過渡期の今だからこそ知りたい パチンコの「要素」 【スペック編】

2019.06.21 / その他情報

昨月末に掲載した「重要度が増す『2019年の入替』を考える」が好評をいただき、加えて毎週月曜更新の「大手法人機械対策課SH@CKの新台講座」も毎週多数のアクセスを記録している。

そんなご好評と反響にお応えし、大手ホール法人で機械選定を担当するSH@CK氏がスペックやコンテンツなど「さまざまな側面」からパチンコ・パチスロ機種の要素を分析していく不定期連載を開始。

旧規則から新規則へと切り替わり、総入替までのリミットが迫っている。さらにはいまだにはっきりしない消費増税や新紙幣切り替えなど、パチンコ業界の営業に関わることが多く控えている現在。
変革の時代だからこそ、1機種単位の分析だけでなく「要素」単位での分析が必要ではないだろうか。

今回はパチンコで最も重要といっても過言ではない「スペック」について。大当り確率の違いに加え、STや1種2種など多様化するスペック同士の組み合わせをどう考えていくべきか。

 

スペックはユーザー層で大きく変わる!

多数の誘導を狙うなら〇〇〇〇がベスト (文章・データ提供 SH@CK)

 

唐突ではあるが「スペック」という言葉を聞いて何を連想するだろうか?
パチンコならばハイミドルやライトミドルなど「確率帯」を連想する事もあれば、V確ループや1種2種、STなどの「大当り仕様」を連想する事もあるだろう。
パチスロならばATやAの「タイプ」や、ゲーム数管理、セット数管理など「システム」というところか。
今回はそんな【スペック】特にパチンコのスペックについてお届けしたい。

2016年を最後に約1/399のMAXタイプが市場からなくなり、特殊タイプを除けばハイミドル帯(約1/319)が最低確率となった。当然ながら、確率が低くなればなる程に大当り時の期待出玉は相対的に上がるのが基本だ。

この確率帯の違いについては、ホール側の管理上だけではなく、ユーザー側からも商品カテゴリー認識としての役割を持っている。ホール側も確率帯ごとの島やコーナーレイアウトなどでアプローチをしているケースが圧倒的に多い事もあり、ユーザーの商品選択に一番影響を与えている分野とも言えるだろう。
それに加え、【コンテンツ】によっておおよそユーザーが分類され、その2者によりターゲティングされたユーザー層に対して、ゲーム性・大当り仕様がマッチングしているかが機種のポイントとなる。

ただし、パチンコとパチスロではユーザー特性が大きく異なる点に注意をして頂きたい。

確率帯においては『低確率(吸い込みが激しい)ほど高出玉期待値』となる為に、確率が高い事が決して遊技意欲に比例する訳ではなく、むしろ低い確率ほど支持される傾向にある。これはユーザー層に大きく関わっており、年齢層別の傾向として【①時間消費型ユーザー】【②勝ち額ユーザー】【③勝ち率ユーザー】に大きく分類される。この分類は年齢層が高い傾向にある順番でもあり、各分類の傾向は以下となる。(専業ユーザーは非考慮)

 

 

そして、【コンテンツ】は考慮しないものとして、ユーザー傾向に対しての大当り仕様との相性が以下となる。(過去機種の実績傾向)

 

※「確変ロング・ショート」は確変中の大当りまでの時間

 

「LOOP」「ST」「1種2種」などの仕様と各ユーザー分類との相性は、その仕様がもたらす結果により変わる。
「LOOP」は次回当選が確定している事に合わせ、通常落ち時も時短がつく機種が多い事から、時間消費型ユーザーに支持されやすい傾向にある。「ST」は表記上の継続率が高めになる事と自力感が特徴的な事から勝ち額ユーザー、勝ち率ユーザーに支持されやすい。
ただ「1種2種」に関しては少し特殊だ。

「1種2種」は「LOOP」に近い次回確定型と「ST」に近い自力継続型に大きく分かれるが、どちらも当りが早い事が大きな特徴となる。一方で時短が付与されづらい特徴も持ち合わせており、この点では消費型ユーザーにはポイントとしては適さない。だが、他ではできない大当りのテンポ感や高継続に対する期待感が消費型以外の層には好まれる傾向が強い。
裏を返せば「1種2種」は幅広い層に支持されやすく、さらにいえば初当りの軽さが加わったなら時間消費型ユーザーをも取り込める可能性が高いということ。それは「シンフォギア」の結果を見れば語るまでもないことだろう。

上記のようなタイプ特性に加え、コンテンツを考慮した相性をもとに各商圏において有効なターゲティングをする事がニーズ提供へと繋がる事となる。


主力メイン機種をどうしていくか、情勢から考える今後役立つ確率帯

 

現在主流のスペック(大当り確率)傾向は、前回の記事にて時代背景も含めお伝えさせていただいた。

 

簡単に振り返ると、現在で台数的にもアウト数値的にも主力はハイミドル(約1/319)機種である。しかし注目すべきは今年3月、「Pヱヴァ超暴走・超覚醒」が登場した直後にハイミドルの台数、アウトがともに下がったのである。
「Pヱヴァ」2機種は高継続タイプと設定付小当りRUSHタイプを同時発売したエヴァンゲリオンシリーズ13作目だが、両機種ともがライトミドル帯に属する。
これまではライトミドルというと「ハイミドル機のスペック違い」でリリースされることが多く、そのため市場ではハイミドル、ライト(甘デジ)に次ぐ3番手である。だが、先述した「Pヱヴァ」だけでなく、大ヒットを記録した「シンフォギア」は【初出機種】だったことで今までのライトミドルよりも上の数値を残せたのである。

一方で主力のハイミドルも分解してみてみれば偏りが強い。設置台数が多いとはいうものの、稼働がつく粗利が取れるのは「北斗無双」をはじめとした旧規則機ばかりだ。2021年1月末の旧規則撤去に向けては入替を進めていかなければいけないが、その「北斗無双」を含めた旧規則メイン機に頼らざるをえない営業状況であるのもたしかだ。

そんな中で新旧の出玉性能の違いを見てみるとハイミドル機は大当り最高出玉が2400個から1500個へ減少している一方、ライトミドルでは旧規則とほぼ同等のスペックを作ることができると言われている。そのような状況を鑑みれば、2019年中はライトミドルを中心に積極的に入れ替えていくことが重要となってくるだろう。

さらには、本年5月の持ち込み機より内規が緩和され下限ベースが変更されたことにより、確率帯の意味合いに変化が生じ始めるので今以上にスペックへの理解が必要となる!

パチスロに関して、新規則の試験でのスペック開発が極端に制限され始めている事はお気付きだろう。6号機のほとんどがAT機となり、Aタイプ(RT含む)が試験的にリリースされはじめた程度となっているのが現状だ。
A+ARTに至っては新規則登場後いまだ1機種もなく、5.5号機のA+ARTが再評価され始めている事などにも注意が必要となるだろう!

これはパチンコも同様となり、内規変更により供給されない分野では旧機種が求められる可能性が高い。これから先に登場する機種は分野ごとに情勢やニーズをよく分析し、十分に注意しながら運用していくことが必要となるだろう!