今回は差し迫っている経過措置の期限が切れるパチスロ5号機に対する対応について、頭を悩ましている人も多いかと思うので、対応方策の確認ついでに読んで頂ければと思う。
まずは対応が迫られている多台数機種の状況は以下となっている。
機種名 | 市場台数 | アウト(客数)シェア |
パチスロ黄門ちゃま喝 | 約13,000台 | 0.849% |
ミリオンゴッドー神々の凱旋ー | 約65,000台 | 6.897% |
戦国コレクション2 | 約3,700台 | 0.299% |
沖ドキ!(30パイ含む) | 約47,000台 | 8.723% |
プレミアムビンゴ | 約3,200台 | 0.200% |
【参考1】 2021年1月末までに撤去される 上記の類型5号機 |
約16万台 | 約18%弱 |
【参考2】 ジャグラーシリーズ |
約36万台(市場の約25%) | 約34% |
上記からも分かるように、高貸パチスロの約18%もの大きな市場が喪失することとなるが、逆にその部分にアプローチする事が大きなチャンスとなる。
対応としては以下が挙げられる
各対応の良し悪しは店舗やグループのロケーションにより大きく異なるので、ロケーションに合った対応をするべきであり、複合的に考えるべきだろう。
それでは、各対応のメリットとデメリットを列挙していく事にしよう。
【メリット】
新台客数はいまだに一定数存在し、昨年度の年末の多数の新機種が登場したことによって客数は約8%から約14%程度まで上昇した。そんな経緯に加えて、競合店の多くで導入が予想されるので設置機種で差を付けられるリスクを回避できる。
11月販売濃厚
「Sモンハンワールド」「S七つ大罪」「S H.O.T.D G」「Sアカメが斬る!」「S G1フェアリーグランプリ」「S華祭」
12月販売濃厚
「S鉄拳4デビルバージョン」「Sひぐらしのなく頃に」「S麻雀格闘倶楽部」「S南国育ち」
【デメリット】
昨年度の状況から考慮すると、一時的な客数の上昇は期待出来るものの長くはもたない事が予想される。なので費用対応効果は低くなる可能性が高い。そして10月からの型式試験方法の変更(緩和)により、春先からリリースされる機種は異なる性能となる事が予想され、それ以前にリリースされた機種は大きく価値を損なうリスクがある。
【メリット】
昨年度から現在まで続いている市場の状況からしても、一番効果に期待できる分野。
【デメリット】
新たに供給が出来るものではないので、法人・店舗によって対応できるかが大きく異なる。
【メリット】
長く使える機種を選定できれば、効率を図れる可能性もある。
【デメリット】
時期的に2020年中が期限の機械は7ヶ月延長機がメインとなり、2021年機であったとしても5.9号機となる事から6号機との大きな差に期待できないリスクがある。市場から撤去される機種のユーザーをターゲットとして回遊性に期待できる機種はほぼリリースされていない事から、〝撤去機種難民の受け皿〟ではなく〝台数維持〟が目的となるので大きな効果は見込めない可能性が高い。さらにはAタイプや甘い機種などが中心となり、粗利の圧迫に繋がる恐れがある。
【メリット】
機械費用をかけずに対応が可能で、稼働状況によっては減台圧縮することで相対的な稼働率の上昇効果も期待できる。
該当機種を期限間際まで使用できる。
【デメリット】
対応する規模と稼働規模によっては、減台する事自体がマイナスとなる場合も多く、瞬間ピーク稼働に応じた注意が必要となる。
【メリット】
新機種のリリース状況や、市場の稼働状況から営業力を効率的に伸ばす事に期待できる。さらに新規則機への転換に関してもPSそれぞれのリリース状況に応じて、その時々に合った対応がしやすい点は将来的にも大きなメリットがある。
【デメリット】
費用が大きくかかる場合がある。
そして10月の型式試験方法の変更(緩和)に加え、管理遊技機・封入式パチンコとなった際には必ず設定付になるであろうこともあり、未来的なパチンコ市場が不透明な状況を考慮すると再度スロ島の増設が必要となる可能性がある。
※封入式・メダルレスは規格そのものが異なる可能性も……
各対応の【メリット】【デメリット】を経営ベースで計算して、より良い方法を選択する必要がある。
それでは次に上記表に列挙した各撤去機種に対して、代替として具体的に効果があると予想されるパチスロ機種を考察してみよう。機種のポイントとして〝出玉性能〟と〝メイン機種〟である点を重視した。
「押忍!番長3」
5.5号機ではトップの出荷台数を誇り、昨年末の「絆」撤去直後に客数が大幅に増加した実績がある。
「政宗2」「聖闘士星矢 海皇覚醒」
大きな差玉が付きやすい機種で、一定台数が市場投入されている。
「沖ドキ2!」「沖ドキ!トロピカル」
シリーズ機として回遊性に期待。
「2」に関しては、すでに出荷されている台数が多いこともあり、市場全体の取り組みによっては牽引力にも大いに期待できる。
「ハナハナ系」
30パイカテゴリーでの回遊性が高い。
「S南国育ち30」
実機確認が必ず必要であるが、ベースカットかつ高RUSH TY機であった場合は選択肢に入るだろう。
「中古検定機」
前倒し認定機が不足している状況を前提に考えた場合には営業力を補填する事は困難となる。ART機でも「ディスクアップ」「H.O.T.D」位なものであり、その他はA・RT機の「ジャグラーシリーズ」「ハナハナシリーズ」「アレックス」「ハナビ」「クレア女神」「Aツイブレ」「Aアルペジオ」などと、低単価の機種がほとんどとなる。
「Sアイムジャグラー」
12月13日より大量導入が開始される背景があるので、他Aタイプで取り組むよりは市場自体の流れで効果が得られる可能性が高い。
考えるべきは、この大きな市場のユーザーがどの機種へ回遊する可能性が高いか、が重要だ。無理に回遊性の低い機種を入れた所でロスとなる可能性がある。
〝受け皿目的〟なのか〝台数維持目的〟なのかは明確にしておくべきだろう。
前者ならば当然、遊技環境を整える必要があるだろうし、後者ならば費用にこそ注意すべきだろう。
目押しを要する機種や市場台数の少ない機種を選択する時点で前者の対応となる可能性は極めて低くなる。
前述した〝受け皿目的〟の取り組みでポイントとなるのは、代替メイン機に込めるメッセージ性だ!
グループ店ならば、グループ間で「星矢」「番長」「政宗」「G1」など、比較的台数の多い機種の相互移設を行ってメインへ据えるプロモーションを行う事で明確なメッセージ性を付加する事が可能となる。もし連携が困難な場合は撤去期日までに導入される機種を利用し、代替機種を事前に減台して撤去と同時にリターン増台する事も可能となる。
今回はホールごとに立たされている状況が多岐に渡り、状況に応じた最善策を講じる事が重要となる!
撤去時期に関しても、次機種に円滑に繋げる為にも設置状態が競合店と差が付くのは大きなリスクになるので、年末年始は特にピーク稼働を考慮しつつ期限間際まで使用する事を考えるべきだろう。
現在、業界団体の動きの一つとして2020年中撤去機種の撤去期限を若干引き延ばして、年末年始の使用緩和をお願いしているとの話も耳にしている。だが21世紀会の取り決め内容に含まれる高射幸性機の撤去も円滑に進んでいない現状では、承認は厳しいかもしれない。
状況の改善があれば、あるいは承認される可能性があるだけに、我々ホール側の対応も変化するだろう事は頭の片隅に入れておいても良いだろう。
コロナ・禁煙の影響で大きく低下した現市場が戻る事は近い未来には存在しない。である以上は、現市場が戦う場である事を真摯に受け止め、健全に競争を勝ち抜く事を考えて行かなければならない。
その取り組みのお役にわずかでも立てれば幸いと考え、これからも必要に応じて情報をお届けして行きたいと思う。