高橋正人「産業化なくして未来はない!」

2015.12.30 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座
[第80回]「くぎ問題」関連で〜2015年を振り返る

しかしまぁ今年も色々あったパチンコ業界でしたねぇ(大汗)。昨年12月に警察庁保安課課長に赴任された「小柳誠二」氏の、新年1月の行政講和から、パチンコ業界に多くの風が吹いた事は、周知の事実ですね。個人的には、正直6月は辛かったですねぇ・・・「なぜ」って? だって例の「ゲージ表問題」が勃発した時ですよ。様々な憶測が飛び回り、遂に「TKCに警察からのガサ入れが入った」とか・・・「会員名簿が押収された」とか・・・「社長の高橋(私)が逮捕された」とか・・・毎日毎晩、ご心配と事実確認の電話が鳴ったものです。この際だからお伝えしておきますが、その様な事実は全くございませんでした(事実)し、今後も有り得ません(確信)ので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

まぁ、そんなんこんなんで2015年も終わろうとしているこのコラムですが、せっかくなので、今年一年をザァ〜と時系列振り返って見ましょうかね。

■2015年の「くぎ問題」に関連する出来事(抜粋)
・1月23日〜全日遊連理事会にて小柳課長の行政講和・・・キーワードは「無承認変更」から【不正改造】
・4月28日〜警察庁から健全化推進機構に「遊技機性能調査」要請・・・キーワードは【一般入賞口】
・5月18日〜警察庁から機構調査開始の通知・・・キーワードは「検査」でな無く【調査】
・6月1日〜機構の遊技機性能調査が開始・・・・・キーワードは、同日夕方にに【ダメ出し報告】
・6月11日〜日遊協にて「小柳文書」が語られる・・・キーワードは【10分間に数十個】
・6月23日〜警察庁から通知文書が発出・・・キーワードは【一般入賞口に全く入らないもの】はダメ
 ※7月・8月・9月初週〜3ヶ月連続で機構調査結果を報告
 ※7月・8月〜日遊協主催の「くぎ勉強会」が各地で開催される
 ※9月30日〜高射幸性遊技機リストが作成される
・10月1日〜機構の月次調査結報告が一旦止まる・・・キーワードは【適宜報告】
 ※警察庁から日工組に「遊技くぎ」に対する「出荷釘調査」依頼
・11月4日〜日工組から警察庁へ「BY=3%以下での出荷」報告・・・キーワードは【回収】
・11月6日〜警察庁からホール5団体に要請文書発出・・・キーワードは【回収リスト】
・11月13日〜機構遊技機調査での行政通報の保留と調査延期・・・キーワードは【調査継続】
・11月17日〜余暇進にて大門課長補佐の行政講和・・・キーワードは【可及的速やか】
・12月4日〜機構の遊技機調査結果を報告・・・キーワードは【11月は健全化へ】
・12月10日〜日工組から声明文が発出・・・キーワードは【1月から随時回収へ】
・12月11日〜全日遊連から日工組へ抗議文が発出・・・キーワードは【日工組責任】
・12月16日〜日工組とホール5団体協議・・・キーワードは【声明文】と【記者会見】
・12月24日〜遂に、一般紙面及びテレビ報道がなされる・・・キーワードは【くぎ曲げ】
・12月25日〜日工組・全商協・全日遊連除くホール4団体の合同記者会見・・・キーワードは【業界誌紙向け】

・・・ざっくりこんな感じのようですね(汗)。

■本質的「業界パンドラの箱」は3つあるんです
法的な見解としての問題は・・・「(1)換金問題」「(2)くぎ問題」「(3)保証書問題」の3つが混在している。
・(1)に関しては、法的には一旦解決していると判断しているし、問題にはならない。但し一物一価に有る様に、賞品提供の問題は、法的にアウトであるので、いまだ解決していないと言わざるを得ない。
・(2)の問題だけに関しては、風営法の本質的には「無承認変更」と言うホール側の問題であった。しかし(3)の問題が絡むとなると、メーカ責任も問われる事となる。つまり、今起きている現実が「(2)+(3)の問題」である事をしっかりと理解・把握して頂きたいと願う。

一連の「くぎ問題」としても3つの段階がある事もご理解頂きたいと思う。このコラムでも何度か触れたと思うが、「第一段階:検定〜出荷」「第二段階:納品〜警察検査」「第三段階:ホール営業」の3ブロックに分かれている。今問われている事は、第一段階の部分であり、第二段階は2016年3月で解決する予定で、第三段階はその先の問題提起となる。

■高射幸性遊技機問題は、法的問題ではなく社会的問題である
いわゆるのめり込みや依存症の問題は、パチンコだけではなく様々な事にも孕んでいる。例えばアルコール依存、たばこ依存であったり、セックス依存であったり、今やスマホ依存もある。今後はカジノ論議でのギャンブル依存もあるだろう。仮に「借金してまで・・・」と言うならば、「ドライブするのが好きで高級スポーツカーをローンで買った」と言う話まで、「趣味=のめり込み」に成りかねない。

つまり、法的な問題ではなく、世論の社会的価値観によるものである。だから「業界としての自粛」とかが必要となる訳だが、それがそれぞれの業界で統一が出来れば良いのだが、先の「一物一価問題」もある様に、中々統制が取れていない現実もある。そうなると、パチンコ業界は公安員会の許可を得て営業し、それを所管するのが警察庁である以上、警察庁も腰を上げざるを得ない。それが「自粛要請」であったり「行政通達」だったりする。

<総評>
今年も色々あったが、「遊技機のスペックダウン自粛」と共に、最後の「くぎ問題」まで、日工組は相当の苦労をされたと感じている。伴いホールは「これから相当の苦労をする」事となるのだろう。「パチンコ業界を取り巻く環境」は、急に良くなる事はなく、暫くは苦悩との戦いであろうと思う。
しかし本来は業界から産業へ移行するべきなのだろうと思う。つまり「エンドユーザーと言う、打ち手・顧客・ファンを含めた産業化」への道を考える時なのかもしれない。いつまでも「業界」と言う内向きな文言を使っていては、この先の未来を語る事は難しくなる様な気がしてならない。

今年最後に伝えたい事を記しておく。「2018年夏、パチンコ産業は必ず復活します!」・・・しばしお待ちを。2015年末最後のコラムとなったが、今年一年このコラムに目を通して頂いた全ての方にお礼を申し上げると共に、来年2016年も出来る限り書き続けたいと思っている私です。「2015年はありがとうございました。そして、2016年もよろしくお願い申し上げます」

・有限会社トータル・ノウ・コネクションズ
・株式会社エル・−イ・オー
・株式会社S・K・P
代表取締役 高橋正人

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座