自民党とパイプを持ったことで国内上場の道が拓けるか?

2019.08.27 / コラム

企業が資金調達する方法は2つある。一つは金融機関からの融資で、もう一つが株式の発行だ。金融機関から借金することは金利を付けて返済しなければならない。

4円の稼働が揮わないホール企業にとっては、銀行の審査が一段と厳しさを増す。銀行はおカネを貸すことが仕事だが、ホールの建て替え資金に融資するとしても、返済が危ぶまれるようなところには貸すわけにはいかない。

銀行から低利の借り入れができないとなれば、審査が比較的簡単な金利の高いノンバンクから資金を引っ張ることになる。ノンバンクからの借り入れはそれだけ資金繰りが苦しい状況であることを意味している。

一方の株式の発行は、投資家に株を買ってもらうので、銀行融資のように返済する必要がないだけでなく、調達した資金は自由に使える。

発行した株式を売買するには証券取引場に上場しなければならない。パチンコ業界のメーカー系では、平和が1988年に業界初の株式店頭登録、1991年東証二部、1997年には東証一部上場を果している。現在、遊技機メーカーや関連機器、部品までを含めると上場しているパチンコ関連銘柄は30社に及ぶ。

ホール企業も上場の取り組みは相当以前からあった。90年代初めには上場を目指すホールで10社会なるものを結成したこともあったが霧散。さらに2005年にはピーアークがジャスダックに上場申請を諮ったが、翌年却下された。

ホール企業が上場できない理由は3店方式の合法性が曖昧で、投資家を保護できない、と言うのが理由だった。

国内での上場は時間がかかると判断したダイナムは2012年、香港証券取引場で上場を果たすことになる。2015年にはニラク、2017年には王蔵、とホール企業の香港市場での上場が続いた。

上場の話が長くなったが、ここからが本題だ。

ホール企業も海外ではなく、日本国内での上場を果たすことは悲願であるが、先の参院選でパチンコ業界が自民党とパイプを持ったことで、その可能性が少しばかり見えてきた?

「パチンコ業界の拡大路線は見込めません。むしろ、建て替え時期になると店を閉めるところが増えるでしょう。消費税が上がれば機械代も上がります。2%上がるだけで数万円上がります。今後消費税が15%に上がればパチンコのビジネスモデルが通用しなくなる恐れもあります。今でも設備投資を極力抑えないと銀行から融資が降りません。銀行からの融資は用途が限られるので、ホールは資金調達のために上場したがっているところはあります。3店方式がグレーで上場できなかったわけですが、自民党が入ってきたらその道も拓けるのではないか、と期待しているところはあります」(メガバンク関係者)

風営法議連には3店方式の合法化に向けて取り組んでもらうことになる、ということか。 しかし、上場を望むのはほんの一握りで、大半は現状維持のままがいい。上場基準に併せて3店方式が厳格化されることを由としない。

10社会で上場を目指していた頃は資金調達よりも、社会的信用が欲しかった。知名度が上がれば優秀な人材も確保できる。今の順番は資金調達が最優先のようだ。

数年後に東証マザーズやジャスダックに上場するホール企業の第1号が現れることになるのだろうか?





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