売り手市場でホールが人を採用するには悪いイメージの改善から

2019.08.14 / コラム

今年3月に卒業した大学生の就職率が97.6%だった。過去最高の前年同期に比べて0.4%微減したものの高水準を維持している。依然として売り手市場が続いている。

リーマンショックで各企業が採用を手控えた時、パチンコ業界には神風が吹いたこともあった。アルバイトの募集をしても応募が殺到したホール企業もあった。引く手あまたなので時給を下げたほどだった。

それも今や昔。売り手市場の現状ではホールの人材採用は年々困難になってきている。

人材系のセミナーでホールの話が出た。去年グランドオープンした大型店は、自社で募集してもアルバイトが集まらないために、人材派遣会社を使って55名を入れている。掃除のおばちゃんは集まるが、自社採用では人が集まらない地区だった。地区の時給相場よりも225円アップして確保した。

セミナー講師がパチンコ業界へ人が集まりにくい理由を次のように挙げた。

「まず、喫煙環境です。空気が悪い。それと大騒音。難聴は職業病でもあります。各台計数機が普及しているにも関わらず、まだホールの仕事と言えば玉箱の上げ下げがある、という認識です。客層のイメージも悪い。ここをまず変えないことにはますます人は集まりません」

飲食業界も人手不足が続いている。居酒屋では客に酒が入ると女性スタッフはお尻を触られたりする。

それでもパチンコホールよりもアドバンテージがあるのは、賄が付くこと。一人暮らしの学生ともなると1食助かるのは大きい。賄付きのホールは一部あるが、一般的ではない。

このセミナーに参加したホール関係者は「あなたの業界のイメージのいいところと悪いところを書いてください」という質問に対して、ペンが動かなかった。

悪いイメージは書けても、いいイメージが思い浮かばない。悪いイメージの改善は先決問題だが、放置され続けてきた。

「人がいなくて倒産になることはないとしても、人がいなくて規模の縮小はあり得る。バブルが崩壊後、こんなに人が足りないことはなかった。コンビニや飲食店はもはや外国人労働者がいないと成り立たない。人が足りないから営業時間の短縮につながっている。今後どうやって人を採用するか。人件費が大きなウエイトを占めることになる。人が足りなければオートメ化、無人化するしかない」(セミナー講師)

ギャンブル依存症対策は政府主導でやっているが、騒音対策は一向に手を付けられない。それができないのであれば、オートメ化、無人化を選択するしかない。






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