電車の有料座席をヒントに有料会員制度

2019.11.18 / コラム

今の昔も稼働を上げるには、新台を導入して玉を出すことだ。イベントが禁止され、集客の最終手段は“新台出玉”の原点回帰になったが、あるホールの営業本部長はこう嘆く。

「ウチは新台入れ替えで競合店よりも玉を出しているのに、集客効果が出ない。新基準機の出玉では5000円入れて5000円取り戻すのも大変な状況になっている」

新基準機の初当たりは軽くなったものの、単発を引けば500~600個の出玉で終わってしまう。こんなことが何度も続けば、お客も追っかけることはなく、パチンコそのものを止めてしまう。新台で玉を出してもその手法は通用しない。

依存症対策で出玉規制が実施された当初は、「出玉を規制は依存症対策にはならない」という意見が大半を占めていたが、真綿で首を絞められるようにジワジワとその効果が表れてきている。

出玉がダメならどうすればいい? 業界人が試行錯誤を重ねる中で導き出したのが優良会員ではなく、有料会員制度だ。

その発想の基となったのが通勤電車の有料席だ。

都市近郊を走る電車に、座って通勤できる座席指定・定員制の有料車両が相次いで登場している。通勤ライナーと呼ばれ、さらに土日も運行するサービスも増えている。

例えば、東急は昨年12月、有料指定席「Q SEAT」を導入。長距離通勤客の帰宅用で、通常運賃の他に400円の指定料金が必要になる。長距離列車に多いクロスシート座席中心の車両を使い、パソコンなどを使う乗客向けにコンセントや無線LANサービスも用意した。

有料席料金を払ってでも座りたいと願う客が多いので、首都圏の鉄道各社は対応している。

で、ホールの有料会員の方だが、当然、年会費などを徴収することになる。年会費の金額設定は不明だが、年会費を払ってでも元が取れる関係性がなければ、有料会員にはなってもらえない。

では、有料会員にはどのようなサービスを提供できるか。自分の好きな台の予約ができれば、朝一から並ばなくても済む。それで設定が入れば有料会員急増間違いなしだが、これはさすがにNGだろう。

普通に考えられることは来店時に1日1杯のコーヒーが無料で飲めるとか、ホールが近隣の店舗と割引サービスを提携して場合は、有料会員は割引率が無料会員の倍にするなどだろうか。これを魅力と感じてもらえば有料会員になってもらえる。

後は警察が有料会員制度をどう判断するか。






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