緻密な分析でヒット機を創るDAXELに迫る

2016.02.08

2015年10月に導入されたDAXELの「パチスロ百花繚乱サムライガールズ」が、DK-SISの単日平均アウトで25000枚オーバーを記録した。ホールからの評価は高く、中古機市場でも12月末頃に80万円近くまで高騰し話題となった。2014年9月に導入された「ささみさん@がんばらないすろっと」(稼働貢献11週)や2013年5月に導入された「まじかるすいーとプリズム・ナナ」(同10週)と、同機種のみならずDAXELのパチスロ機は、ここ数年いずれも堅調な稼働実績を残している。アニメにこだわっている姿勢は垣間見えるが、同社がタイアップするのは老若男女が知る認知度の高いコンテンツというわけではない。何がDAXEL製パチスロ機の稼働を後押ししているのか。本記事ではその秘密を探っていく。

ダイコク電機の子会社であるDAXELは、2009年11月に「剣豪」でパチスロ業界に初めて参入した。以降、「幕末維新 龍馬烈伝」「バスタード 暗黒の破壊神」とリリースを続けてきたが、新規メーカーとして世間の認知度が低かったためか、思うように稼働は伸びなかった。そこでDAXELは開発体制と方向性を一新した。4機種目「まじかるすいーとプリズム・ナナ」以降は、いわゆる〝萌え〟な、可愛らしい女の子のキャラを中心とするアニメとのタイアップ機「アニスロ」を軸とする機種開発を行うようになったのである。表面上はこの方向転換が実を結んだように見えるが、「アニスロ」という部分だけが稼働貢献を築いたのではなく、ゲーム性やスペック面に関して稼働貢献に繋がるよう細部まで計算した機種開発を行っていたという。詳しい話をダイコク電機・DK-SIS室遊技機企画係・片瀬宏之氏に伺った。

「『まじかるすいーとプリズム・ナナ』『ささみさん@がんばらないすろっと』に続いて、『パチスロ百花繚乱サムライガールズ』は当社のアニスロ第3弾となります。アニメファンを取り込みたいという思いもあるのですが、弊社の機械がアニメ系だからという理由だけで支持されたとは考えておりません」

どういうことか。

「アニスロとして発売した『まじかるすいーとプリズム・ナナ』から開発体制が変わり、DAXELに加えて、ダイコク電機の複数部署の人間が機械作りに携わるようになりました。開発のコンセプトは『数字で納得させて、意見が一致したものを作る』です。ファン目線、ホール目線、SISの分析結果に基づいたデータ目線。この三つの視点で三者が納得するものを作っています」(片瀬氏)

三者の目線で機械作りを進めて、三者が納得できなければやり直す。「その姿勢が稼働好調の機械ができた要因」だと片瀬氏は語る。

ホールの意見、ユーザーの意見を取り入れる点は、おそらく他メーカーもおこなっているはずだが、データ目線の機械作りとはどんなものか。もう少し詳しく聞いた。

「SISデータを基に、世に出ている機種の高稼働要因、低稼働要因を徹底的に調査しております。例えばART機ですと、高稼働している機種はARTの初期ゲーム数が何ゲームで、どのような継続方式なのか。また上乗せの仕方やART突入フローなど、あらゆる面を分析していくと、ファンに支持されるゲーム性の輪郭が見えてきます。それを自社のパチスロに取り込むようにしています。今の新基準機であれば基本的に出玉性能の高い機種を作るとゲーム性に無理が出ます。その結果、コイン単価2.8円以上の機種は稼動貢献が短くなっています。また顔認証データから長時間遊技をするファンが減少している現在では最大MY性能が高いからといってファンが遊技するわけではなく、当たるまでの時間、投資金額、当たったその時の出玉性能(TY)の方が重要ということが分かっています。このことは『百花繚乱サムライガールズ』の最大MYが2200枚しかないのにファンのリピートを生んでいることからも証明できます。1日遊技してどれくらいの出玉が作れるかではなく、1回当たった時にどれくらいの出玉を期待できるかとその頻度をホールの機械台選定者の方々には気にしていただきたいですね」(片瀬氏)

数字の裏付けをがあるからこそできる同社の機械作りが人気の一因となっているのだ。一方、昨年末に開催されたコミックマーケットに企業ブースを出展するなど、アニメへの思い入れは強い。開発の軸とする「アニスロ」へのこだわりを聞いた。

「弊社のパチスロ機は低射幸性で、遊びやすいスペック目指しています。そのため出玉面以外での付加価値をつけることが必須だと思っています。それを実現してくれるのがアニメコンテンツなのです。コミックマーケットにブースを出展してアピールしたり、グッドスマイルカンパニーさんに協力を仰ぎ、液晶上に登場する3Dキャラクターのねんどろいどを作ったりしています。また、細かい部分ですが、液晶上のキャラクターをどこに配置するとユーザーに可愛く見られるかなど、心理面での検証を広島大学大学院の入戸野准教授と共同開発を行うなど、すべて数値化してこだわっています」(片瀬氏)

アニメコンテンツの持つ力はDAXELに限らず、多くの遊技機で証明されてきた。しかし、そこにデータの裏付けを行うことでようやく両輪が回り始める。この両輪を回せる原動力こそがDAXEL機の底力なのだ。

写真1は堅調な稼働を示した「パチスロ百花繚乱サムライガールズ」のシマ
写真2は高評価を受けた「パチスロ百花繚乱サムライガールズ」
写真3は心理的な分析もされて演出に搭載された「ねんどろいど」のキャラクター
写真4はインタビューで話をしてくれたダイコク電機の片瀬宏之氏

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