「パチンコヘイト」対策 3つの提言

2020.04.20 / 新型コロナ

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、ついに4月16日には緊急事態宣言の対象地域が日本全域に拡大され、それまでの対象地域であった7都府県に6道府県を加えた13の地域が「特定警戒都道府県」に指定された。地域や知事の判断によって、対応に濃淡は予想されるものの、パチンコ店の営業はより一層厳しさを増し、また協力休業を選択するホールも倍増することが予測される。

そのような状況のなか、私が一番懸念していることは、パチンコ店に対するバッシングである。いやあえて本コラムでは、「パチンコヘイト」と呼びたい。「ヘイト」とは何なのか。「ヘイトスピーチ」や「ヘイトクライム」という言葉は聞いたことがあるかも知れないが、一言で、「嫌悪」や「憎悪」という意味である。明らかな悪意や憎しみのことである。

本来、「ぱちんこ」に対する世間の風当たりは強い。特に近年は「ギャンブル等依存症」問題との兼ね合いのなかで、あたかもパチンコ店が依存症製造工場のような扱いを受け、国会でもニュースでも非難の的になりやすかった。偏見や没理解による「口撃」を今までもパチンコ店は多く受けてきた。

しかし今の状況は、東日本大震災の時の「パチンコバッシング」のそれを超える。 ウイルスという目に見えない脅威の前で、人々は極度の緊張状態での生活を強いられ、また生活の収入源すら枯渇してしまいそうな人が多くいる。日々ストレスがかさみ、心が狭くなり、だから誰かに、何かに鬱憤をぶちまけたくなる。そんな社会の鬱憤が、パチンコ店に吐き出され続けている。不条理に目の敵にされている。 都内のパチンコ店が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け倒産したと報道された。実際のところは、昨今の業界事情のなかで徐々に経営難に陥り、今回の一件で倒産に至ったのであろうが、その報道に対するネット上の人々のコメントは憎悪にあふれている。

パチンコヘイトに負けないために

本コラムの主旨は、このような「パチンコヘイト」に対しての3つの提言である。

提言① パチンコ店で働く人たちの気持ちや生活には1mmも想像力が及んでいないこのような「パチンコヘイト」に対して、真っ向から反抗反論する必要性はこれまた1mmも感じない。しかしパチンコ店は、正々堂々と業界の健全性や、ウイルス感染を抑えるための涙ぐましい努力(決して、=安全性ではない)についてもっともっと発信すべきである。組合や団体の存在感を大いに示す時ではないか。

提言② 営業自粛が求められている地域において、協力休業に踏み切ったパチンコ店には、惜しみない称賛を送りたい。しかしだからと言って、営業を継続しているパチンコ店が「悪」という訳ではない。一部、いまだ広告宣伝を続ける店舗は言語道断ではあるが、業界関係者たちが、そうでない「身内」を口撃することは止めよう。憎しみは社会を分断させる。健全な競争は必要であるが、憎しみの応酬はまったく不必要だ。

提言③ 若い社員やアルバイトさんたちに経営者や上司たちはもっと勇気を与えてあげてほしい。これだけパチンコ店の営業が「悪」としてメディアで報道されている今、そこで働く若い社員やアルバイトさんたちのモチベーションの低下は言わずもがな。「こんな中で働いてくれてありがとう」の一言でも良い。経営者や幹部社員が不安や焦燥にかられる状況ではあるが、若い社員やアルバイトさんたちには、彼ら彼女たちが「前向き」になれるように声を掛けて欲しい。

未曽有の危機の前で、心おおらかに過ごせるわけはない。 ただ自分の心の状態が今どのような状態であるのかは常に自分で測ることができるはずだ。 未知のウイルスは、体より先に心に感染する。人の心を削り、そしてとがらせる。 心に免疫とバランスを。

(文・根須猛)

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