風俗営業「本籍確認」廃止へ/警察庁

2014.08.25 / ホール

8月21日、警察庁は風営法が規制対象の店に義務付けている従業員の本人確認の中で、本籍地と国籍を確認項目から外すことを決めた。

現在、風営法はパチンコやマージャン、ゲームセンター、ナイトクラブ、性風俗などの営業所に対し、従業員名簿の作成を義務化。氏名や住所に加え本籍地や国籍も確認し、記載する必要がある。

これについて、朝日新聞は7月25日付の記事で「本籍地は、差別や不利益な取り扱いにつながりかねない高度なプライバシーが含まれる情報とされる。警察庁の指示は、人権に配慮して行政事務を進めるように求めている政府の取り組みに逆行している形だ」として、差別につながりかねないと批判している。

また、本籍地情報をもとに戸籍をたどると、出生、家族状況、破産歴、犯歴などの個人情報が得られる。これに対して、政府は2000年に人権教育・人権啓発推進法を制定。国や自治体が行政事務を行う際に、人権に配慮するように求めており、労働基準法でも労働者名簿の本籍地記載義務を削除している。

ホール店長に話を聞いた。「血液型で人の性格を判断するのって、昔から流行っていますよね。それを警察が煽動してやっている印象です。なぜ、風営法業者だけが本籍地を問われるのか、理解に苦しみます。私たちは生まれてくる家も土地も血液型も選べない。なのに、就業先でそれを問われる。問われるということは、判断の材料にされてしまう。それで心を痛める人がいるというのに、なぜ警察はそんなことをしてきたのでしょうか。どうせ風俗営業なんてダメな人間がやっている、前科者も多いだろうし、とやってきたように思えて仕方ない。憂うべき差別だと思います」

警察庁は運転免許の取り消し処分者講習と初心運転者講習を受けた人の確認でも廃止するとしており、10月上旬に施行する予定。

朝日新聞, 本籍, 警察庁, 風営法