業界の見せ方、価値観を変える方法とは

2020.01.13 / コラム

鉄道会社は鉄道研究会の学生、いわゆる鉄ヲタを採用しない、という都市伝説がある。
東京の大手私鉄の人事担当者が都市伝説について教えてくれた。

「よほど優秀じゃない限り、ウチの会社では鉄道研究会の学生はまず採用しません。鉄道会社にヲタは必要ありません。一つのことに凝り固まった連中は使い物にならないからです。鉄ヲタは汎用性がありません。鉄道会社だからと言って誰でも鉄道部門に配属され、運転士や車掌になれるわけではありません。関連事業もたくさんありますから駅の売店に配属されることだってあります。鉄道部門以外に配属されるとすぐに辞めてしまう。ただ、鉄道の専門高校は採用します」

なかなか、厳しい意見だ。

好きこそものの上手なれということわざがあるように、好きなことは熱中できるので上達が早い。パチンコ業界ではパチンコをやったことのない学生はすぐに辞めてしまうことから、むしろスロプロをやっていた人材でも採用するケースがある。

中堅ホールの人事担当者が最近の新卒採用事情を語る。

「最近の若者は物欲がなくなっている一方で、認められたいという承認欲求は強い。物欲の塊がパチンコ業界だった。転職で一攫千金を目指す人とパチンコ業界は合致した時代もあった。それが30兆円産業と言われ、団塊の世代が現役でパチンコ業界をけん引してくれた時代がそうだった。給料が良くて、早く出世できることを夢見た。今は、給料を第一にモチベーションを上げて働く人は少ない。出世欲もない」

新卒採用も20年前に比べると年々厳しくなっているのが現状で、そもそもパチンコをやったことのない学生が驚くほど多い。内定を出す段階でも「パチンコオンリーの会社じゃなければ、即決なんですが…」と学生たちの業界に対する抵抗は拭い切れていない。

人事担当者は業界の見せ方、価値観を変える方法としてこんな例を挙げる。

「『ねるねるねるね』は1986年の発売以来、子供達には大人気のお菓子で、練ることで色が変わるお菓子です。ところが、ある時期、色変化は添加物によるもの、との風評被害から売り上げが落ちたことがありました。しかし、色変化は小学校の時リトマス試験紙に酸をかけると赤に、アルカリをつけると青に変化する実験のことが理解されると今度は『知育菓子』として評価され、売り上げも戻りました」

パチンコと言えば、ギャンブル=依存症=借金=家庭崩壊というイメージが出来上がってしまっている。

「遊びの多様化に加え、物欲のない若者をターゲットにするにはギャンブル要素ではもはや集客できません。安く、長く遊べて、承認欲求を満たしてくれる環境整備が必要になってきます」

脱等価の次は脱ギャンブルにかかっている。







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