増えるパチンコ版限界集落

2019.11.06 / コラム

地方で数店舗しか経営していない中小、零細ホールオーナーに共通した問題点が沸き起こっている。このまま細々と生きながらえるか、それとも売却するか、閉店するかの三択だ。

そんな決断を迫られてはいるが、乗っている車はベンツ。2~3店舗で中小、零細ながら妻や子供を役員にして年間1億円ぐらいの役員報酬を取っていた時期もある。これこそがパチンコ経営の醍醐味であった。これが長年続き、それが当たり前になると同時に感覚も麻痺してくる。

業界では年間売り上げが2兆円を突破した全国大手もあるように、一般の上場企業で年間売り上げが1000億円クラスは本当に凄い売り上げなのに感覚が麻痺してくるとその数字が小さく見えていた。1000億円企業で日本を代表するのが富士フィルムだ。

昔、店舗は10年サイクルぐらいで設備も一新して、全面リニューアルオープンを敢行したものだ。4円パチンコ、20スロの売り上げを基に事業計画を立てるので、回収のメドも立つ。だからテコ入れは冒険でも何でもなかった。

それが1円が主流となると事業計画も大きく変わってくる。短期での回収など夢のまた夢。先が見えないと改装一つとっても躊躇するようになった。加えて、目に見えて減って来た遊技客の減少が投資意欲を削ぐ。

「半世紀はホール経営に携わってきたが、今までのパチンコ不況とは丸で違う。ウチは儲かっている時も拡大することなく、堅実に手堅くやってきたが、あと5年ぐらいしか持たないと思う。うちの立地は限界集落のような状況で、それが3~4年前から急速に感じられるようになった。固定客を調べると3~4年前に比べて3割5分も減っている。まだ、赤にはなっていないが、この先やっていく自信はない。地方のシャッター通り商店街の話は他人事だったが、業界に置き換えるとまさにシャッター通り現象が起こっている」(ホールオーナー)

追い打ちをかけたのがMAX機撤去だった。これで4円を打つ客がいなくなった。

「お客さんが減る状況は肌で感じているので、打開策として釘を開けているが、それでも稼働は上がらない。お手上げ状態です」(同)

先ほど限界集落という言葉が出てきたように、客がいないところでは釘を開けようが、効果はない。

後は延命するために機械代を削減するだけだ。元々、中古機で回していたが、さらに中古を買うのもさらに控えるぐらいしかできない。

客が減った理由は、ホールが客の懐を痛めつけた結果であり、その反動である。もちろん、痛めつける原因となったのは等価交換である。

客そのものがいないのだから、どんな優秀な店長が来ても稼働を上げることはできない。今の当たりかハズレかの抽選機と化している液晶機では新規客を増やすことはできない。






オリジナルサイトで読む