【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(184) パチンコが変わる
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。10/17(水)、18(木)に行われたエース電研関西支社でのセミナーは、おかげ様で2日間とも満席+αとなりました。ご来場された方にはこの場をお借りしまして御礼を申し上げます。
さて今回もセミナー内容を基にしてお伝えいたします。今回のテーマは「数字という根拠」です。新規則の遊技機についてはいまだ導入機種数、台数ともにまだまだ微々たるものであり、その影響はほとんどないといえるでしょう。しかし今後は確実にこの規則に沿った遊技機の割合が増え、2年後には「新規則遊技機だけ」という時代が訪れます。そのために今は、「新規則のスペックが営業にどのような影響を与えるか」のシミュレーションが必要です。
「新規則の遊技機は射幸性が低下する」と言われています。その根拠は「時間あたりの検査における最高出玉率が下げられたから」と捉えている方も多いと思いますが、本当の根拠は「最低出玉率の規定」にあります。今回、最低出玉率が33.3%とされたことで、単純に大当たりに割り当てられる差玉が減少します。
ここで図をご覧ください。
これは同じアウト、売上、割数、出玉率でベースが高くなるとどういった影響があるかをシミュレーションしたものです。出玉率も割数も扱う数字は「一日トータルでの数字」でありその中身(状態=通常時or特賞時による振り分け)は考慮されません。つまりこれらの数字が同じなら必ず同じ結果になります(図でいえば出玉率、割数、玉単価などは同じになる)。
しかしベースが上がるとその分、特賞中に払い出される玉数が減少します。仮にこのシミュレーションの特賞回数が2回だったとしたらそのTYは各々4,000、3,000となります。「出玉感」は大当りで得られる玉が作り出すので、その数値が下がるということはすなわち出玉感の減少につながります。
このように、仮にこれまでと同じ稼働と売上が維持できたとしても遊技客の大当りに対する期待感は確実に下がります。これまでのパチンコ営業の柱だった「射幸性の訴求」が難しいことになるのです。
しかし拙いことばかりではないです。新規則遊技機のスペックはどれも確変中の確率(TSA)を低くしており、このため特賞に要する時間(TO)が長くなる傾向があります。
ここで図の青枠部分に注目してください(再掲)。
特賞にかかる時間を多くすることで特賞時に払い出される玉数はこれまで通りとなっています。特賞にかかる時間が多くなる(TOが長くなる)ことで払い出し数が同じでも特賞での差し引き玉数が減少するのですが、裏を返せば「これまでよりも、同じ遊技時間内で特賞中を体感する割合が増える」ことを意味しています。図のシミュレーションでいえば、
Aの通常遊技時間=15,100-4,000=11,100(111分)
Bの通常遊技時間=15,100-6,000=9,100(91分)
となっています。一般的に「最も楽しい時間」が大当り中、「最も楽しくない時間」が通常時なので、楽しく感じる時間帯が増えることの訴求ができることになります。
戦略の基本は「強みの訴求と差別化」です。差別化というのは「良い部分がその他のものと違うから」差別化になるのであり、劣っている部分で違いを訴求しても差別化にはつながりません。今回の新規則遊技機は射幸性という部分では旧規則遊技機にかなわないのですから、継続回数や「初回10R時のTYが~」といった訴求よりも「これまでよりも楽しく遊べる」ことを全面に出していく営業がよいと思います。またそういった「楽しく遊技」を補完するような設備も重要になってきます。
状況、環境は確実に変わります。「変化に適応したものだけが生き残る」と考えて、これまでの常識や成功体験に縛られることなく「変えて」いきましょう。
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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。