高純増タイプ一辺倒にならないことが業界のため

2019.09.03 / コラム

日電協は純増枚数の自主規制を強化する中で、5.9号機に至っては純増枚数を2.0枚以下に抑えていた。新基準機となる6号機ではAT機の最大純増枚数が2400枚に規制された。その代わりに日電協は純増規制を撤廃し、純増10枚以上の機種を作ることも可能になった。

6号機時代がスタートして1年以上が経過する中、3月に高純増枚数の期待に応える形でリリースされたのがReゼロだった。ATタイプでウリは純増8枚。リミッターの2400枚まで到達するのに20分弱。現行6号機最速のスピード感がユーザーを虜にした。

初期ロットは8000台、と抑え気味で販売をした。人気はうなぎ登りで4度にわたる増産で7月の時点では5万6000台が市場に投入されている。高純増タイプはパチンコで言うところのMAXタイプでもある。Reゼロは導入当初は台数が適正だったこともあって粗利が取れていた。7月の増台のタイミングで全国の玉利は赤に転じている。

高純増タイプは、スピード感はある反面、ユーザーにとってはキツイ機種でもある。この手の機種は地域一番店の高稼働店では増台も有効だが、人気だからと言って2番店、3番店、4番店のホールが増台するとアウトは必ず下がる傾向にある。自店には高純増タイプを好む客層がそこまでいないことに気づかなければいけない。

ところがReゼロの成功で、今後、各メーカーから高純増機のリリースが目白押しとなっている。人気が出れば一気にその方向に舵を切るのが業界の常だ。

高純増で煽られるのがホールだ。数値比較だけで判断することが機種選定を誤らせる。表面のコイン単価などの数値だけを見ての判断は、思考停止と同じことである。今はどうしても高純増タイプばかりに目を奪われてしまうが、自店の客層や機種のAT確率や版権、ゲーム性も考慮して機種選定しないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになる。

確かに高純増タイプを好む層も一定数いるが、増台、増台で供給過多となれば、当然ながらアウトは下がる。やはり辛い機種もあれば甘い機種もある、というように豊富なバリエーションが必要だ。

例えばガールズ&パンツァーは純増枚数が約2.6枚、最近発表された新台であれば蒼穹のファフナーEXODUSであれば、純増枚数が約2.7枚だ。高純増に比べると見劣りはする。純増枚数を抑えるのはそれなりの理由がある。

高ベースでAT確率、継続率、突入率を上げるためには、低純増でなければ作ることができない。蒼穹のファフナーはパチンコで言うところのライトミドルで、シンフォギアのようなタイプだ。初当たりが軽く、高ベースでしっかり打ちたいユーザーには適している。

そもそも高純増タイプと低純増タイプでは客層も違うのだから、純増枚数だけで機械評価すると間違った選択をすることになる。

6号機の話題は高純増ばかりに期待が偏っているが、高純増タイプの一撃出玉のスピードが早いのは、AT確率やベースが辛く、吸い込みも早いためでもある。

機種のスペックや版権もしっかり見極め、MAXタイプの高純増機とライトミドル的な低純増機を併用してバランスよく使うことだ。

低純増タイプなら新規ユーザーを増やすことも期待できる。業界が取り組まなければいけないことはファンのすそ野を広げることでもある。









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