌。従業員には、感染リスクを避けるため交代で出社してもらいました」

それらの基本的な衛生施策に加えて、アスカ熊谷店では「電解水生成装置」の導入に踏み切った。電解水については錯綜した情報が報道され、一部では混乱も見られる。しかし、微酸性電解水協議会理事でもある株式会社mil-kinの狩野代表取締役によると、「電解水にもいくつかの種別があり、報道で健康リスクを疑われているものとは製法が違う」という。

(株式会社mil-kin代表より電解水生成装置の説明を受ける斧支配人)

「熊谷店だけでも休業中は毎日相当数のお問い合わせがありました。『まだ開いてないの?』と。そういったお客様をお迎えする上で、(コロナウイルス対策を)何もしないというのはできない。また、私たちは埼玉県にしかないホールです。地域の企業として、埼玉県の皆さん、従業員、その家族を守っていくために何ができるかを考えた結果です」

混乱の時期にはマスクや除菌用アルコールの供給が滞った。今後第二波や第三波の到来も噂される中、アスカ熊谷店では店として電解水の生成設備を所有することにした。「自前で作ることができれば、供給が途絶えることはないわけですから」アスカではこれをスモーク除菌という形で活用し、目に見える形で「安心」をお客さんに提供している。コロナ対策のいわば「目玉」といえよう。

 

さらに除菌液が足りなくて困っている従業員やお客さんに持ち帰ってもらったり、市とも相談しながら児童養護施設や学校、個人へ配布して有効活用してもらうことを見据えている。

「先日、児童養護施設を訪れて、お客様から寄付をいただいたお菓子を贈呈したんです。学校もやっていない期間だったので、子供達はとても喜んでくれた。その時に、子供達は外で遊ぶわけじゃないですか? 出たり入ったりするときに、そのたびにアルコールを使っていて、これじゃあ持ちませんと悲鳴のような声が上がっていて、そういったところに、お菓子と一緒に持っていけたらなと思っています」

新型コロナウイルス以降、町のスーパーなどではイートインコーナーが閉鎖され、そこに根付いていたコミュニティが姿を消してしまった。テイクアウトはできるけど、コミュニケーションは取れなくなってしまっている。そんな寂しい情景をここのところよく見かける。

アスカ熊谷店の店舗にもそういった、遊技客が歓談し、井戸端会議ができるようなスペースがあって、そこには地域のコミュニティが存在している。コミュニティの中心は、コロナ禍において最も脆弱な立場に置かれているお年寄りたちである。そのコミュニティが壊れてしまわないように、安心で安全な場所を作らなければいけない。ただお店を開けて、スペースを解放しただけでは駄目だと考えているのだ。安心がなければ、いくら場所があったとしても、そこに自然な人々のつながりは戻ってこない。

「個人的な思いですが、コロナ禍があけて帰ってきたお客さんが、安心できる場所になるように、『あ、いつもいる人がいる』とくつろいでいただけたり、『アスカに行ったら、あの、〇〇さんがいるよね』と思っていただけたり、お客様にとってそういう場所にできるように準備をしていく。それが大事だと思っています。電解水というのも、あくまでそのための手段の一つです」

 

埼玉郊外の1ホールが、地域の安全を発信する機能も担えるような、除菌水の生成装置を導入した。その背景には、お客様への安心感をブランドの中心に据える、グループ全体としての確固たるビジョンがあった。

(換気能力にも自信のあるアスカ熊谷店)

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