高橋正人「好調な甘デジの懸念点」

2016.01.13 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座
[第81回]〝甘海スペックじゃない「CRA海物語3R」は大丈夫なのか?

昨年年末リリースされた甘デジ機種に、「甘牙狼ザルバ」と「甘真・慶次」があった。現在の稼働状況は、台あたりで見れば「確実に甘真・慶次の方が良い ※但し設置台数が異なることは加味していない」という結果になっている。おおむね1万アウト程度の甘慶次の方が高いわけだから、結果的には台粗利も甘慶次の方が高くなる結果で、軍配は慶次に上がった。さて、この結果から、次の「CRA海物語3R」の是非を想定してみようと思う。

■甘牙狼ザルバの欠点がコレにある
「MAX牙狼のスペックと言えば!?」の問いに対しては、「突入50%のV確ST」と答える。そしてそのスペック実体感は、結果的に連チャン性と結びついていることになっている。そこに甘牙狼がリリースされたわけであるが、このスペックが、基本的に「甘海」のパクリである。打ち手としては「甘い確率の牙狼」を期待したものの、「牙狼らしいST性能」は体感できない結果となってしまった。つまり、牙狼というコンテンツで甘海スペックはダメだった訳である。

■打ち手の安心感は慣れ親しんでいる延長戦上にある
その点甘慶次はというと、逆にV確ST仕様となっており、1年前の「真・花の慶次L3−K」のST120回をそのまま踏襲しており、単に〝甘デジの真・慶次〟となっている。この結果、打ち手からは「期待感と安心感」が生まれることとなるが、そもそも甘デジなのだから遊技に対する安心感は必須アイテムなのかもしれない。

その昔、とあるマックス機の「ルパン三世」なる名機がリリースされた。その後甘デジがリリースされ、最高の売れ行きを誇ったが、なぜか速攻壊滅する客離れとなった。あの時「なぜ?」と首を傾げたが、単純にスペックが違いすぎることが、最大の懸念材料となって、稼働低下を招いてしまった(…こともあったっけねぇ〜汗)。

この辺りの理屈を、「北斗慈母」(フルST仕様、確変10倍アップでST5回転の甘海スペック)は覆せるのだろうか? いや今度こそ、「甘ルパン」(V確ST仕様、突入50%&継続100%の、ST=75回転)が優位に立つのだろうか?

■甘海という安定感のスペックとは?
最大の懸念材料が、「従来の甘海と違うスペックである」ということ。本来、甘海と言えば、2006年の「CRスーパー海物語SAE」から始まった「確率10倍アップ・高確ST5回転・以後時短振分回数あり」というのが基本仕様であり、その後「CRスーパー海物語IN沖縄SAD」で大当り15Rが搭載され「ST5回転+95回時短」が付加されることとなった。だが基本性能となる「確率アップ・高確ST」は継承されたままである。

2014年に「CRA海物語アクアwith吉木りさ」がフルST50回転という仕様をリリースしたが、その後の2015年、「CRA大海物語3 Withアグネス・ラム SAP」では、「確変5倍アップ・ST=10回転」の基本に近い仕様に戻して、いまだに稼働貢献している。

■さて2月7日リリース「CRA海物語3R」だが……
以前にもコラムした通りで、ST仕様ではなく、「確変=50%仕様&時短=33回転」となっている。この仕様を打ち手はどう感じるのだろうか? そしてそれを最も知る必要があるホール側は、どう対応しておくのか?

選択思考は2つになる。
①「確変突入したら次回の当り保証の海物語」のイメージは、ミドルでは常識だが、甘デジでも通用するのか?
②「甘海は、ミドル海とは違うイメージがすでに完成している」となると、打ち手は拒否反応を起こすのか?
さてあなたは、「どっちの根拠」で「何台導入」しますか?

<備考>
「CRA大海物語3 Withアグネス・ラムSAP」の中古相場は、今でも55〜60万円程度。「CRA海物語アクアwith吉木りさ」の中古相場は、現在12〜15万円程度である。とりあえず、1月リリースの甘デジ「キング」と「北斗慈母」の価格参照は意味がないとして除くと、「CR真・花の慶次 N2−K」は、現在40万円前後を推移しているが、成約はまったくないので、机上の空論。「CR牙狼金色になれ ザルバとの契約」は、15万円前後での取引が散見されている。

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高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

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