コロナショックでホールは雇用の受け皿になり得るのか?

2020.05.31 / コラム

総務省が発表した4月の労働調査によると、パート、アルバイトなどの非正規労働者は2019万人となり、前年同月比で97万人も減った。新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が来なくなった観光関連産業が第一波の打撃を受けていたところに、4月には政府の緊急事態宣言が発令され、キャバクラ、飲食店、カラオケ、スポーツジムなどが休業を余儀なくされた。



休業すれば、雇用の調整弁として役目を果たしてきたパート、アルバイトはクビを切られる。コロナ禍でアルバイト先を失った人たちは97万人もいるということだ。

パチンコ業界も休業要請を受けて1カ月半以上も店を閉めた地域もある。この間、アルバイトの雇止めをすることなく、休業中も給料を補償したホール企業の方が多かった。

こうした背景には、雇止めした場合、営業が再開しても他へ働き口を求めて就職してしまう恐れがあった。一旦、解雇すると営業再開してもすぐに戻って来てくれない懸念があったためでもある。

緊急事態宣言は解除されたものの、パチンコ店もそうだが、飲食店もすぐにお客が戻ることはないようだ。3密防止のために客席を減らして営業すれば満席でも席数は従来の半分。コロナ前の利益を上げるのは厳しい。

もっとも、緊急事態宣言が解除されただけで、完全にコロナが終息したわけでもない。現に北九州市では感染者が20人台で増え始め第二波が来たとして、再び外出自粛要請が出ている。

すぐには元通りの生活には戻らない。となると事業主側も景気の回復が読めず、人の採用には慎重になる。

で、アルバイト先を失った人たちが、頼みの綱としているのがパチンコホールだったりする。

北陸で4店舗を経営する社長は急増する問い合わせに驚きを隠しきれない。

「コロナで仕事先を失った人から毎日のように求人の問い合わせの電話が入っています。工場で働いていた人や夜の店で働いていた人からの問い合わせが多いですね。うちのようなところでもこんなに電話がかかってくるのか、と思った。求人誌を使う必要もないくらい採用は楽になりました」

地方だけではなく、首都圏のホールでもこの傾向は現れている。

「飲食店がものすごい数で閉店しています。時給は飲食店よりパチンコ店の方が高いので、求人の応募がすごいことになっています。求人広告の代理店は無料キャンペーンをやるといっていますが、その必要もないぐらいです」(ホール社長)

リーマンショックの時もホールが職を失った人たちの雇用の受け皿となったことがあったが、その再来となっている。リーマンショックの時との違いは、ホールも大きく稼働を落としているので、人件費ばかりをかけてはいられない状況ということだ。







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